永観堂から詩仙堂に向かう。詩仙堂は昔二度ほど行ったことがある。好きな場所。
しかしその前に、修学院離宮に行ってみようと思った。予約は例によってぐずぐずしているうちに埋まってしまったので、
行っても入れない。しかし辺りの雰囲気でも味わって来ようと思ってさ。
でもバスを降りてから気づいたが……もう夕方でだいぶ疲れている。
バス停から15分歩いて修学院離宮に行って、門だけ見て帰ってくるなんて……もう足イタイよ。
止めとけばよかった。でもここからバス停に戻って詩仙堂行くのも、歩いて詩仙堂行くのももうあんまり変わらない距離。
まあせっかく来たんだからと思って、痛む足を引きずって修学院門前までたどり着く。
期待に反して修学院離宮は竹垣をかなりの高さまで巡らし、中の様子は全くわからない。
門前はすぐに普通の住宅地で、別に趣というものもない。誰もいない。はっきり言って来る価値はない。
まあだいたいそんなもんだろうけどね。そんなに期待もしてなかったけどさ。
しかしここにたどり着いた時に、ちょうど15時だったというのがポイント。
門前に張られたテントに、若いおにーちゃんが二人いる。そのうちの一人が声をかけてくれる。
「中に入りますか?」
……へ?ほ?中に?
いや別に予約してませんが。物好きにもたまたま来ただけで……あ、そうか。
ここの見学は予約制で、すでに予約はいっぱいだけれども、でも当日キャンセルということはあり得る。
この時点で受付締め切りの15時ちょうど。きっと見学人数の空きがあるんだ!
3秒くらいかけてそこまで思考がたどり着き。
「入れるんですか?」「入れますよ」「入れるんなら入りたいです」というやりとりの後、
おにーちゃんが受付してくれて。「そろそろ出発なので急いで下さい」と門を指さす。
いやー、ラッキーだねえ。
まさか入れるなんて思わなかったし、当日キャンセルなんて全く頭の中になかった。
これが前後に10分もずれていたら、おにーちゃんが声をかけてくれることもなかっただろうし、
当日キャンセルなんて気づかないまま詩仙堂に向かっていただけだろう。
これも旅行のカミサマのお導き。
(わたしの写真はまったく良くなかったので、もっと修学院離宮らしさがよくわかる写真があるサイトを張っておきます。)
しかし、天下の修学院離宮の門がこんな簡素さだからね。びっくりした。
帝が入るような正門はまた別にあるのかなあ。しかし離宮のコンセプトからして、あまり仰々しいものもまた違うと思うが。
修学院離宮は30人くらいのグループで、ガイドさんがついて説明を受けながらの見学。自由行動禁止。
正直そういうの苦手。疲れてるし、自分のペースで動きたかった。
庭なんてごちゃごちゃ言われながら見るもんと違いますやん。
敷地は広大で、しかし田んぼがけっこうな面積を占める。この田んぼは、帝が鄙らしさを出そうとわざわざ取り込んだ
斬新な作庭技法だったらしいのだが……そもそも鄙に住んでいるわたしにはあまりにも見慣れすぎた風景。
折しも稲の刈り入れ時期で、トラクターなんぞも散見されるというのでは、有難みもありません。
見学コースは1時間半くらいだそうでしてね。
修学院離宮にたどり着く前にすでに足イタイ状態だったわたしにはけっこうな試練でした。
高低差もかなりあるし、ガイドさんに率いられての行進状態で、あんまり風景を楽しめたとは言えないなあ。
多分ここが中の茶屋の楽只軒。五段の違い棚が有名だそうで。霞棚と呼ばれているらしい。
ただ人がたくさんいるのでなかなか写真が撮れない。柱が真ん中に通っちゃって違い棚台無し。
多分敷地の一番高いところにあるのが隣雲亭。ここは良かった。
一二三石というものらしく。石が一つだったり二つだったり三つだったりするでしょ。
これが多分千歳橋。面白いのは右と左で様式が違うこと。
右が禅寺?っぽい。左は……なんですかね(^^;)。
窮遠亭。
だいぶ降りてきて浴龍池。日本の庭はその命名も含めてセンスだけれども、
ちょっとこの池に浴龍池はオオゲサ……。
もうだいぶ夕方なので色が出てない。
この色が若干マシですか。
ガイドツアー終わって16:30。
全体的な感想を正直に言えば……「テレビの特集番組で見ていた方がきれいだなあ」でした。
テレビだとぎゅっと凝縮して見せてくれるので、その作庭の精緻さが印象深いんだけど、
実際に歩くと、テレビに比較してどうしても間延びするでしょ。
しかも疲れている時のガイドツアー。ベストな状態とは言い難い。
でももちろん見学できたことは大変うれしかったのでした。
桂離宮と苔寺と、修学院離宮のうち一つくらい見てみたいと思っていたしね。
門前を出たところにある一般のお宅の蔵。窓のデザインが可愛らしいじゃないですか。
その近辺の咲き残りの朝顔。もう10月なので色は儚げ。