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◎美術を楽しく見るためには、好きなジャンルと出会うのが大切。西洋美術・バロックっぽくないバロック期の画家編。

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わたしが思うバロックの定義は「華麗・劇的・明暗」。なので、文句なくバロックっぽい!といえるのはカラバッジョとルーベンスです。まあカラバッジョは華麗か?というとそうでもなく、ル―ベンスは明暗か?と言われるとそうでもない。でもそれ以外の2点はかなり振り切れていると思います。

◎美術を楽しく見るためには、好きなジャンルと出会うのが大切。西洋美術・バロック編。

しかしバロックにカテゴライズされる画家のなかで、どうも納得できない人たちがいる……。

 

バロックの画家というカテゴリーだけど……

バロックの画家というカテゴリーだけど……(わたしが)納得できない画家たち。

フェルメール(オランダ)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(フランス)

アンソニー・ヴァン・ダイク(フランドル)

クロード・ロラン(フランス)

プッサン(フランス)

ティエポロ(イタリア)

見る人が見ればバロックなのかもしれません。たしかにフェルメールは光を操った画家だし、ラ・トゥールは明暗を扱っている。しかしここらへんの作家までバロックに含めると、バロックのイメージが散漫になります。

ここらへんの画家はバロック「期」の画家ではあったかもしれないけど、バロックの画家ではなかったんじゃないでしょうかね。うん、そういうことにしよう。そう考えた方がわかりやすい。

もうこの辺になると、ヨーロッパ全体を一つととらえて芸術史を語るのは無理になって来ているのではないでしょうか。国や地方によって人気のある絵・画家が相当違ってきています。時代が新しくなるにつれて残っている絵も多くなりますし、描いた画家も明確になってきますし、文献も増えますしね。バロック以降は、主流派とそれ以外という区別もありつつ、それぞれ我が道を行く感じ。

そのなかで、わたしが好きなのはフェルメールとジョルジュ・ド・ラ・トゥールです。

 

美しい静謐。フェルメール。

日本人に特に人気のある画家です。特有の静けさがある画家だと思うのですが、いかがでしょう?

フェルメールは主に風俗画を描きました。個人的な分類によれば、彼の作品には「静謐な風俗画」と「下世話な風俗画」があります。わたしは静謐な風俗画が好き。

下世話な風俗画がダメってわけじゃないんですけど、フェルメールのこの画風なら、崇高な、静謐な絵の方が絶対合うと思うんですよね。なんだったら宗教画を描いた方がフェルメールのいいところを出せたのではないかともったいなく感じるくらい。

でもフェルメールが生きた17世紀のオランダでは宗教画はそれほど需要がありませんでした。やはり絵は買ってくれてこそどんどん描けるもので、基本的には売れ筋の絵を描いていくしかない。この当時のオランダで人気があったのは写実的な風俗画でした。

 

フェルメールは写生を主にして描いた画家と言われています。カメラ・オブスキュラを使っていたのではないかという説もあるほど。

カメラ・オブスキュラ(オブスクラ)というのは何かというと――うーん、わたしには説明できない。

wikiよりカメラ・オブスクラについて。

ピンホールカメラと原理は同じという言い方はされるが、そもそもピンホールカメラってどんな原理で像が映るの?穴を開けるだけで像が映るって理解できない。レンズもないのに?

ま、原理は理解できないながら、だいたいどんなふうになるかはうっすらと想像出来ます。多分カメラ・オブスキュラを通すことで、立体が平面に変換出来て、絵にしやすくなるんですよね。さかさまだというハンデはあるとしても。実際の風景を見ながらよりも写真を見ながら絵を描く方が簡単なのと同じ。

……うーん。そういう方法を得意とした画家だったら、やっぱり宗教画は無理があったかもしれないですね。モデルをそっくり写すのではあれば宗教画は大変難しい。フェルメールも最初期には聖人の絵を描いているのですが、想像によって描かなければならない部分も多いので、写実が輝かない。

