弘前・五能線の巻/2025

6.どしゃ降りの青池。と、この旅の総括。

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さっきの千畳敷以降、雨足は強くなることはあれど全く弱まらず。十二湖駅から森の物産館キョロロまでバスで10分ちょっとといったところなのですが、森の中を走っていくと、本来湖が見える筈のところに霧が満ちている。

途中、遊園地的な雰囲気のあるところを通りました。ここは前に調べた時に見つけてた。アオーネ白神十二湖。宿泊施設ってことでいいのかな?十二湖ハイキングの拠点に最適。

ここに泊まるルート検討もしてみたが、わたしにはちょっとハードルが高い……
まず単純に値段が高いね。16000~18000円というのは、2食付とはいえ普段の2倍。いや、3倍。
宿泊スタイルはコテージと和室集合棟の2種類があるけれども、まあ全体的に家族向けですよね。そして基本、レストランも大浴場もフロント、お土産屋さんもそれぞれ別棟だから、移動はいちいち外に出てしなければならない。面倒&一人だと多分夜はちょっとコワイ。
なので、やはり十二湖付近で泊まるというのはハードルが高い。

 

青池を独り占め。

森の物産館キョロロはお土産屋さん&軽食コーナーのあるそれほど大きくない建物で、バスはその前に停まりました。だがバスからキョロロの建物へ行くまでで、すでに濡れる。けっこうな土砂降り。どうしようかねえ、傘がなくて。

そこから青池へは徒歩5分くらい、添乗員さんが連れて行ってくれるそうです。……くれるそうだが、わたしは例のごとく時間をずらす。先にキョロロで目をつけていた「青池ソフト」を食べます。

……すでに食べているけど。まあだいたい想像できる味。普通に美味しいソフトクリームでした。

そして仕方ないので、キョロロで透明ビニール傘を買う。500円ちょっと。
シトシト程度の雨だったら何とか濡れてしのぎますが、現在ザーザー降り。いくら適当なわたしでもさすがにどげんかせんといかん。そして対応策としたらここで傘を買うくらいしかない。貸傘などがあれば(有料でも)ありがたかったが、いろいろ面倒だろうね。手がかかって。

傘を確保してとりあえず人心地がついて、青池への道を辿ります。

 

左手にあるのは、鶏頭場の池という名前の大きな……池?湖?ここも天気が良ければ美しかろう。名前の意味がよくわからない。鶏頭という花の種類はあるが、鶏頭場……。鶏頭がいっぱい咲いていた場所?由来が気になるなあ。雨の灰色の水面をバックに、若い緑の芽がきれい。味わいがある。

そして傘を買ったことで雨対策は万全だと思っていたのですが、青池までの道――まあ山道というほど狭くはないし、軽トラくらいは日常的に通りそう――だが舗装はされていない道を歩いていたら、途中の一番標高が低いところに水がたまっていて、靴に水が入って来た。こういう時の対策は……あきらめること。だって歩く道が水没してるんだから、いさぎよく水に浸かっちゃうしか手はないのだ。ああ。靴上浸水。

こんな雨だから、青池も濁って灰色だろう……と思っていたのですが、予想よりははるかに青。

晴れている時の輝くばかりの水色とは全然違うけど、このインク色も印象的。雪が少し溶け残ってるね。

ツアーの他の人はもう帰ってるので、ここをわたしが独り占め。天気が悪いとはいえ、こういう経験もなかなか出来ないのではなかろうか。貴重。

新芽がかわいい。樹にびっしりついた苔が。

その後、キョロロに戻って、またB級お菓子を買って(好きなんです)バスに戻る。ビニール傘を、お店に引き取ってもらえないか訊こうか迷ったが……まあ持って帰るか。お店にも迷惑かもしれないし。

青池をお昼過ぎに出発。

 

雨の日に白神山地を訪れたことの功徳。

千畳敷からこっち土砂降りで、リゾートしらかみからの車窓景色も雨模様だったし、青池も靴をどっぷり濡らしながら、買わんでもいい傘を買わなきゃなかったりしての散々な旅だったように見えますが、……まあそれはそれで間違ってはいないけれども、でも考えようによっては白神山地の真髄を味わったなーとも思います。どういうことか。

この2日間の青森・秋田の天気予報を見ても、雨予報は出てなかったんですよ。天気予報が外れることは多々あるとはいえ、小雨程度ならまだしも、雨予報が出てもいないのに土砂降りになるとは思わなかった。

だがよく考えると、こういう気象、こういう気象を生む地形がブナの森を生み、それが世界遺産になっているはず。
たっぷり雨を降らす地形。たっぷり雨が降るから広葉樹がよく育ち、ブナの森が大規模に広がる。その広大な範囲のためになかなか人が近づかなかった。人が近づかなかったから開発されずに過去のまま残った。だからこそ現代に世界遺産として保護されるようになった。

つまり我々が遭遇したこの雨は、ブナ林を広く育て、開発の波に飲み込まれる前にその価値に気づかせてくれた根本のものである。
晴れた日はもちろん良かっただろう。でもこんなことを考えさせてくれた雨もまた良い。

 

