弘前・五能線の巻/2025

5.千畳敷とリゾートしらかみ。

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翌日は8:30にホテルをバスで出発。

そしたら間もなく添乗員さんからアナウンスが。「皆さん昨日から5分前集合など、大変ご協力いただいているので、私と運転手さんからプレゼントを差し上げたいと思います」……

いや、今回のツアーの人はほんとに規律正しくて、全員いつも集合時間のだいぶ前にバスに戻っていたのよね。わたしはだんだん緊張してきたくらい。みんなが早めに戻るから、ついつい焦ってしまって、15分の休憩でも10分過ぎたら慌てて戻る、みたいな。

それはそれとして、プレゼントとはなんぞや?と思ったところ、
「降りられません。降りられませんが、……ちょっとルートの変更をして、わさおのお店の前をちょっとゆっくり通りたいと思います」。みんな拍手。

 

わさおの店。

わさおって知ってます?毛量がむわむわ、わさわさの秋田犬。ブサカワで有名でした。2010年前後に人気だったんですねー。へー、映画もあったのか!5年前死去。意外に最近まで生きてたんだ。

まあ店の前を通ったからといって、死んでしまったわさおがいるわけではなく。今は子供の二代目がいるらしいけど、何しろ朝早めなのでまだお店の開業前だろうし、何がどうというわけじゃなかろう。昔テレビで見た飼い主のおばあさんももういないんだろう。
でも「わさおの店の前通ったよ」というのも話のタネ。菊谷商店というらしい。ちょっとうれしい。

間もなく「もうそろそろお店ですよ」と声がかかり。わたしはこの日、右座席の通路側に座ってました。隣の人越しに覗くと、年代感のあるイカ焼きの店が。白い犬の前足だけが見えた気がした。そして建物の陰から黒白ぶちの猫がひょこっと出て来たところ。バスは少し徐行してくれて、でも小さいお店の前をあっという間に通り過ぎる。

そこで目に焼き付いた光景が。
もうお店の焼き台の前に立っていた(多分)若い女性が、徐行するバスに向かって、満面の笑みで大きく手を振ってくれたのよね。一瞬だったし、そこまでちゃんと見たわけではないが、その明るさに感銘を受けた。

停まって買うわけでもない観光バスに。言い換えれば一銭にもならない、店の前を通り過ぎるだけのバスに。元気に手を振ってくれるその人のふるまいが尊い。正直、思い出すだけで泣きそう。

こういう人に幸があるといい。具体的には店の売り上げが上がって欲しい。わたしはもうこの道を車で通ることはないだろうけど、この道を通る方はぜひ立ち寄って、イカ焼きを買ってあげてください。現在おそらく1パック800円です。どのくらいの量かはわからないけれど、わたしの過去のイカ食べ経験?からすると、多分けっこうお腹にたまります。小食だったら十分お昼ごはん。オヤツだったら3人くらいでシェアした方がいい。切ってパックで売ってくれているので、持ち帰りもシェアも容易。

 

千畳敷へ。

それから間もなく千畳敷です。20分くらいかな。千畳敷がそれほど楽しみだったわけではないが、でもこの辺りに来るのなら、やっぱり見ておきたい場所。

 

バスを降りた時は小雨でした。全然平気。引き潮だったのでしょう、相当水が引いていたので陸地を辿って遠い海際を目指す。

しかし岩場を海へ向かって歩いていく間に、みるみるうちに雨足が強くなってきて、あっという間に横殴りの雨。

2、3分のうちにカメラのレンズにも水滴がびっしり。ほら、あそこに並んでいる紫のバスのところまで自力でたどり着かなければならないんだよ。けっこう遠かったよ。急いで帰る。
急いで帰ってもけっこう濡れました。ほんの3分くらいの間に。

自由散策の時間は、本来は1時間弱だったようです。9:30に千畳敷にバスが着いて、10:30の五能線のリゾートしらかみに乗る。千畳敷から徒歩3分くらいの駅まで、自力で向かうはずだったのよね。でも雨が強すぎて結局みんなバスに戻ってしまって。

ここで添乗員さんが予定を変更してくれて、みんなをバスで駅へ連れてってくれることになったのは大変有難かった。前にも同様の事例があった可能性もあるけど、けっこう難しい変更だったと思うのよね。

駅は道路ギリギリでバスを停める場所がない。駅自体が小さくてツアー客全員が入れるかどうかさえ微妙。ホームに屋根はない。当然電車は時間にならないと来ないし、千畳敷から駅へ行くと位置が逆側だから、一度バスは方向を変えて戻ってこなければならない。自家用車で走っている時でさえUターンの場所に苦労することが多いのに、バスがUターンする場所を見つけるのもなかなか大変ですよ。

実はわたしは傘を持って行ってませんでした。天気予報を見てもこの2日間、雨予報はなかったのよ。大丈夫だろうと甘く見て、がっつり降られた。

その後、いろいろ頑張った結果、なんとかみんなで無事にリゾートしらかみに乗れました。ここらへんのわちゃわちゃ具合は多少大変だった部分。

 

リゾートしらかみ。

今まで何回も説明もないまま書いて来て今さらですが、リゾートしらかみは電車の名前です。臨時快速列車。

……ではあるが、実はわたしはこれについてほぼまったく知識がありませんでした。いや、「リゾートしらかみ」という名前自体は知っていたのよ。でもあまり興味がなく……自分では鉄成分が若干ある方だと思っているのに、電車の種類には興味がない。「どこを走るか」にしか。

だが、乗ったらなんだかわくわくしました。だって電車がきれいだったんだもの!

