そもそもなぜクレタ島まで足を伸ばしたかというと、
ここにはクノッソス宮殿という有名な遺跡があるから。クレタ文明の代表的な遺跡。
ギリシャにそう何度も来られるとは思えないし、この機会を逃すと永遠に訪れることなく
人生が終わりそうな気がしたので。
クノッソス宮殿はイラクリオンの町からバスで30分弱のところにある。
が、実際に行くのは翌日のことにして、まずは町中にある考古学博物館へ。
ここにはクノッソスの出土品が数多く収蔵されている。……しかし改装中で展示は一部分のみ。
改装中なのは事前にホームページでチェックしたので知っていた。
でもなあ、いくら改装中っていっても、この狭さはないんじゃないか。
展示室はバレーコートくらいの広さの部屋一つのみ。考古学博物館といったら、
イラクリオンの観光地の第一だろう、それがこんな状態じゃああかんなあ。
美術館・博物館は体力気力を充実させて、正面からがっぷり四つに取り組んでこそですよ。
そういう状態でこそ、出会いがあるというものなのに……こんなしょぼい展示では気が乗らんわ。
有名な収蔵品はこの辺だろうか。

A rhyton (libation vase) in the shape of a bull’s head.
牛のリュトン(=杯)。どこがどうなって杯になっているのか、いまひとつよくわかりませんが……

Snake Goddess.
蛇の女神。クレタ文明はいわゆる古代ギリシア文明に先行する古い文明のため、
古代ギリシアの調和や明朗さとはまた別の文法で成り立っている。
おどろおどろしい。が、造型は意外にモダンですね。

Wall painting of Minoan bull jumping.
牛跳びの壁画。クレタ文明は牛がキーワード。
ギリシャ神話のミノタウロス(牛頭人身の怪物)の迷宮も、クレタ島にあったとされる。
気合が入っていない時に有名どころを見ても、「はいはい、これね」程度の感興しかわかず……。
ううん、これでは見たって言えるのか。
わたしがこの博物館で最も注目したのはこれ。

It says “luxurious gaming board,known as the chessboard.”
“チェスボード”と言われているらしい。もちろんチェスそのもののゲーム盤ではないけれど、
それに似たボードゲームだったはずだと。
しかしこれ、紀元前1600年―1500年あたりのものだそうですよ。3500年前。
そんな昔なのに、なんと洗練されたデザイン。遊び道具にさえここまで凝れる文化は相当に豊かだ。
やはりこの地域は進んでいたんだなあ。日本はまだ縄文時代でしかなかったのに。

Portrait bust of a man.A tombstone?
少々写真がぼけているが、これも数少ない気に入ったものの一つ。
たしか墓のそばに飾られたモニュメント、という説明だった気がするが……
時代はいつだっけかな。メモしてくるのを忘れると、もう二度と思いだせない。
表情が心を打つ。死者の像というより、死者を悼む側の人物である気がする。
悲しみをこらえようと歪んだ顔。時代を越えて、すぐ隣にいるように感じる。
あっさりと考古学博物館を見終わってしまい、この時点で12時。
この午後をどうやって使おうか。
じゃ、マリア遺跡へ行っちゃおう。本来は明日の予定だったし、スケジュールきついなら
行かなくてもいいと思っていた場所だけど。
マリア遺跡はイラクリオンからバスで1時間かかるらしい。バスもあるかどうかわからないな。
とりあえずバスステーションに行ってみることにする。


コメント