ツアーの最後は海鮮丼。

13:00過ぎに「はたはた館」というところに着きました。ツアーのイベントとしてはこれが最後。あとはひたすら仙台に帰るだけ。

お昼は海鮮丼。……と書いてあったが、ネタは別皿。これは……丼?ご飯は酢飯だったろうか。忘れたなあ。

ネタ自体の味はごく普通。サザエがわりと美味しかった気がした。しかしとにかくその種類が多くて!食べても食べてもなかなか減らない。食べてる途中で思い出しながら数えたところ、少なくとも15種類くらいのネタはありました。思い出せなかったものがもう1、2種類あった気がする。普通こういうのは横に並べて盛り付けるものだと思うが、量に対して皿が小さいのか、縦に並んでいて、掘っても掘っても別な刺身が出て来るのが面白かった。まだ出て来る!まだ出て来る!という感じ。しかしもう一度いうが、味は普通。

ここの近くには、公園なのか何なのかわからない、桜がたくさんある場所がありました。御所の台というところらしいですよ。

この写真、ガラス窓に雨滴がたくさんついてて……ちょっと時間があったので行ってみようと思ったんだけど、雨がまだ強かったのでつい日和りました。

多分左上の紫のバスが我々のバス。

14:00にハタハタ館を出て、仙台へ向かいました。
途中、往路と同じく西仙北SA、前沢SAで15分ずつ休憩あり。でもねえ。仙台駅前に着いたのは19:00過ぎですから5時間以上かかるんですよねえ。けっこう大変。

その後、駅前で夜ご飯を食べて21:00頃家に着きました。

 

楽しかった!

1泊2日。密度濃い2日間でしたねえ。前日の朝に仙台を発ったとは思えないくらい。帰り道の高速では桜がだいぶ散っている気さえしました。

とにかく桜!でした、この旅は。多分永遠に心に残ると思う。この時の桜に出会わせてくれた旅行の神サマに感謝。鶴の舞橋も良かったし、青池も良かったし、リゾートしらかみも良かった。幸せでした。

――しかしわたしは、多分今後もツアーは避けると思います。しばらく経って、うっかりまた参加しないように、自分への注意として書いておく。

もともとツアーには苦手意識があった。家族に誘われて何度か参加したことはあるけど、スケジュールが過酷な印象が強く。数だけこなすためにあちこち連れまわされ、ゆっくり見たいところもゆっくり見られないから、満足感が低い。

今回のツアーはその印象とはだいぶ違う、1カ所の滞在を長くとってくれるものでした。近年の傾向はこうなっているのでしょうか。いい傾向だと思います。こういうのだったらツアーもいいかも。と最初は思いました。

だが後で考えると、――今回のツアーが幸せなものになったのは、大前提として隣の人がお喋りな人じゃなかったからでした!

実際、後ろの席の人はずーっと喋っている人でした。最初、てっきり2人で来た人かと思っていたが、聞こえて来る会話からすると、どうも初対面らしい。片方の人が喋りまくり、もう一人の人が根気よくその相手をして。――もしわたしがその人の立場だったらと思うと震えあがります。1時間程度で疲れ切ってギブアップして、あとはもう不機嫌になってしまう未来しか見えない。

そういう意味で、今回わたしはとてもラッキーだった。もしかしたらわたしの隣の人は話したい人だったのかもしれないが、こちらの「話しかけないでぇぇぇ」というオーラを理解してくれた。大変に感謝しています。今回の旅行を最大にアシストしてくれた人はこの人。

だが、そんな幸運が2回連続であるとは限りません。となると、やはりわたしはツアーには参加しない方が無難でしょう。まあ気心が知れた知人と旅する場合はこの限りではありませんが、今後おそらく増えてくるであろう「おひとりさま歓迎」のツアーにも、うかうかと乗らない方が無難です。お互いに不幸ですから。
わたしは今後もなるべく個人旅行にいそしみたいと思います。

でも年をとって、一人で動く根性と体力がなくなったらその時は――ツアーが頼りになるねー。今回も高齢の方が多かった。とてもいいことだと思います。いくつになっても、旅が出来ないより出来る方がいいじゃないですか。
……なので、あとはわたしが今後に向かって、どれほど人間的に丸くなれるかにかかってくるかもしれません。こんなわたしでも若い頃よりはずーーーーーーーっと丸くなっているので、期待大。「知らない人とのお喋りが楽しい」という開かれたココロを目指します。(無理)

それから、今回の添乗員の方はシゴデキ(仕事が出来る人)でした。

そんなにキャリアは長くない――シーズンオフは別な仕事もしているという50歳前後の男性で、喋り方はのんびりした感じでしたが、配布物とか連絡事項のタイミングがとても良かったと思います。気持ちよく利用出来た。わさおのお店にしても千畳敷から駅への変更にしても、本当はあらかじめ決まっていたことかもしれないけど、ちょっとだけ勿体ぶって体験価値を上げる。やりすぎたら逆にマイナスですが、ちょうどいいもったいぶり方。車内でのガイドも多すぎず、少なすぎず。豆知識的な面白い内容もあった。五所川原駅に連れていってくれたのは、添乗員さんの自主的な行動だと思います。お世話になりました。どうもありがとう。

 

今回の春の旅行はこれで終了ー。本当はこの前の3月頃にキュンパスを予約していたのですが、当日体調を崩してキャンセルするはめになりました……(泣)。でもそれがあまりショックじゃなかったのはこの五能線の旅を控えていたからです。

あとは今年も過酷であろう夏をエアコンのある部屋に閉じこもって過ごし、……外に出られるようになるのはまあ早くても10月、去年も10月末まで半袖を着ていたことを考えると11月か12月でしょうねえ……。次の旅に備えて。ごきげんよう。

 

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