チェコ・9月4日

17.ブルノへ移動。

投稿日:

今日はプラハを離れてブルノへ移動の日。
まず7:30にホテルを出て、フローレンツバスターミナルへ。

ホテル前がバス通りなのは知っていたけど、今までバスは使っていなかった。
やはり路線が決まっているトラムの方が使い勝手がいいので。
でもトラム停留所への道はきつい坂道なので、
「スーツケースであの急な坂道を登るのはけっこう辛いなあ……」と思っていた。
石畳の道は、雨の日はかなり滑るし。ある程度遠回りでも、坂がゆるやかな道を通ろうか?
でもそうすると15分くらいかかりそうだしな。

そう思っていたら、前の晩、ホテル前の道を「フローレンツバスターミナル行き」のバスが
走っているのを見かけた。まさに翌朝わたしが行きたい所。
つまり明日の朝はそのバスに乗れば、坂道を通らず、乗り換えなしで直接行けるのではないか。
旅行のカミサマ、気づかせてくれてありがとう。

――しかしバスターミナル行きのバスでも、バスターミナルに着くとは限らない。

一瞬「は?」と思う命題だが、例えば、県庁市役所行きのバスに乗っても、
県庁がどこかを知らなければ行きつけないでしょ。
市役所は、まあバス停の真ん前だし、いかにも市役所っぽい建物だから大丈夫かもしれないけど。
バスターミナルの所で降りたはいいが、見える範囲にそれらしき施設はない。
うう、どこだよ、バスターミナル。

そういう時は人に訊くのだ。

最初は通勤途上らしきおばさんに訊いてみた。
しかし「英語が話せないから……。若い人なら英語わかるんじゃない?」と
3、4人固まった高校生くらいの集団を指さされる。
(いつも思うが、こういう時っておばさんは何語を喋っているのだろう?
記憶の中ではこういうことを言ったはず、という気はするのだが、
英語で言ったはずないしなあ。チェコ語はわたしがわからないし。以心伝心というやつだろうか。)

高校生集団の反応も芳しからず。
「英語だってーっ!」と、さらに何人かを呼び集めてくれるんだけど、
何かを言いかけては、結局みんな遠慮勝ちに黙ってしまう。
が、やはり人間対人間の有難いところで、――ジェスチャーが使えるんです。
1人が、もどかしげにある方向を指さし、手を何かをくぐるように動かす。
ということは、つまりあっちの方向に行って、地下道か何かを探せばいいってことじゃないですか。
必要にして十分な情報。お礼を言って別れる。

たしかに。少し進むと地下道があった。ちゃんとバスターミナルの案内板も出ている。
地下道の出口が分かれている所で、どっちへ行けばいいかまた迷ったので、
ちょうど通りかかったスーツ男子に訊いてみる。
にっこり笑って「あっちだよ」と指をさす。
……今から思うと、ちょっとかっこいいおにーさんだったな。

ホテルから単に第一目経由地にしか過ぎないターミナルまでの道のりもなかなか難儀なもんです。

着いたはいいが、乗ろうと思っていたブルノ行き8時のバスはもう満席だって。
バスの時刻表では8時のバスが3本あるように書いてあったから、
乗れないことはないだろうと思いこんでいたのだが、3本のうち1社は満席、
1社は「そんなバスは存在していない」、もう1社はカウンター自体が見当たらない。
結局最初のバス会社の9時のチケットを買い、ターミナルで1時間待つことにする。

Florenc bus terminal.

移動のために1時間待つこと自体は、別になんてことないんです。
ただ、正しい場所で待っているのかどうか、確信が持てないことが落ち着かないだけで。
時間があるので、家に電話をする。携帯はくっきりクリアに聞こえ、
とても間に地球3分の1周分の距離があるとは思えない。

バスは9時出発。あ、バス料金は200コルナ≒1060円でした。
2時間半ほどの道程にも関わらずガイドさんが乗っていて、お茶のサービスもある。
甘いミルクティが、乾燥しきったバスの車内で美味い。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

11:45、ブルノ着。
バスがホテルの目の前に着くので迷いようがない。

Grand Hotel in Brno.(again)

ここが予約の有無を確認した例のホテル。そう思えばそこはかとなく親近感が湧く。
すぐチェックイン出来たのはラッキーだった。

部屋自体は狭いけど、シングルとしては十分。
バスルームが妙に広くて、もしかして部屋より広いんじゃない?

