京都/Kyoto:2011

7.並河靖之美術館。

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知恩院の後、予定になかった並河靖之美術館に行くことにする。

並河靖之とは誰か?
――七宝作家です。明治期の人。
去年NHK「美の饗宴」シリーズで特集した時に初めて知ったんだけど、
番組を見ながら、ひょえーっ!だの、うぎゃーっ!だの叫んでいた。

ものすごく細かいんですよ!!
人間技じゃない!何もアンタそこまで……と言いたくなるような超絶技巧の数々。
口を大きく開けたまま画面に見入る。
よくもまあ、これほどに。呆れるばかりに微に入り細にわたって。
執念深く、よく作るものよ。――むしろ悪口を言っているように聞こえるだろうが、
本当にほとほと感心したんです。

彼の作品を収めた美術館が京都に2ヶ所ある。並河靖之七宝記念館と清水三年坂美術館。
折しも京都に行く予定ではないか。この人の作品を直に見たい!
幸い、清水三年坂美術館は清水寺のすぐそばだ、行こうと思えば行ける場所だ!!

……だがしかし。
実際に行ったら清水寺に朝の7:15に着いてしまったので……三年坂近辺を通るのは8時。
そして美術館の開館時間は10時。
2時間もとても時間をつぶしていられない。仕方がない、今回は諦めよう。

でも朝食の時に今後の経路を確認していたところ、Kちゃんが「いいよー」と言ってくれたので、
急遽、並河靖之七宝美術館の方へ行くことに決定!!
こっちなら、今から行くとしてもルートもそれほどはロスしないし……
うれしー。行けてうれしー。

並河靖之七宝美術館。

平安神宮からほど近い、しかし静かな裏通りにある小さな美術館です。
元々並河靖之本人の自宅だったらしい。大きめの町屋と、小さな作業場が残っている。

……もうなんというかね。彼の作品は宝石ですよ。
10センチちょっとの花瓶とか。そこに描かれた花びらなんて1ミリ2ミリの世界。
それに微妙なグラデーションを色付けしていくんだから!
テレビを見た時も思ったが、ここまで来るためには一体何万回の試行錯誤を……

だって七宝ですよ。絵じゃないんですよ。絵なら絵具の色がほぼそのまま出ると見ていいが、
七宝は釉薬。配合の割合、焼成温度、湿度、それぞれに微妙な差があれば、色もまた変化する。
それをグラデーションで並べて行くことの難しさといったら、
考えただけでも、自分だったら最初からやる気になりません。

日本の工芸はすばらしいなあ。
わたしの乏しい知識だけで言うのはおこがましいにもほどがあるが、
おそらく古今東西世に出たもののうち、最高水準を生みだしているだろう。
人間が極められる最高のもの。蒔絵も截金も鋳金も溜息をつくしかない完成度で作られている。
NHK、ありがとう。(しかしホームページはもう少しちゃんと作れ!)

個人宅だった頃の庭がそのまま残っている。
狭い庭なんだけど、よく作られていて雰囲気が良かった。

The garden of Yasuyuki-Namikawa museum.

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そこからインクラインへ。
今回初めて「インクライン」なる観光地があることを知ったのですが、
どうも貨物用ケーブルカーの廃線跡地のようです。

春は桜の名所らしい。
端から端まで歩くと相当あるようなので、ほどほどに切り上げて普通の道に戻る。

次は、南禅寺。

Nan-zen-ji temple.

……この辺からね。息苦しさが増していきました。
何しろ人が多い。多すぎる!
自分がお上りさんであることを思いっきり棚に上げて言うが、なんでこんなに人が集まって来てんねん!
まあ、例えていうなら地元の七夕の時の中央通り並みですよ。
紅葉の時期の京都を舐めていた。人混みに酔い始める。

ここからずっと哲学の道を北上するわけだが……

まあみんながだいたい同じルートを辿るので、行っても行っても行っても行っても
人混みが途切れるはずもなく。
追いつめられてオナカ痛くなった。Kをその場に待たせ、泉屋博古館という美術館に避難する。
そういえば、ここの前庭は、つい最近ネットでチェックしたところだなあ。
ネット上の写真だとかなりうるさく見えて嫌いだったが、実際に見るとまあまあ。現代的といって通る。

哲学の道の北の終点(始点)、銀閣寺まで来ると……うええ。
参道の人の多さが。まっすぐの道、人の頭しか見えない。逃げ出したくなる。

いや、入りましたけどね。ここまで来たんだから銀閣寺にも。

Gin-kaku-ji temple.

写真だととても静かな環境に見えるけれども……嘘ですからね!
撮ってるこっちは、押し合いへしあいしながらアングルを確保してます。
だいたいこういう所の庭をめぐる散歩道なんて、せいぜい2人が並んで通る幅じゃないですか!
そこをぎっしり並んで進む。あるいはかきわけて進む。
禅寺のワビサビなんて、どこにもありません!!

ちょっとボケてるけど、帰り道に撮った参道。
これでもまあ、出て来てちょっとほっとしたくらい。寺の中は七夕の花火大会並でした。

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その後、タクシーに乗って下鴨神社へ。

A brook as a holy place in Shimo-gamo-jinja shrine.

ここは糺ノ森がきれい。参道の横を小川が流れており、京都でもとりわけ好きな場所の一つです。

Shimo-gamo-jinja shrine.

夕方なので、もう色がちゃんと出てない。

下鴨神社近くの喫茶店「木下珈琲店」に入り、チーズケーキとミルクティーのセットでのんびり。
いや、歩いたねえ。もちろん途中で休みながらだとは言え(昼食は並河美術館を出た後摂った)、
清水寺から銀閣寺まではずっと徒歩ですよ。
地図上の直線距離でも4キロはあるから、多分実際に歩いた距離は10キロとか。
Kはけろりとしており、……わたしはこのルート、絶対時間が足りなくてどっか省略しなきゃ
ならないと思ってたんだけどなあ。どんだけさっさか歩いて来たんだ。
予定になかった並河美術館まで入ってしまった。
(まあ清水三年坂美術館は省略したんだから、プラスマイナスゼロか)

ここまで予定をこなせる要因、実はさっさか歩く以上に重要なのが、――お土産店に入らないこと。

「あー、これカワイー。ちょっと見ていい?」
……我々、そういうのがほぼナイ。ひたすら目的地から目的地に移動するので実に効率的。
店をぶらつくのも旅の重要な楽しみである部分もあるだろうが、
わたしはどっちか言ったら買物は面倒なタチなので、店歩きはそれほど好きな方ではない。
Kもどっちかというとそういうタイプ……
――しかし今回は、それにしても買物しなさすぎだろう、と可笑しくなったけどね。
良かったのか?あれで。

その後、JRだったかな?京都駅まで戻って、ここでお土産まとめ買い。
各自買いまわって、1時間後に集合。効率的。
だがその後、駅で夕飯を食べようと思ったらどこも激混みで……
並ばなきゃ食べられないとこばっかりで少し困る。朝7時から行動しているので、
もうあんまり時間かけたくない。
Kが、「ホテルの近くに何かあった気がする」とのことなので、ホテルに向かって歩き、
途中のイタリアンに無事入る。ゆっくり食事をして、ホテル帰着。20:40。

万歩計は26000歩。おお。

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