フェルメールに求められていたのは「日常」の空気だったかもしれません。フェルメールは同じ衣装やアクセサリーを何度も描いています。オコジョの毛皮つきの黄色いガウンとか、大きな真珠の耳飾りとか。これは何度もフェルメールの作品に出てきます。モデル用の衣装だったんでしょうね。

静謐な方の風俗画がこちら。

フェルメール「真珠の耳飾りの少女」

真珠の耳飾の少女(青いターバンの少女)
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:ヨハネス・フェルメール">ヨハネス・フェルメール</a> - <span lang="ja">不明</span>, パブリック・ドメイン, リンクによる

「真珠の首飾りの女」という紛らわしいタイトルの別な作品もあるので注意。

フェルメールというと必ずこの絵を出してしまう。……好きなんですもの!わたしの好きな絵、ベスト3に入る1枚。もう1枚はボッティチェリの「春」で、もう1枚は……未定です。

なんとも言い難い表情。見る時のこちらの心持ちによって表情が変わる気がします。笑顔とは言えない。むしろ放心しているような、思いがけない呼びかけに振り向いたような、一瞬の表情。

やっぱり光の画家だなあ。

最初に見た時は、眉毛がないことに非常に違和感があったりしたのですが……。青いターバンで覆われていて、髪の毛が全く見えないのも珍しい気がする。当時はこういう風俗だったのでしょうか。

この絵の唇の左端をよーく見てみてください。ちょこんと白い点があります。これは印刷の間違いでも、光が入ってしまったのでもなく、画家がちゃんと意図して置いた、たった一つの点です。

が、何度かの修復のうちにこの点の存在は忘れられ、消されてしまいました。復活したのは1994年の修復の時。この点があるのとないのとでは唇の印象がかなり変わります。たかが、この一点で。

フェルメール「牛乳を注ぐ女」

牛乳を注ぐ女
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%83%A8%E3%83%8F%E3%83%8D%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%AB%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:ヨハネス・フェルメール">ヨハネス・フェルメール</a> - www.artchive.com&nbsp;: <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.artchive.com/welcome.htm">Home</a>&nbsp;: <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.artchive.com/artchive/V/vermeer/milkmaid.jpg.html">Info</a>&nbsp;: <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.artchive.com/artchive/v/vermeer/milkmaid.jpg">Pic</a>, パブリック・ドメイン, リンクによる

女性をたくさん描いたフェルメールですが、純粋に働く女性を単独で描いた大変珍しい作品。実際的というか、質実剛健というか、「実!」という雰囲気の女性ですね。

この絵はねー、4Kとかでズームで見ないとよくわからない部分だと思いますが、光の粒がすごいんですよ!10年くらい前にテレビ番組で見てびっくりしました。パンとかミルク入れの縁とか、白い光の粒が細かく描かれていて。小さい絵なのに、その中でさらにこんなに粒を描く。

おそらくフェルメールの他の絵では使われていない技法なんじゃないかなー。「真珠の耳飾りの少女」の唇も点でしたが、それとは違う、微小な光の粒の集まり。この絵は画業の初期の方で描かれたものなのですが、なぜこのような技法を使おうと思ったのか謎。後世の点描画法ともまた違ったもの。

面白い。この絵も面白い。やはり静謐な雰囲気があります。

 

ろうそくの画家、ジョルジュ・ド・ラ・トゥール。

わたしはある時期まで混同していたのですが、「ラ・トゥール」という著名な画家は2人います。ジョルジュ・ド・ラ・トゥールとモーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール。ややこしいね。このうちジョルジュがバロック期の画家です。

あれ?もう一人いるな。
アンリ・ファンタン=ラトゥール。うわー、3人か~。ますますややこしい~。

 

とりあえず、ラ・トゥールといえばジョルジュ・ド・ラ・トゥール。

わたしが書きたいのは3人の中で、この人。

この画家は好きな画家です。他のどの画家とも違う、不思議な光の使い方をする人。
前に「葛飾応為」を書いた時に、この人のことを引き合いに出しました。

◎葛飾応為。葛飾北斎の娘はブームになるか?

