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◎マウリッツハイス美術館へ「真珠の耳飾りの少女」を見に行く。

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マウリッツハイス美術館はオランダのデン・ハーグにあります。

デン・ハーグというべきなのか、ハーグというべきなのか?誰か教えて下さい!
まあイギリスに行ってイギリス人に「イギリス」と言っても通じないわけで、日本語でどう呼ぶかはこっちで勝手に決めていいと思うのですが、その日本国内で流通している名称がどっちともつかず。

デン・ハーグはあんまり日本では有名な町ではないですよね。しかしオランダではアムステルダム、ロッテルダムについで第3規模の都市。首都であるアムステルダムには政治機関がなく、デン・ハーグが実際の政治の中心なので、大変重要な都市です。

 

オランダではマウリッツハイス美術館は必見です。

ハーグの駅からバスやトラム(路面電車)がたくさん出ているようです。町の中心にあるのでアクセスはいいです。徒歩でも15分くらい。

美術館の規模は小さめですが、貴族の邸宅がそのまま美術館になり収蔵品も王族・貴族が集めたものなので、トータルの趣味が楽しめます。邸宅美術館の魅力のある美術館です。

 

マウリッツハイス美術館の必見4選。

フェルメールを見に行くのですから、まずはフェルメールの最高傑作を見ましょう!

「真珠の耳飾りの少女」

Johannes Vermeer (1632-1675) - The Girl With The Pearl Earring (1665).jpg
ヨハネス・フェルメール - 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

目の輝きも。真珠の輝きも。ターバンの鮮やかな青も。唇のつややかさも。全てが静かな美しさを湛えた名作です。

わたしはフェルメールの全ての作品が好きなわけではありませんが、この絵は天から与えられた珠玉の一枚。

これがねー。マウリッツハイスに行くと独り占めに出来る可能性がある。ルーブルのモナリザと違って、絵の前が人だかりというほどではありません。

こちらを見つめる彼女と一対一で対峙出来る。
これは生涯の贅沢な時間だと思いますねー。

人が少ない時を狙ってみてください。時間が自由になるのなら、やはり閉館前が狙い目かと思います。そんなに広い美術館ではないので、全体で2時間くらいの所要時間を見ておけば大丈夫かと思います。

「デルフトの眺望」

Vermeer-view-of-delft.jpg
ヨハネス・フェルメール - www.mauritshuis.nl : Home : Info : : Image, パブリック・ドメイン, リンクによる

フェルメールらしからぬ、珍しい風景画。わたしは彼は、もっとこういう風景画を描いた方が良かったと思うのですが。

フェルメールは誘惑をテーマに描いた絵が多い。そういうテーマの方が売れたのかなー。フェルメールの画風だと、もっと真面目なモチーフの方が絵の静謐な魅力を発揮出来た気がする。

といって宗教画の時代と場所じゃないんですよね。この時代のオランダという場所は。初期の作には聖書やギリシア神話をモチーフにした作品があるようですが、本人がノリ良く描いているような気がしない。

ほとんどの絵が同じ場所でモデルを使って描かれていること、カメラ・オブスキュラを使っていたという説もあることを考えると、フェルメールは想像力を翼にして物を描くというよりは、
目で捉えたものの言葉を聞きとるようにして描いていくという丹念な作業をした画家と思われる。

だからこそその人が言うべき言葉を内包した人ならばその絵は魅力的になり、そうでもなければそれなりに、となったような気がする。

ちなみにわたしのフェルメールベスト3は「真珠の耳飾りの少女」と「デルフトの眺望」、そして「牛乳を注ぐ女」(アムステルダム・国立美術館)です。これが全部オランダで見られます。

 

「テュルプ博士の解剖学講義」

The Anatomy Lesson.jpg
レンブラント・ファン・レイン - Info : Image, パブリック・ドメイン, リンクによる

この空気感はやはり特筆すべき。
ひんやりとした気配。

衣装も黒で背景も濃いグレイ。屍体を載せる台と右手前の大部な本(解剖学の本らしい)しか背景は描かれない。

解剖学講義というタイトルから、医学的な場面だと思っていましたが、wikiによると当時の解剖学講義は社交イベントだったらしいです。昔は世界の各地で犯罪者の処刑が娯楽としての一大イベントだったそうだから、近代に近くなってだんだんそれが洗練されてきたもの……と想像する。

