18.ようやく来たよ、瑠璃光寺。

北九州・山口/2025

なにしろ中学生の頃でしたから。瑠璃光寺の存在を知ったのは。

源氏物語にハマったおかげで京都は憧れの地になった。平安時代に浸りたかった。だが地元は歴史的なものというと、とりあえず安土桃山しかなく……。平安時代の雅はほぼない。京都から遠く離れた場所に生まれたことを残念に思った。

その流れで仏教美術が好きになった。ふうん、京都奈良以外に、山口県にも五重塔があるんだ。……まあ当時は物を知らない中学生の頃ですから、仏塔はだいたい近畿地方に集まっているものだと思っていた。京都よりも遠い山口県に、この塔を見に行くことがあるのかなあ。

――と思ってから数十年。来たよ。瑠璃光寺五重塔。

五重塔もわたしを待ってくれていた。

わたしにとって瑠璃光寺の五重塔は山口県の大きな目的の一つでした。だがこの旅行の日程を決めて、飛行機取って宿を決めて……これを3カ月前くらいに終わらせて、出発の2週間くらい前に何の気なしに情報をあさっていると。

……へ?五重塔、修復中?

瑠璃光寺の五重塔、現在修復中なんだって!え~~!数十年越しの宿願を果たそうというこの時に、よりによって修復中!?止めてくれよ、悪い冗談は!

――でもまあ仕方ないですね。わたしが予定を決めた時にもこの情報はあっただろうが、……まさか修復中かどうかなんて調べませんよ……。少なからずがっかりするが諦めは早い。だってどうしようもないじゃないですか。

しかしSLやまぐちの中でこんなアナウンスが。
「――瑠璃光寺の五重塔も先週、修復を終え、見事な姿を現しました」
ほおぅっ!?直った?間に合ったのか、わたしが来るのに合わせて。工事全体が終わるのはもう少し先のことらしいですが、五重塔が見れればわたしはじゅうぶん。

写真は撮りまくった。……が、結局アングルはほとんど同じなので一枚だけ。
本当にきれいな五重塔です。斜めからのプロポーションが抜群だね。体が細身。

細身なのがわかるでしょ?

ここにはもちろん本堂もあって、お詣りも当然するのだけれども、やはり塔の方がメインですねえ。実は秘仏公開&資料館1000円だったんだが、正直にいえば秘仏の方はちょっとアリガタミがなかった。資料館は面白かった。古めかしかったけど。

瑠璃光寺で1時間内外過ごしました。大部分は五重塔を撮っていた気がする。あ、少し寒かったので、あったかい甘酒を飲みながら休んだな。

 

洞春寺で驚いた!

この時点で16:00頃ですね。まだ少し時間はあったから、瑠璃光寺の隣の洞春寺ものぞいてみることにしました。ここは毛利家菩提寺とのこと。

でも観光客が行くところではないのかもと思った。時間が時間のせいか、他に人はいなかったし。内部へ入れるような入口も見当たらなかったから、一回りして帰ります。

――と思ったが、お寺から出ようとしたところで白い椿が目についた。

いいねえ。きれいだねえ。椿は特別好きな花ではないが、白い椿には凛とした気品があると思う。まあ花でしたらだいたいのものは好きですよ。

そして椿を撮っていたら、「平成大仏は奥の馬小屋の先になります」という看板が目に入る。
なんだろう、平成大仏って。大仏があるんだろうか。どのくらいの大きさの?

どう見ても物置、という建物の横の小道をおっかなびっくり登っていく。だがなかなか大仏らしき気配がない。急に人がいて驚く。坂道の上に立っているので目に入らなかった。観光客という雰囲気ではなく、近所の人。関わらないまますれ違おうとしたのだが、そこで見た光景にあまりにも驚いて思わず声が出る。

「馬ですか!?」
小屋の中に馬がいるよ!なんで?お寺でどうして?相当大きな神社なら神馬の存在がないわけではないけれど、それだってかなり珍しいことだし、ここはそういう規模のお寺じゃない。そもそも神馬ではなく、どう見ても普通の馬。そして理解する。さっきの看板の馬小屋をわたしは無意識に「元馬小屋」と変換していたけれど、現役の馬小屋のことだった。

あまりにも動揺していて、近所の方が説明してくれた事情も詳しくは掘り下げられなかったのだが、どうやら引退競走馬のボランティアを行なっているらしい。……そして、こっちはよくわからない部分なのだが、馬の世話をするために(?)ドイツから高校生を受け入れて、長期でホームステイを引き受けているとか。

引退した競走馬で、ドイツからの留学生で、お寺で、大仏で……。目の前には馬がいる。その可愛さと情報量がせめぎあって、脳内整理が出来ない。今となってはもっと詳しく冷静に状況を聞けば良かったと後悔しているのだが、何しろ馬が目の前にいるので、話を聞きながらも撫でたくて仕方ない。

近所の方は親子連れで、お母さんと赤ちゃんと小学校高学年くらいの女の子。女の子が馬が好きらしく、よく見に来ているようだった。わたしにも(はみかみながらも)いろいろ教えてくれる。

馬の名前はシャル。バナナが好きらしい。馬のそばにいるヤギはたまちゃん。ヤギの餌の草を「エサをあげてみますか?」といって渡してくれる。ヤギは目が三日月でちょっとコワイ。歯が丈夫そうなので、指に噛みつかれないかとおっかなびっくり。

そこに噂をすればの外国人の少年。彼がドイツからの留学生?日本語を流ちょうに話す。馬を散歩に連れ出し、女の子は馬についていく。

わたしはそれを見送り、馬……ヤギ……馬……ヤギ……とまだ頭が整理出来ていない。残されたヤギと顔を見合わせて(?)「びっくりしたねー」と呟く。いや、ヤギは別にびっくりしてないだろうが。

興奮冷めやらず。でもずーっとここにいるわけにも行かないから、平成大仏を探しに行きました。それがこれ。

う、うーむ。……ちょっとコワくないかね?アーティスティックではあるけれども。小さい三角の造形物は、小さい仏さまです。そーっと手を合わせてそーっと離れる。もしガバッと立ち上がって追いかけてきたらどうする。

ヤギには「じゃあ、行くね」と言って手をふる。馬が行ってしまって一人残されるのが淋しいのか、手を振る私に近寄って、なんとか遊ぼうとしているみたい。バイバイ。元気でね。

出て来た時に、散歩から帰って来るお馬さんとまた会いました。いてもいいんだったら、もう少し馬との触れ合いを続行したいところなんだが、時間は夕方でいろいろ馬のお世話が必要な時間帯だろう。後ろ髪ひかれつつお馬さんの国から離れます。

世の中にお寺はかなりあるけれども、馬を飼っているお寺は珍しいだろうなあ。和尚さんに、馬を飼うまでになった経緯を取材したくなった。

スーパーで夕飯を仕入れる。

もう夕暮れの時間帯。でも時間もあったことだし、車を返す前にレンタカー屋さんの向かいのスーパーに夜ご飯を買いに行きましょう。

ご当地ものっぽいもの:長州鶏の塩唐揚げ、太鼓谷稲成神社の御祈願いなり。
ミックスサラダ、柿3個、みかん5個、三角チーズサンドパン、これにお土産のチキンチキンごぼうのフリーズドライ(?)を買って、2200円かかりました。こんなに買ったか。でもお土産もあるし、果物も買ったからね。みかんは次の萩に行くまで消費出来なかったけど。旅行中にはビタミンCを取るといい気がする。

明日は山口市と防府市を両取りです。本当は防府市は防府市で1日取りたかったんですけどねえ……。半日時間が足りませんでした。

 

 

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