道後温泉街をうろうろ。
そしてここから放浪が始まります……
お風呂から上がって15:20。道後温泉を出るのは20:00ちょっと前の予定。その間、飛鳥乃湯泉入浴と晩ごはんという予定があるとはいえ、あと4時間半をどうやって過ごすか。
→まずは道後温泉街をうろうろ。(多分温泉街をトータルで5、6周しました……)
「十五万石」というお土産屋さん。この店では愛媛銘菓が1個ずつ買えるようになっています!
これ、すごくいいと思ったー!旅に行くといろんなお菓子があって、伝統的なのも新しいのもそれぞれに美味しそうじゃないですか。でもお菓子って基本的に箱売りだから、がんばってもせいぜい2、3種類しか買えないでしょ?
それがここでは一六タルトも坊ちゃん団子も、1個から買えます。どこかへ差し上げるお土産にしても、こういう詰め合わせって楽しくないですか。別に回し者じゃないけれども、このシステム、いい!他の観光地でもやって欲しい!
→再度「10factory」に行って、今度は「せとか」のジェラートを食べます。280円。
さっき気になってた。湯上がりのアイス美味しい。
→湯神社へも行きました。
隣接したところに中嶋神社というところもあって、なぜか奉納柱に愛媛県菓子工業組合、高知県菓子工業組合、香川県工業組合……ずらりとお菓子関係者の名前が並んでいるの。中嶋神社?お菓子?疑問に思って由緒を見たところ、
祭神は田道間守(たじまもり)。ははあ……。あれですよ、昔々、天皇の命令で橘を持って帰って来た人ですよ。橘――みかん。みかんがお菓子に果たした役割が大きいと。愛媛はみかん王国だしねえ。なるほどー。
→そしてもうどうにもこうにもネタ切れ。散々歩き回って痛む足に鞭打って、市電では道後温泉の一駅手前の電停そばの、湯築城跡まで(歩いて)行ってみます。だいぶ歩くんだよなあ。我ながら、どこかの喫茶店に入って休むとか、そういう選択肢はないんだろうか。
湯築城はなかなか広い道後公園の南側にあります。堀跡と、武家屋敷が復元されている。戦国初期の、大名というよりは地元領主、土豪といった存在が住んだところ。河野通直はたしか「信長の野望」にも出て来た気がする。
北側の庭園もいいです。
→湯築城から戻って来てたまたま通りかかったところ、からくり時計のからくり時間でした。人がだいぶ集まっていました。
モチーフは「坊ちゃん」ですね。
道後温泉別館、飛鳥乃湯泉(あすかのゆ)。
ようやく時間も程良きところになったので、道後温泉別館、飛鳥乃湯泉に行ってみます。
これは、本館の改修工事にあたってその受け皿として作られたらしいですね。一昨年の年末建ったばっかり。施設名及び建築モチーフは飛鳥時代にちなみ、これはやはり聖徳太子が来たことに由来するそうです。
ここも相当手をかけた建物らしい。愛媛の工芸、特産物が使われ、なかなか高級な雰囲気です。玄関には紫舟の書が麗々しく飾られています。
わたしは個室は使わなかったので、この大広間が見どころ。
ギルティング和紙を使った天井の装飾が華やか。いい雰囲気。
でも……正直に言ってもいい?わたしはこの大広間、全然くつろげなかったんですよね。
ご覧になってわかる通り、座布団とその前の箱、荷物置き場が自分のスペースです。湯上りにここでくつろぐことになっているのですが、座布団で正座するしかない。……正座は苦手。だからといって浴衣では足を崩すというのにも限界があり、いくら空いているとはいえ、この高級な雰囲気で隣の座布団に足を投げ出して座るというのもちょっと無理。
わたしはなんだったら寝っ転がれるくらいのカジュアルさが希望です。無理して横座りしていて、少々腰をいためました。正座でもくつろげる人の利用を推奨します。ここは雰囲気は多少犠牲にしても椅子にするべきだったのではないでしょうか。
お茶菓子とお茶を出してくれます。器は蓋つきのいいもので、お菓子も美味しかったが……。なぜか浴衣は薄いペラペラのもので、そこだけ高級感がないんですよね。薄すぎて正直着にくい。
制限時間は90分。入浴のみだと600円、大広間にお茶菓子付きで1250円、個室にお茶菓子付きだったら1650円、という料金設定です。こういう状態だと入浴のみか個室にすれば良かったと思った。ただ、5つしかない個室を一人で使う勇気はなかったですね。個室だったら寝っ転がれただろうけど。個室の意匠も凝っているようだし、プラス400円を出す価値はあった。
18:30までいました。
松山鮓。とは、もぶり鮓のことなり。
さあ、夜ごはんにしましょう。
夜ごはんはね!さっきまで散々歩き回って、入りたい店を決めてたの!
道後温泉本館のすぐそばにある「すし丸」。ホテルの1Fです。外のメニューに出ていた松山鮓に食指が動く。食べたい!と思ったものが見つかる幸せ。
一口食べて、……美味しい!
わたしは握り寿司はかなり好きなんですが、ちらしずしはそれほど好きではありません。全体的にちょっと酸っぱいものが多いんですよね、自分の好みからすると。でもこの松山鮓は優しい味付けで美味しい。
具も、多分鯛、穴子、エビ、煮たシイタケ、彩り程度に桜でんぶ、緑のさやえんどう、錦糸玉子たっぷり。これにおすましがついて1050円+税はお値打ちに感じました。いいものを食べた。うれしいなあ。
今wikiで調べると、子規も漱石も愛した郷土料理だそうでちょっと胸が熱くなりました。子規のことはよく知りませんが、漱石の親友ということで親しみを感じています。若くして亡くなるけれども、短い時間を熱く生きたひと。
店を出てもまだ30分ほど時間があったので、また繁華街を一回りします。……もうほとほとしんどい。この性格は何とかならんか。
松山は。
19:45。ようやく道後温泉を出て、市電でJR松山駅へ戻ります。
松山は、土産物が最強だったな!道後温泉を死ぬほど歩き回ったせいかもしれないが、観光資源を存分に活用しているのがよくわかった。みかん、温泉、坊ちゃん、みきゃん(ご当地キャラクター。グッズがすごい)、和菓子、今治タオル、砥部焼、海産物。
道後温泉は昔からの温泉地で、普通に考えればその伝統を売りにしそうなものですが、新しい店が比較的多めだと感じました。リニューアルの意識をみんなが持っていないとなかなか出来ないことである気がする。リニューアルの意識って、持ち続けるのが難しいのではないでしょうか。新しさの追求は切りがない。安住したくなる。
でも今回、思い切って本館修理に合わせて豪華な別館を作り、修理工事に際しては「火の鳥」も持ってきて(動画の出来については手塚プロ、もうちょっとがんばれ)、天空の道に足湯も作った。目新しさを感じる。攻めている。という気がした。伊佐庭如矢の精神が活きているのかもしれません。
ホテルに預けてあったスーツケースを受け取り、21:00、バスでJR松山駅発。
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