が、実際のこの解剖は1632年に行なわれたもの。そんなに近代でもないんですね。日本でいえば江戸時代の初期。ただこの頃にもうこんな風に現代的な視点で物を描く文化があるオランダは
時代の進み方が違う。

この頃イギリスはエリザベス1世死後約30年。フランスはルイ13世の時代。ブルボン王朝最盛期のルイ14世のお父さんの時代。となると、有名画家はせっせと王様や貴族の肖像を描いていた頃のはずで……。その頃すでに、オランダではこういう有力市民の肖像画が一般的だった。

お金を出し合って画家に肖像画を注文する集団肖像画の時代。合理的かつ経済的(少々ケチ)な方法。なので、全員の顔を平等に、しかもはっきりわかるように描くのは大事だったわけですね。

レンブラントはこの絵ではわりあい平等にみんなの顔を描いているので、特に文句は来なかった筈。が、「夜警」(アムステルダム国立美術館)では実はあれも集団肖像画だったのにだいぶドラマティックに画面を構成しており、顔がよく見えない人やいるべきではない空想上の人物がいたりして、平等に出資した人々が不満を持ったと言われています。

ということも考えると、この「テュルプ博士」の方の素直な描き方に感慨を持つ。1人の画家のという意味だけではなく、画家全体としての職人としての画家から芸術家としての画家への転換期の作品と思えるから。

ファブリティウス「ゴシキヒワ」

Fabritius-vink.jpg
カレル・ファブリティウス - www.mauritshuis.nl : Pic : Info nl.Info en., パブリック・ドメイン, リンクによる

1654年の作品。現代的だよなあ……。

ファブリティウスはこの作品を描いた年に、デルフトで起こった弾薬庫大爆発事件に巻き込まれて亡くなってしまいます。享年32歳でした。あ、フェルメールよりも年上だったのか!後輩の画家だと思っていた!

 

その他。

レンブラントの「自画像」、フランツ・ハルスの「笑う少年」など。レンブラントの作品はアムステルダム国立美術館と並んで、ここにも多いようです。

すみません、マウリッツハイス美術館にはないかもしれないのですが、オランダではサーンレダムという画家が面白い。推し。オランダのどこかで見ました。

教会内部ばっかり描く人で、そんな人は珍しいので印象に残りました。
前にも後にも教会内部を専門に描く画家はこの人くらいなんじゃないでしょうか。

Pieter Jansz Saenredam - Interieur van de Grote of Sint Bavokerk te Haarlem.jpg
ピーテル・ヤンス・サーンレダム - www.rijksmuseum.nl : Home : Info : Pic, パブリック・ドメイン, リンクによる

この人もまた関ケ原くらいに生まれているわりに、画風が現代的なんですよね。やっぱりオランダの絵は一味違う。

 

マウリッツハイス美術館で「真珠の耳飾りの少女」を見たい!

「真珠の耳飾りの少女」は世界の至宝。だと思うのですがどうでしょう?オランダへ行ったら必見ですね!

なお、マウリッツハイス美術館がある付近はビネンホフ(国会議事堂)や騎士の館など趣のある建物が多く、ホフフェイファ池ごしの景色が美しい。

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英語版ウィキペディアPrasenbergさん - en.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, リンクによる

わたしはこの周辺しか行かなかったのですが、デン・ハーグには、他にも海浜リゾートのスヘフェニンゲンや東武ワールドスクウェアに似たオランダ名所が集まったミニチュアのアトラクション、マドゥローダムなど、人気の観光地があるそうですよ。

内部には入れませんが、オランダ王国家の執務宮としてのノールタインデ宮殿、居城であるハウステンボスの外観も見られるみたい。

これらを回っていると1日たっぷり遊べそうですね。アムステルダムからの日帰り旅行にぴったりです。デルフトからは実はトラム(路面電車)で20分。あっという間。デルフトに泊まってデン・ハーグまで行くのも便利です。

オランダに行った時にはぜひデン・ハーグにも行ってみてください。

 

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