天気が雨のせいか、すぐ動く気にならず部屋で30分ほどうだうだ。
普段自分が泊まるのと違って高級ホテルなので、居心地がいい。
ここはねー、予約サイトによっては1泊12000円~13000円の場合もあるのだが、
今回わたしが利用した(そしてつぶれた(^_^;))ホテルザウルスのサイトだと、
1泊6300円。すごいお得。……そのせいでつぶれたのか?いや、それはないでしょうが。

しかしチェックアウトの時判明するのだが、部屋のミニバーから取った缶紅茶には
約500円の値段がついていました。……さすが高級ホテル。

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

今日の目的地は――というより、わたしがブルノに来た最大にして唯一の目的は、
モラフスキー・クルムロフへ行くこと。ブルノからバスで1時間ほど離れた小さな町。
そこに何があるのかというと、ミュシャの大作「スラヴ叙事詩」。

数年前に「新日曜美術館」かなんかでミュシャの特集をやった時に、
ミュシャと言った時に思い浮かぶ画風とは全く違う絵が映った。
真面目な――通常の作風が不真面目というわけではないが――油絵。漫然と見ていた目が止まる。

彼はこんな絵も描いていたのか。
絵の中からこちらを凝視する骸骨のような人物。一種異様な迫力がある。
しかし色調は暗く、彼の売りであるところの優美さも華やかさも欠片もない。
なぜミュシャがこんな人物像を?それまでのスタイルを捨ててまで。

これは見てみたいな。と思った。
実際に見て伝わってくるものがあるかどうかを確かめてみたい。

――といいつつ、旅行の行先をチェコに決めた時にはすっかり忘れていたんだけど。
チェコ関連本を読み漁るうち、そう言えば、と思い出す。
いや、せっかく行くんだから見ましょうか。
その絵のためだけに再度行くほどの執着はないので、今回見なければもしかして一生見られない。

どれどれ。どこにあるんだい?「スラブ叙事詩」。プラハじゃないのかい?
へー、プラハじゃないんだ。モラフスキー・クルムロフにあるんだって。
それならちょうどいいね。モラフスキー・クルムロフは世界遺産で、可愛い街並で有名なところ。
元々行こうと思っていた町だし、そこで見られれば有難い。
……って、あれ?モラフスキー・クルムロフ?チェスキー・クルムロフじゃなくて?

どこだよ、モラフスキー・クルムロフって!
ぶつぶつ言いつつ、“チェスキー”じゃない、“モラフスキー”の方のクルムロフを探す。
なんでもチェスキー・クルムロフは「チェコ地方のクルムロフ(=川の湾曲部の湿地帯)」で、
モラフスキー・クルムロフは「モラヴィア地方の(以下同文)」という意味らしい。
聞いたことないぞ!ガイドブックにも載ってないし!何かの間違いじゃないのか。

これがまた、情報が少ないんですわ。「スラヴ叙事詩」を見に行こうとすると。
ガイドブックには全く無視され、ネットで調べても公的な観光案内からはほぼ見放されている。
なんで?日本人のミュシャ好きを割り引いても、一応天下のミュシャだろう。
彼のライフワークなら、もっと扱いが良くてしかるべきではないのか。

釈然としない思いを抱きつつ、地道に情報を集めました。
こういう時に有難いのは先達の存在です。多分みんな行くのに苦労したんだろうなー。
行った人は行ったなりの情報を残してくれている。

代表して一番情報が充実しているshinesuniさんのブログを再掲。

その他、わたしが参考にしたサイトはこちらへ。

しかしモラフスキー・クルムロフって、けっこう遠い……
たとえていえば、東京から秋保みたいな位置関係。首都から2時間半かけて地方都市へ行き、
そこから1時間かけてバスに乗り目的地到着、というような。
多分バスの本数的にもいいセンだと思う。1時間か2時間に1本とかね。
わざわざそんなところまで行くのも物好きだとは思うが。

あ、いかん。こんなことをだらだら書いていないで、早く行かないと時間がなくなってしまう。
12:25にホテルを出て、モラフスキー・クルムロフ行きのバスに乗るため、
バスターミナルへ向かいます。

次の記事へ

-チェコ・9月4日

Copyright© 旅と風と日々のブログ , 2025 All Rights Reserved Powered by STINGER.