ろうそくに照らされた夜の場面を描く。夜の場面を描くにしても、せめてもう少し明るく描きたくものじゃないですか。でもこの人はそのまま描く。そのため、見ているわたしたちもまるでその部屋にいるような、親密な視点で絵を見られます。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「聖ヨセフ」

La Tour.jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール">ジョルジュ・ド・ラ・トゥール</a> - <a href="https://en.wikipedia.org/wiki/en:Web_Gallery_of_Art" class="extiw" title="w:en:Web Gallery of Art">Web Gallery of Art</a>: &nbsp;<a href="http://www.wga.hu/art/l/la_tour/georges/2/06carpe.jpg" rel="nofollow"></a> <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.wga.hu/art/l/la_tour/georges/2/06carpe.jpg"></a><a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E7%94%BB%E5%83%8F" class="extiw" title="w:ja:画像">静止画</a>&nbsp;<a href="http://www.wga.hu/html/l/la_tour/georges/2/06carpe.html" rel="nofollow"></a> <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.wga.hu/html/l/la_tour/georges/2/06carpe.html">Info about artwork</a>
<a rel="nofollow" class="external free" href="http://www.magnificat.com/lifeteen/">http://www.magnificat.com/lifeteen/</a> <a rel="nofollow" class="external text" href="http://www.magnificat.com/lifeteen/images/hd/1.jpg">image</a>, パブリック・ドメイン, リンクによる

聖ヨセフは大工さんだったと言われていますから、父の仕事を手伝う子、イエスの図。

「聖母子図」がこれでもかというほど描かれ続けてきたことを思えば、聖ヨセフの出番はそれよりもずっと少なく、出番があるとしても「聖家族」(イエスと聖マリア、聖ヨセフの親子3人)としてのヨセフがほとんど。父(宗教的には養父)と子が2人で描かれている絵はかなり珍しいと思います。

イエスは神の子ですからヨセフとの関係性は希薄です。宗教感情としてはあまりヨセフを目立たせたくはなかったのかもしれない。「神の子」の「父」なわけですから。あまりヨセフとの関係性を深くしてしまうと、神の子としてのイエスがうやむやになってしまう。

でもラ・トゥールはこの父子を描いたんですね。そこにはどういった感情の動きがあるのか、わたしは知りたい。

残念ながらラ・トゥールはあまり作品数が多い画家ではなく、20点から60点くらいの間でまだ確定はしていません。残された文字による資料もあまりないようで……。今後新しい資料が発見されることを期待するしかないみたい。18世紀頃には一度忘れられて、20世紀になって再発見された画家だそうです。もっと人気が出て研究がすすむといいんですけどね。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「いかさま師(クラブの札版)」

Georges de La Tour - The Cheat with the Ace of Clubs - Google Art Project.jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%AB%E3%82%B8%E3%83%A5%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:ジョルジュ・ド・ラ・トゥール">ジョルジュ・ド・ラ・トゥール</a> - <a rel="nofollow" class="external text" href="//www.google.com/culturalinstitute/asset-viewer/eAHsvdrPzFNGFQ">eAHsvdrPzFNGFQ at Google Cultural Institute</a> maximum zoom level, パブリック・ドメイン, リンクによる

敬虔な宗教画を描いた一方で、ジョルジュはかなり皮肉の効いた風俗画も描いています。

トランプで賭け事をしている男女の、右側の衣装が豪華で若い男がカモ。中央の女と左の男がいかさまをしかけてようとしています。酒を注いでいる女は、その鋭い目からするといかさま師側の人間に見えます。

これにはほとんど全く同じ構図の絵があります。

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール「いかさま師(ダイヤの札版)

Georges de La Tour 025.jpg
ジョルジュ・ド・ラ・トゥール, パブリック・ドメイン, リンクによる

「ダイヤの札版」の方はルーブル美術館蔵。比べれば、鮮やかな色と黒の対比という意味ではダイヤの方が締まった絵のような気がします。しかし表情はクラブの札版の方が微妙で面白いかな?どっちが先に描かれたかははっきりしていないようですが、私見ではクラブが先で、その効果を見極めて色合いを修正した上でのダイヤ、という気がします。

