いろいろ徒然

◎星の名前。冬の星座とギリシャ神話、その1。

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冬の星座は四季の中で一番華やか!なんといってもオリオン座がありますからね。オリオン座は全天の中でも最高に目を惹く星座です(amairo比)。

冬の夜。何月かにもよりますし時刻にもよりますが、東から南にかけての空を見て、嫌でも目につく3つ並んだ星があったらそれがオリオン座の腰のベルト部分。見逃しようも見間違えようもありません。初めて見る人でも、見たらわかる。

その三つ星の外側を取り巻く四角形を含めてオリオン座です。本当はもう少し星を加えた大きな星座ですが、四角形以外の星は繋がりがよくわからない。三つ星とその外側の四角形を探しましょう。

見つかりましたか?

外側の4つの星のうち、左上の赤い星と右下の白い星が1等星です。
左上の赤い星がベテルギウス。右下の白い星がリゲル。

 

ベテルギウス。意味は……

昔は、ベテルギウスを「巨人の肩」という意味だと書かれていて、わたしもそう覚えてました。が、現在では、……どうもよくわからない。日本以外ではそういう訳をしていないらしいんですね。「イブト・アル=ジャウザー」というアラビア語からの訳とされていたようなのですが、アル=ジャウザーというのは昔話に出て来るある女性の名(しかし古すぎてその昔話自体の詳細は不明)、イブトも誤記や誤伝の可能性もあり、「わきの下」「中央」「手」「白い帯をした羊」などいろいろな説があるそうです。

ところで、このベテルギウスは超巨大星。われわれの太陽と比べると、直径では750倍、重さでは20倍弱大きいことになります。この数字の差は、ベテルギウスが太陽と比べて、すごーく大きな星だが重さはそうでもない=中身が薄い星であることを意味しています。750倍だと、今の太陽の位置にベテルギウスを置いた場合、地球の公転軌道を飲み込み、その外側の火星も多分飲み込み、小惑星帯に近いくらいかと思います。以前は「太陽系に置き換えた場合、木星の公転軌道に近い」と言われていましたが、近年の観測によってベテルギウスの大きさは少し小さく修正されたようです。

 

リゲル。名前の意味は「足」。

由来はアラビア語のリヂル=「足」から。わたしは子どもの頃、「巨人のかかと」と覚えましたね。

ちなみに、ベテルギウスとリゲルはその色が赤と白で対照的なことから、日本では「平家星」「源氏星」と言い慣わされていたそうです。平家の旗印が赤、源氏の旗印が白であるため。ちなみに一般的に行なわれる紅白対抗戦(紅白歌合戦や野球の練習試合の紅白戦)も、平氏と源氏の戦いに由来していると、――たしか年末のチコちゃんでやっていました。

 

オリオン座のギリシャ神話。

星座としては超有名なオリオンですが、神話としてはそんなに派手な話はありません。いや、ある意味派手は派手なのですが……。

というのもこの人、大変な美形で腕が立つ狩人だったらしいのですが、それなのにというか、そうだからというか、乱暴で女好き。暁の女神エオスと恋仲なのに、プレアデス(和名:すばる)の娘たちを追いかけたり。月と狩の女神アルテミスに乗り換えたり。他にも女がらみのいざこざはたくさんあったようです。あくまで神話上の物語ですけど。

アルテミスとの関係は、恋仲という話もあれば、敵対関係だったという話もあり。伝説ですからどちらが正しいということはありません。わたしが一番覚えている伝説は、アルテミスが騙されて恋人オリオンを殺してしまったというものです。

アルテミスはオリオンと相思相愛の仲でしたが、交際を双子の兄である太陽神アポロンに反対されていました。そもそもアルテミスは月と狩の女神であるに加え、純潔のを司る女神でしたから、その彼女に恋愛はあり得ない。アポロンは何とかして妹とオリオンを引き離そうと策を練っていました。

ある時、朝の海辺でアポロンはオリオンとばったり行き会います。アポロンはオリオンに、海の上を水平線に向かって歩いていくよう命じ、オリオンはそれに従います。しばらくたって、オリオンの姿が波の間からようやく見えるか見えないかくらいに離れた頃、アポロンは浜辺にアルテミスを呼びました。

「あそこに見える輝く石を弓で射られるか?いくら狩猟の女神といってもそこまでの腕はないだろう」
アポロンはアルテミスを煽ります。アポロンが指さす先にはきらきらと光りながら波間をゆらめく何かの姿。アルテミスは誇り高い女神ですから、愛用の弓に矢をつがえ、当たらないはずがないと自信満々で矢を放ちました。

しかしその光るものはアルテミスの恋人、オリオンだったのです。
やがて浜辺に流れ着くオリオンの死体。その頭にはアルテミスの放った矢が。知らずに恋人を殺してしまい嘆き悲しんだ狩の女神は、父である大神ゼウスにオリオンを星座にしてくれるように請います。

憐れに思ったゼウスはオリオンを天へ上げました。月は時折オリオン座のそばを通り、つかの間の逢瀬を持つのです。

――アポロンのやりようはヒドイですね。でも神様なんてそんなもんです。ギリシャ神話の神様は自分のお気に入りは可愛がりますが、キライだとひどい目に合わせる。オデュッセウスも神々の怒りに触れたために家に帰れず、10年も世界をさまようはめになります。

なおオリオンの死因については、ヘラが送ったサソリに刺されたという神話もあります。これは夏の星座のさそり座のところで書きましたね。

◎星の名前。夏の星座とギリシャ神話。

おまけ。
オリオン座の足元にある、目立たない星のかたまりがうさぎ座です。狩人のオリオンとその猟犬のおおいぬ座に追われているうさぎ。星座は顕彰として星座になっている場合と、罰として天に吊られている場合とどっちもあって納得しがたいのですが、このうさぎなんか全然悪いことをしていないのに、理由なく永遠に追いかけられてかわいそう。

冬の星座はまだまだあります。その2へ続きます。

 

 

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