「今度はどこに行くの?」
「チェコ。」
「……チェコ?……なんで?」
今回の旅行前、何度も訊かれた。どうしてチェコなのかと。
その度に色々な答え方をしたのだが、なんのことはない、明確な理由は特になかったんです。
なんとなく。建物もきれいらしいし。暑いところは去年6月のギリシャで懲りたし。
プラハは美しい街だと聞いていたので、いつかは行ってみたいと思っていた。
チェスキー・クルムロフも。旅番組でよく見るけど可愛い町だよね。
でも実はもう一つ、ささやかな理由があった。
“黄金小路”に行きたかったんです。
黄金小路。これは、Zlata ulickaというチェコ語の訳で、「黄金の小道」と訳されることも多い。
プラハ城内の一画。小さな二階建が立ち並んだ場所で、テレビや写真で見ると、
それぞれの家はカラフルに塗り分けられ、可愛らしい。童話の中の場所のようだ。
しかしわたしとしてはその部分はツボではない。
何がツボかというと、黄金小路の名前の由来。
なぜ「黄金小路」と呼ばれるかというと、その昔、錬金術師たちが住んでいた所だからだそうだ。
うーん。……いわく言い難い神秘的な雰囲気を感じるなあ。
夜、窓々の明かりが暗く灯り、家の奥で動くちらちらとした影が目に入る。
窓からそっと覗くと、暗いマントの妖しげな人影が、秘密めいた慎重な手つきで薬品を調合し
その物体の変容を一心に見つめているのが見える。
……いや、こういうことにならないのは、もうテレビで見てわかってるんですけどね。
何しろ人気スポットなだけに、狭い小道に観光客がごっちゃりひしめいているのを、
テレビの映像で何度も見ている。今はほとんどの家がお土産屋さんになっているようだし。
そんなところで神秘的も何もあったものではない。
でもなんかちょっと……期待しちゃうなあ。
ちなみに、錬金術師が住んでいた、というのは単なる風説で、
住んでいたのは金細工師(言葉として錬金術師と近いので混同された)だったという話と、
金細工師も住んだことがあるかもしれないが、基本的にはプラハ城の下働きの人たち
(メイドとか下男とか)が住んでいたのだ、という話もある。
……どんどん当初のイメージから離れていく。
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ちなみにみんなに訊かれたのが、「チェコは何語なの?」ということ。
チェコはチェコ語です。
「チェコ語ってどんな言葉?」……訊かないで下さい。わかりません。
ガイドブックを読む限りでは、発音は難しくなく、素直にローマ字読みをすればいい、とのこと。
とりあえずわたしは「ドブリーデン(こんにちは)」と「ジェクイ(ありがとう)」だけを押さえる。
それ以上を覚えても、どうせ相手のチェコ語がわからないのだから、
チェコ語で話しかけられても困る……。
とりあえずチェコ語が書いてあるもの3枚。
Czech letters.
プラハの水道局、とかなんとか書いてあるんでしょうね、多分。
あ、これマンホールの蓋です。
地下鉄のプラットフォーム。なかなか洒落たデザインだと思う。
中華料理屋さんの看板。4階だと書いてあるのだと思われる。
CHINA RESTAURANTの部分は英語ですね。チェコ語だとRESTAURACEと書き、
読み方はレスタウラツェらしい。
単なるアルファベットだけで構成されてないところがミソ。
フランス語なんかもそうだけど、記号がついた文字はどう読めばいいのかさっぱりわからん。
もっと困ることにパソコンで出せないので、文字を拾って来るのに苦労する。
今後、ズルしてアルファベットのみで書いてしまうことも多々あるかと思いますが、ご容赦下さい。
というか、記号付き文字は機種依存なので表示できません……