ここは浮かれて見学に行った、別な車両の個室シート。6部屋くらいあったかなあ。4部屋くらいは外国人の乗客が乗っていました。来るんだねえ、五能線にも海外から。家族連れが多かった。
自分が座った場所は普通の2人掛け席で、そこもきれいで広くて快適だったけど、写真に他人様がばっちり写ってしまったので見せられません。

運転席もクリアに見える。
添乗員さんがリゾートしらかみのスタンプを押したハガキをみんなに配ってくれました。

あとね!この列車では津軽三味線の体験教室をやってくれているの!
津軽三味線の生演奏じゃないですよ。
体 験 教 室 。
つまり自分が三味線を弾かせてもらえるんです。これはやらせてもらうしかないでしょー!前のめりで参加表明。何事も経験です。

津軽三味線は思った通り大きかった。重さはそれほどではなかった。正しい構え方はあんまりちゃんと出来なかった。左手側(ネック側)はまったく動かさず(そこまでは短時間ではたどり着けない)、右手の弦を選んで弾いて曲らしきものに聞かせるという。8小節分くらい?

バチの握り方が難しかったんですよね。わりと角のあるバチを教えられた通りに握ると、角に手のどこかが変に当たって意外と痛い。慣れると平気になるのかな。教えられた通りにたどたどしくバチを動かす。こういうのは遠慮をして小さく弾くと余計難しくなってしまうものですから、津軽三味線の迫力のある音を目指してバチバチはっきり鳴らす。

それが良かったのか、教えてくれる先生にたいそう褒めてもらえました。「ほんとに筋がいい。初めてでここまで弾ける人はなかなかいない。津軽三味線習った方がいい」……と、誰にでも言っていることかもしれないが、3回くらい言われたので、多少の真実はあると思いたい。

教える方も教わる方もけっこうのめりこんでいたので、ちょっと長くやってしまいました。はっ!と気づいて最後に(自分の)写真を撮ってもらう。改めて見るとやっぱり棹が長いね。これ左手も動かすとなると難しいだろうなあ。

そして、レッスンが終わってふと気づく。しまった、わたしは根本的に間違っていた。他の弦を触ってしまうのが怖くて、バチで弦をすくって音を出していた。本来は弦を叩いて音を出すものなのだ。やってたことは真逆。しかし気づいても後の祭り。もうちょっとやりたかったなあ。

それから、たしかどこかの駅でちょっと停まったんですよね。隣のホームに別なリゾートしらかみが停まっていた。

 

これが「ぶな号」で、

こっちが我々が乗った「青池号」。

 

 

あー、カラーリングが違うんだ。そんなことも知らなかった。さすがにもうちょっといい写真が撮りたかったけど、ホームは狭いし人は多いし、停車時間は少ないしで、実に慌ただしかったんですよね。

ちなみにリゾートしらかみにはもう一種類、「くまげら号」もあるらしい。オレンジ系のカラーリング。実はこれはねー、どこだったか忘れたけど、バスから見えた。添乗員さんが突然「あ、みなさん、右手の方の線路を見てください。くまげらが通りますよー。これでみなさんはリゾートしらかみの3種類を全部見たことになりますね」と教えてくれた。そう言われると、コンプリート欲がわりと高めなamairoは大変得をした気分になりました。3種類みんな見た。

嘘かホントか知らないが、この場所を通る時に「くまげら号」が見えるだろうというのは添乗員さんの計算のうちだそうです。時間を合わせるのはけっこう難しいと思いますよ。いくら道路と線路が並走しているとはいえ。たまには離れるところもあるんだし。

あ、そういえばですねえ。リゾートしらかみはその内装のきれいさにも関わらず、けっこう揺れました。まあ電車はごぎれいだが、地方の、元からの鉄道だもんねえ。

車内を歩く分には揺れると言ってもたかが知れていますが、トイレに行く時はけっこう注意です。トイレもきれいで広いけれども、その広さが仇となってなかなか難易度が高い。転ばないかどうかちょっと本気で心配になった。わたしも足元にそれほど自信がある方ではないのですが、ご高齢の方はトイレに行かないように考えておいた方がいいかもしれません。

 

宿願達成。

リゾートしらかみには約50分の乗車。あっという間でしたが、長年の願いである五能線乗車を達成することが出来て、本人的にはとてもめでたい。浮かれてしまって、宿願達成をしみじみと味わうという情緒はなかったが。出来ればもう少し乗りたかったけど。

さて、一行は十二湖駅で下車です。バスは我々を先回りして待っていてくれました。ここからバスでちょっと行くと白神山地、十二湖の中の青池。わたしが今回の旅で一番期待していたところ。この雨の中。青池はどうなっているんでしょうか。

みんな無事にバスに乗って。今から青池近くの「森の物産館キョロロ」へ向かいます。

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