え?新築移転?初耳です。
先月、宮城県から県美術館を国立医療センター跡地へ移転する方針が示されました。
「方針が示された」ということは誰も何も言わなければそのままの方向で
実行されてしまう、ということです。
河北新報の記事を引用します。
宮城県美術館の移転ってなんのこと?そんな話、聞いたこともなかったよね?
寝耳に水の話に、各所から反発が起こっている模様です。
宮城県民会館・美術館移転集約案 知事、県議会一般質問で説明 渦巻く不満、解消に躍起
うん。この反応もそりゃ無理ないよなあ……。
だって宮城県美術館の移転なんて、まったく考えてもいなかったもの。
十分に検討されたわけではない。
東京芸術大名誉教授の高山登さん(75)=泉区=は2015~16年度、県美術館のリニューアルに関する懇話会の委員を務めた。「議論を重ね、基本構想の策定までこぎ着けたのは、一体何だったのか」と憤りを隠さない。「美術館は研究機関。貸しホール的な使われ方をする施設とは全く異なり、相乗効果は期待できない」と手厳しい。
上記河北新報記事より引用。
他の記事(美術館の現地存続を求める要望書文面)を読んだところ、
「2018年3月の段階では改修保存の方向でほぼ定まっていた」とのことでした。
そこからわずか一年半で今回の突然の新築移転の発表とは拙速すぎないでしょうか。
また移転案を示した時に意見を述べた、有識者会議「県有施設再編等の在り方検討懇話会」
(上記リニューアル懇話会とは全く別物)というのも顔ぶれが心もとないんです……
そもそもこれは各施設のことを考える役割の団体ではありませんから。
この顔ぶれの中に美術館についての現状・利用状況・建築的価値などを
的確に判断できる方はいらっしゃりそうもないですよね?
総論については一家言ある方なのでしょうが、だからといって各論(この場合美術館)に
詳しいとは限りませんよね?
県美術館に勤務歴がある前県芸術協会理事長の大場尚文さん(78)=富谷市=は「方針を打ち出した懇話会には当事者の県美術館関係者も、県内の芸術家も入っておらず、意見が反映されていない」と困惑顔。「現美術館建設の際には、県民から広く意見を集めた。将来像をじっくりと議論する場が必要だ」と指摘する。
上記河北新報記事より引用。
現場の意見も、利用者の意見もまったく聞かず、「はい、移転~」というのは
一体どうなのかと思います。
総論だけでやるから宮城県図書館みたいな使いにくい施設を作ってしまうのだ!
アンケートを行なっている団体があります。
このままでいくと宮城県美術館が移転され、建築的に貴重な現行建物の解体放棄などの可能性が出て来ることになります。
宮城県美術館、移転・新築の方針固まる。前川國男建築はどうなる?
わたしは心情的には改修保存派ですが、それはそれとして。
現時点での意見はとにかく「もっと真面目に話し合おうよ」です。
去年(2018年)3月までは改修保存で決まっていたのに、そこから急に移転新築と変わるのでは
十分な議論が尽くされたとは言えない。
専門家と素人と。現場の人と役所の人がしっかり話し合うべきではないのか。
現在、この件に関するアンケートを実施している団体があります。
おそらく今回の件で急遽立ち上げられた団体だと思います。
宮城県美術館に関心と期待を寄せる有志グループ
アンケートサイト。
各自のご判断でお願いします。個人情報を記載する必要はありません。
2019年12月23日まで行なっています。
何も言わなければそのまま決まってしまいます。取り急ぎご案内まで。
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