 

「ポンパドゥール夫人」のモーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール。

バロック期よりも後の画家です。

この人はこの一枚しかわからないなあ。ポンパドゥール夫人の絵は有名だけれども、他の絵は見たことがない。馴染みのない画家ですね。肖像画をたくさん描いたそうだが。

2人目。モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール「ポンパドゥール侯爵夫人の肖像」

Pompadour6.jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール">モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール</a> - 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

ポンパドゥール夫人はルイ15世の愛妾。……この歴代ルイ達の区別も、わたし、苦手なんですよねー。

太陽王がルイ14世。脚の形が自慢でわざわざタイツの肖像画を描かせた人。王朝全盛期の王。
その曾孫のルイ15世が愛人たくさんの最愛王。(この言い方もどうか……。)けっこう美形。堂々としている。……が、内気で臆病な性格だったとか。ほんと?
その孫の16世がマリー・アントワネットの旦那。錠前づくりが趣味の、ちょっとぼんやりした人。フランス革命で処刑された人。

わたしの中では14世と15世が同一人物になっていた。そりゃ混乱するはずだわ。しかしこの3人の王様で血統的には7代にわたるとは、かなり特異な気がする。

ポンパドゥール夫人は才色兼備な女性らしいです。ある時期のフランスは彼女の影響下にあったとか。

この絵は、絵としてみれば衣装や小道具が細かく描きこまれていて豪華な絵ですが、人間的な魅力が伝わってくるかというと、どうか。むしろ、

モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール「ポンパドゥール夫人」

POMPADOUR, marquise de (esquisse).jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%83%A2%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%82%AB%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%89%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール">モーリス・カンタン・ド・ラ・トゥール</a> - 不明, パブリック・ドメイン, リンクによる

こっちの方が人柄が伝わる気がする。魅力的。これは油絵のための習作だと思います。

 

3人目、アンリ・ファンタン=ラトゥール。

ラ・トゥールだけでもややこしいのに、ファンタンとカンタンなんてさらにややこしい。ちなみにこのラトゥールは「・」(ナカグロ)なしのラトゥールです。

描いた作品を全然知らなかったのですが、これは可愛いですね。

アンリ・ファンタン=ラトゥール「サンザシの花瓶、サクランボの鉢、日本のお碗、カップと皿のある静物画」

Fantin Latour Vase of Hawthorn Bowl of Cherries Japanese Bowl Cup Saucer.jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%82%A2%E3%83%B3%E3%83%AA%E3%83%BB%E3%83%95%E3%82%A1%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%B3%EF%BC%9D%E3%83%A9%E3%83%88%E3%82%A5%E3%83%BC%E3%83%AB" class="extiw" title="w:ja:アンリ・ファンタン=ラトゥール">アンリ・ファンタン=ラトゥール</a> - unknown (museum website?), パブリック・ドメイン, リンクによる

ちょっと家に飾りたいような気のする絵。身近に置きたいのは、天下の名画よりもこういう優しい絵なのかもしれません。日本のお碗もあることだしね。

ああっ!この人「バティニョールのアトリエ」の人だった!画家の名前を認識してなかった。なるほどねえ。

 

その他の4人の画家たち。

バロックっぽい気がしないバロック期の画家として、冒頭に6人挙げました。

フェルメール(オランダ)

ジョルジュ・ド・ラ・トゥール(フランス)

アンソニー・ヴァン・ダイク(フランドル)

クロード・ロラン(フランス)

プッサン(フランス)

ティエポロ(イタリア)

