こんな遅くなってから歩きはじめるのはわたしくらいだろうと思っていたのだが、
マイクロバスの中はけっこう満員に近い。20名くらいだろうか。本館の方から乗って来た人が多い。
年齢層はほとんどが高齢の方、といったところか。
乗客の3分の2は三軒茶屋跡というところで降りていった。
ここから本宮大社までの約40分コースを歩くらしい。年齢層が高いので、むべなるかな。
わたしは伏拝王子というところから本宮大社まで歩くつもりでいた。これは1時間コース。
熊野古道に行く、なんていって、たった1時間だけ歩いて……それで熊野古道を歩いたなんて、
大きな顔で言えるのか、というキモチも多少あったのだが、自分の体力を鑑みて。
もう少しがんばって水呑王子というところから1時間半コースを歩こうかな……とも
ちょっと考えたが。まあそんなに巡礼がしたいわけでもなし。
結果として、伏拝コースで正解でした……
ガイドブックには1時間コースと書いてあるのに、結局1時間20分くらいかかった。
これを1時間で歩くのはけっこうサカサカ歩かないと無理でしょー。
たしかに、最初は同じ所でバスを降りた他の人と重ならないようにぐずぐずしてたし、
途中のベンチで少し長く休憩はとったけど。
そもそもガイドブックに発心門王子から本宮大社までの6.9キロを、2時間と書いてあるのがダウトだ。
平地ならね、だいたい人間の歩く速度は時速4キロくらいでしょうよ。
でもあんな山の中で時速3.5キロで歩けないやろ!
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バスから降りて歩き始め。
人里近い道。
伏拝王子跡から本宮大社方面を望む。多分、中央上部のうっすら白く見える一番低いところが、
本宮大社付近。……うわ、けっこう遠いやん。
眼下に小さな茶畑。左から奥の森へ入って行く道が熊野古道。
他の人がみんな先へ行ってしまってから、わたしも歩き出す。
熊野古道は羊歯と杉の道。
アップダウンが、思ったよりあったというのか、それほどでもなかったというのか……
アップダウンを覚悟していくとそうでもなく、平坦な道を期待して行くとけっこう上り下りが激しい。
相当歩いたよなーと思ったところで、三軒茶屋跡の石看板を発見。
さっきご年配の方がほとんど降りて行ったところだ。
……え、じゃあここまで来てもまだ半分くらいなの!?
けっこうそろそろ疲れてるんですけど。
まだ半分しか来てないという衝撃を想像しながらこれらの上り坂の写真をご覧ください……。
ここも……熊野は、どこもかしこもシーズンオフのようで、世界遺産熊野古道を歩いていても、
ほとんど人と会わない。まあ、大部分の人はこの辺を午前中に歩くだろうから、人が少ないのは当然。
後にも先にも人の気配がない道を歩くのは、気分は良かったですよ。
これが見え隠れの距離感で人がいたら、相当ストレスが溜まったであろう。
いるのはわたしと杉と羊歯だけ。静か。
そろそろ着いてくれないもんかね、と思い始めてしばらく経った後、
「ちょっと寄り道して見晴台へどうぞ」という看板が。
そう、この見晴台には行こうと思っていたのよ。でもガイドブックではほんのちょっとの
寄り道に見えるこの見晴台、たどり着くまで予想よりもだいぶかかりました……。
ようやく本宮大社の鳥居が!
そこにあるベンチに座ってしばらく休む。もうハーハーゼーゼーで大変。水もなくなってしまった。
とりあえず相当疲れた……。
と、そこに本宮大社側から登って来た二人連れ。雰囲気的に熊野古道を歩こう!という感じではなく、
ドライブに来て、せっかくだからとちょっと登って来た、という感じ。
わたしほどではないが、彼らも少し息が荒い。ううっ、ここから先もわりとありそうだ。
まああとはほとんど下り坂。
距離はやはり期待したよりは長かったけど、それほど大変な道ではなかった。
近くにウグイスがいて、相手がホーホケキョと鳴くのに、こちらは口笛でホーホケキョと答えてました。
しつこくやっていたので、相手はイヤだったかもね。
山道から出て、人里に帰って来た時の嬉しさと言ったら!
早速自動販売機で飲み物を買いました。