ギリシャ/Greece:2008

17・アテネ国立考古学博物館。

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途中で朝ごはんを買って、オモニア広場に座って食べる。
ピスタチオのアイスと街角の屋台のクルーリ。
クルーリというのはギリシャのパンで、太めの紐を丸く繋いだような直径20センチほどの輪っか型。
塩味のような少し甘味があるような、これという明確な味がない。明確な味がないだけに
飽きずに毎日食べられそうな気がする。値段も安い。0.5ユーロだから80円くらい。
ニューヨークのプレッツェルをもう少しソフトにしたようなもんか。

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アテネ国立考古学博物館に到着。開館時間を10分過ぎているのに
大きな鍵がかかっていて開く気配すらない。まったくもう、ギリシャときたら、また!
……と思ったら、わたしが立っていたのは考古学博物館の隣の、全然関係ない大学付属の建物だった。
ほんとの考古学博物館はその向こうで、すでに開館してました(^_^;)。
わたしは一体だれに向かって腹を立てていたのだ。

National Archaeological Museum of Athens.

アテネ国立考古学博物館。逆光ですが。

ここで最も感銘を受けたのは、アルテミシオンのポセイドン像。

The Poseidon of Artemision.

とは言っても、最初見た時は「はいはい、これね」としか思わなかった。
気合が入っていないのは、写真がわずかに傾いているところからもわかる。

が、他の展示を見ながら移動し、何の気なしに正面から見上げると。

うわ、と思う。この堂々たる上半身、伸ばした腕の力強さ。
真横から見るのとでは迫力が全く違う。基本、この彫像は真横から見るものだと看做されているけど、
なかなかどうして、正面から見るのもいいじゃないですか。

顔もいい。

手もいい。

(手フェチなもので……)

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次に良かったのが、墓碑群。墓地区域から美しい墓碑を選んで博物館に持ってきたらしい。

この光の入り方は博物館を設計した建築家がエライ。
訪れたのが午前中早くだったのも良かったのだろうが、光が白っぽくて大理石に映える。
墓碑のしんとした静けさに似合う。

墓碑もけっこうアレコレ撮って来たんだけど、冗漫になるので涙を呑んで2枚だけ。

tombstones.

去って行く者と見送る者。その瞬間はどちらが美しいだろう。

大きな足音を立てないように歩きながら、ゆっくりと展示室を廻る。
博物館に収められた墓碑は、もう墓碑ではなく美術品。
でも本来は死者のために作られたものだから。騒々しく見たくはない。
幸い他の見学者はほとんどおらず、行ったり来たりして自分の好きなように見られる。

墓碑の部屋を出る時、そこにいた美術館監視員が胸に手を当てて、恭しいと言えるほど丁寧に
会釈をして送ってくれた。きっと彼もあの部屋が好きなんだ。

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あとはこれも有名かな。「ヴィーナスとパン」

"A marble group of Aphrodite, Pan and Eros found on Delos"

しかしユーモラスな作品ですな。
左側はヴィーナスで美と愛の女神、右側はパンでスケベで陽気な牧羊神。
どっちも一応神様なんだけど、格はヴィーナスの方がずっと上。
「ねー彼女ー、お茶つきあってよー」「うるさいわね!その汚い手をお放し!」とか言ってるところ。
とは言っても、ヴィーナスが振り上げてるのがサンダルでは、エライ神様って感じもしませんなあ。
ヴィーナスは何しろ愛の女神だけあって、数えきれないほどの神様や美少年と深い仲になるんだけど、
さすがにパンあたりは相手にしないらしい。

うーん……アテネ国立考古学博物館は一回じゃ終わらないな。……続く。

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