残りの4人には、……わたしが語れることはほとんどありません(涙)。

ヴァン・ダイクはフランドルの人ですが、イギリスに渡ってイギリス国王のチャールズ1世の肖像を描きまくった画家。このチャールズ1世という人の顔は、幸薄そうで……。わたしはチャールズ1世の顔でヴァン・ダイクを覚えてしまっているので、画家自身の幸が薄そうに見えてしまう……。

クロード・ロランは風景画の人。風景画といって普通に思い浮かぶような、明朗に晴れた日の草原というわけではなくて、夕暮れの光の中の古代遺跡というか、古代遺跡が遺跡じゃない頃の古代ローマの風景というか、とにかくもやっとした風景を描いた人です。

わたしはわりと好きですね。ただクロード・ロランの個展とかになると若干飽きそうな気はします。数ある中に2、3枚あると懐かしみが出ていいかも。

プッサンは、わたしはどうもブーシェと混同してしてしまいます。絵はそんなに似ていないのですが。プッサンはギリシャ神話や聖書の話をテーマに多く描きました。聖書の話を描いても、この時代には宗教感情を呼び起こすものではなくなっていますね。単に、単にといっては語弊があるかもしれませんが、群像劇の劇的なテーマとして描かれています。

ティエポロはヴェネツィア派の最後を飾る画家。ヴェネツィア派といえば色彩の美しさで売った(?)伝統があります。わたしから見ると、ティエポロはバロックというよりロココの画家のイメージで……。ちょうどバロックとロコロの半々くらいな感じでしょうか。74歳まで生きた画家で、画業も長いため、画風はだんだん変わっていったのだと思います。

 

ああっ!ムリーリョもバロック期の画家ですか?

この人は通り過ぎることはできない。ムリーリョはスペインの画家です。この人の絵はあざといくらい可愛いんですよねー。見てわかりやすいので好き。宗教画が多いイメージ。聖母子を描いた絵で、可愛ければムリーリョと言ってもいいくらい。(←言い過ぎ)

ムリーリョ「聖母子」

Bartolome Esteban Perez Murillo 018.jpg
<a href="https://en.wikipedia.org/wiki/ja:%E3%83%90%E3%83%AB%E3%83%88%E3%83%AD%E3%83%A1%E3%83%BB%E3%82%A8%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%90%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%A0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%AA%E3%83%A7" class="extiw" title="w:ja:バルトロメ・エステバン・ムリーリョ">バルトロメ・エステバン・ムリーリョ</a> - The Yorck Project (<span style="white-space:nowrap">2002年</span>) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/Commons:10,000_paintings_from_Directmedia" title="Commons:10,000 paintings from Directmedia">DIRECTMEDIA</a> Publishing GmbH. <a href="https://ja.wikipedia.org/wiki/ISBN" class="extiw" title="ja:ISBN">ISBN</a>: <a href="//commons.wikimedia.org/wiki/Special:BookSources/3936122202" title="Special:BookSources/3936122202">3936122202</a>., パブリック・ドメイン, リンクによる

当時、人気だったそうです。ムリーリョのこういう感じの絵はあちこちの美術館で見る気がします。

でも今見てみたところ、他にもいろいろな画風の絵があったんですね。初期の作品などは見てもムリーリョだとはわからないなあ。あまり群像図を描くイメージはなかったのですが、なかなか多いみたい。

 

バロックな気がしないバロック期の画家たち。

やっぱりもうひとくくりには出来ない時期まで来てるんじゃないかなあと思います。でもここで取り上げないと、フェルメールもジョルジュ・ド・ラ・トゥールも触れられないしね。

3人のラ・トゥールがいたのもうかつにも今回気づいた。むしろ名前的にはファンタン・ラトゥールの方が耳に馴染みがある気がするのですが「バティニョールのアトリエ」とは結びついていなかった。覚えてられるかなあ。

覚えてられるかといえば、ルイたちの区別も覚えておきたいところですね。タイツの14世、イケメンで愛人多数の15世。処刑の16世。まあ14世にも愛人はいたはずですが……。

以上、バロック期の画家のお話でした。なお「バロックな気がしない」というのはあくまでもamairoの主観ですのでご了承ください。

 

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