11.浄瑠璃寺。

奈良/Nara:2014

今回初めて行って、そして堪能したのは浄瑠璃寺。

ここは前から行きたかった。九体阿弥陀仏のインパクトもさることながら、本堂と池のたたずまいが素敵。
テレビでも写真でも、常に見るたびに行きたいなー、行きたいなーと垂涎。
しかしまあ、奈良自体に20年近く行ってないのですから……今回ようやく行けて嬉しい。

ただ、浄瑠璃寺の残念なところは、……残念なところと言うのもなんだが、
なにしろ交通が不便なので、車じゃなければ1時間に1本あるかないかのバスしかないわけですよ。
で、浄瑠璃寺に車以外で行く人はみんなそのバスに乗って行く。
――終点の浄瑠璃寺で降りてぞろぞろと。まるで団体旅行のように。
せっかく冬の奈良に来て個人旅行をしている意味がない。

まあ公平なところを言うと、団体旅行というほど見物人は多くなかったですけどね。
10人弱といったところか。他の人が先に本堂に向かうなか、わたしは先に庭を廻って時間をずらした。

アプローチも鄙びていて良いなぁ。この日は雨が降っていました。

雨の滴がとてもきれいで撮りまくり。

白梅のようだと思いませんか。

ああ、いいなあ。鄙びてて。
創建が1047年というから……なるほど、前九年の役の4年前か。平氏が都で全盛を誇る20年前。

でも、建物のフォルムが唐招提寺本堂に似ている気がする。
ゆえに建てられた時代はもっと前のように感じる。
見れば見るほど簡素で美しい。必要にして十分。
計算され過ぎていない美しさ。

本堂の中には九体阿弥陀仏がいる。

――わたしは仏像を見るのが好きだけれども、それは美術作品として見る。
あまり「ほとけさま」「キリストさま」という意識で見ないようにしている。
そういう風に思うと、造型的な良さ悪さを云々しにくいじゃありませんか。

だが、この阿弥陀仏はわたしにとって美術作品というよりも「ほとけさま」だった。
中央仏の正面に座って見上げると、予想外にふっくらとしてのんびりした感じの仏さま。
ラインがどうこう、全体的なバランスがどうこう、と思うよりも先に、
「しかたのない奴じゃのう」と呟く阿弥陀仏の声が聞こえた気がして、ほっと肩の荷が下りる。
嬉しい気持ち。

ただそののんびりした眼差しをうっすらと覚えているだけで、どんな仏像だったのかはうろ覚えだが、
ふっくらとした柔らかなほとけさま。あごの下のぷっくりが可愛い。
家から行けるところにこういうお寺があったら嬉しいんだけどなあ。

他の人が庭の方に回った後は、係の人とわたし以外は本堂におらず。
暗くて静か……と言いたいところなのだが、実はこの日は庭の池の手入れか何かで、
池の水をポンプでくみ出しており、そのポンプの音が相当うるさい。
まあ、ここで静寂に包まれると、シチュエーション的にツキすぎのような気がするから、
こんなんでもいいか、とちょっと笑える。

1時間ほどいて浄瑠璃寺を後にする。バスの時間がこれしかない。

ちなみに、この辺りは当尾の里といい、岩船寺と浄瑠璃寺を結ぶ山道は石仏などがあるハイキングコースだそうだ。
予定ではJR加茂駅からバスに乗って岩船寺へ行き、そこから歩いて浄瑠璃寺へ行こうと思っていたのだが、
この日は雨。寒さも寒いこととて浄瑠璃寺だけにしておいた。

だが、浄瑠璃寺まで着くと、そこから岩船寺までは徒歩しかないと思っていた交通手段が、
バスも1、2時間に1本あるようで、しばらくの間スケジュールの組み換えに悩んだ。
だが、やはりバスで行っても接続が悪いことこの上なく、そういうことを気にして拝観というのも
気ぜわしいだろうと思い、当初の予定通り、浄瑠璃寺だけを心穏やかに見た。
岩船寺と石仏はまた今度。

ちなみにその日ホテルで買った、奈良交通で出している「奈良公園・西の京 世界遺産 1Day Pass」は
バスのみ利用可だけれども1日500円乗り放題。
浄瑠璃寺まで片道のバス代が通常570円なのに、なんと浄瑠璃寺まで行けるんですよ。
気付いて良かった。お得。

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