いろいろ徒然

◎ちょっと待って!といいたい、間違った表記22選。

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どうしても気になる、テレビやyoutubeの字幕の書き間違い。発音はしょうがないけど、表記が変なのよー。だから、話す言葉と表記は違うとあれほど言ったでしょ!

と、誰がどこで言っているのか謎ですが、とにかく話し言葉と表記は違うものなんです。発音した通りに書けばいいと思ったら大間違い!ここらへんに大きな誤解があるようなんですよね。

間違ってるのに気づいたら、直してみてね!いっぱいあるからね。

 

発音のままに書いてしまっている、間違った表記。

1.すいません。

「すいません」は×!
「すみません」が〇!

漢字で書くと「済みません」です。それではわたしの気持ちが済みません、の済みません。
すいませんを変換すると「吸いません」にしかならないですから。吸ってどうする。どちらが正しいか迷った時は漢字で考えてみるとわかりやすい。

2.永遠と。

「永遠と」は×!
「延々と」が〇!

これはそもそも意味が違う。「永遠」は終わりなく、果てしなく。単に長いという意味ではなく、終わりがこないことを指します。日常にそうそう転がっているわけないのが「永遠」。多分人生でそれほど使う機会はない。

そして「延々と」という言葉には若干ネガティブなニュアンスが加わります。たとえば、「延々と極上の美味を食べ続けた」はちょっと変な表現。通常は「延々と」には「長々と続いてイヤだなあ」という気分がこめられます。

永遠に続く愛。
延々と続く腐れ縁。

3.ベット。

「ベット」は×!
「ベッド」が〇!

寝る時に横たわるベッドはbedなので「ド」です。ベットと書くとbetで、「賭け」になっちゃう。たしかポーカーの用語でベットってありますよね。

4.ビック。

「ビック」は×!
「ビッグ」が〇!

「大きい」はビッグです。bigだから。スーパーマーケットのビッグハウスは「グ」です。「ビッグハウス」を検索すると、公式サイト以外は軒並み「ビックハウス」と出て来て嘆かわしい限りです。

……ただややこしいことに、ビックカメラは「ク」なんですよね。でもビックカメラのスペルは「bic camera」で、そもそも英語ではない。わたしはずっとビッグカメラだと思っていたので、これを知った時には驚きました。

5.バック。

袋・かばんの場合ですが、

「バック」は×!
「バッグ」が〇!

バッグはbagなので「グ」です。バックって書くと背中とか、後ろに進むとかの意味になっちゃう。

「昨日買物に行って可愛いバッグを見つけた」をバックと書くと、背中を見つけたことになってしまいます。背中フェチの人。

6.ドック。

「ドック」は×!
「ドッグ」が〇!

ドッグはdog。……この英単語をdocと間違う人はめったにいないと思うのですが、「グ」の発音は「ク」になりやすく、ドックと発音するようになった結果、それに引きずられてカタカナだとドックと書いてしまう。引きずられちゃだめだ!気をたしかに持ってドッグと書きましょう。

7.言わざる終えない。

「言わざる終えない」は×!
「言わざる負えない」も×!
「言わざるを得ない」が〇!

これ文法的にこみいっていて、文法が苦手なわたしは見たままのことを分けますが、

「言わざる」+「を」+「得ない」=言わない を 出来ない

つまり「言うしかない」ということになります。「を」が「言わない」と「出来ない」をくっつけているわけですね。なので、「終えない」「負えない」は不可。必ず「を」が必要です。

8.やもうえない。

「やもうえない」は×!
「止むを得ない」が〇!

「やもうえない」と書かれたものを見た時は正直びっくりしたのですが、音だけで聞いているとそうなってしまうかもしれません。ちょっとコワイ。これがもっと段階が進んで「矢も上ない」なんて当て字で書かれる時代が来たら、わたしは意味をくみ取る自信がありません。

「止む」+「を」+「得ない」=止める を 出来ない

止められないになりますね。

9.ふいんき。

「ふいんき」は×!
「ふんいき」が〇!

わたしは「ふいんき」の方が言いにくいと思うので、なぜ雰囲気がふいんきと言われるようになったのか前々から疑問なのですが。これはひらがなではなく、漢字で覚えてしまいましょう!雰囲気という漢字を見れば、どこにも「ふい」も「いん」もないのがわかります。たしかに雰という字は、だいたい「雰囲気」でしか使わない漢字なんですよね。

10.「夫人」と「婦人」の使い分け。

「夫人」は妻の敬称。
「婦人」は成人した女性。

なので「佐藤婦人」という言い方はあり得ませんし、「夫人警官」もありません。

「夫人」は誰それの妻であることを明確にしたい時、またその立場の人を特に指したい時に使われます。単に既婚女性という意味ではないことに注意。

「通りすがりのご婦人」とは言えても、「通りすがりのご夫人」とは言いません。

夫に人でなぜ妻か、とか考えるとわからなくなってきますが、昔、中国の后の位に「夫人」(この意味で使う時の読み方は「ぶにん」)というものがあり、それが流れ流れて、他人の妻を敬って言う言葉に繋がっているのだと思われます。

日本語は同音異義語が多いので難しいですね。同じ「ふじん」の発音でも漢字で全く違う意味になってしまいます。

 

書きかただけではなく、そもそも間違っている言葉。

11.しないべき。

「するべき?しないべき?」は×。
「するべき?するべきではない?」が〇。

これは気持ちはよくわかる。する⇔しないで簡潔に対立させたくなってしまうんですよね。これがなぜだめなのかは……文法の話になってしまって、わたしには理解できませんでした。すみません。

ベキベキで対立させたいなら、「すべき?せざるべき?」という形が一番短いですが、「せざるべき」はかなり硬い、使いにくい表現ですよね。だからといって「しないべき」は心持ちが悪い。将来、何かうまい表現が生まれないものでしょうか。

12.とんでもございません。

「とんでもございません」は×。
「とんでもないことでございます」が〇。

わたしは、これに関してはそんなに気にならないんですけどね。

「とんでもない」は「とんでも」が「ない」ということではなくて、「とんでもない」で一つの言葉だから分割不可能なんです。が、日本語はひたすら丁寧さを追求するというか、考えれば考えるほどまどろっこしくなるというか、隙あらばまわりくどくしようとする。健気で好きですけれどね、そういう傾向は。

「とんでもないことでございます」だと長いなあ……。「とんでもないです」あたりが適当でしょうが、それだとちょっと砕けているように感じてしまうのが日本人の心性というか……

13.食べ合わせ。

これは複雑です。そもそもの言葉は「食い合わせ」でした。

食い合わせ: 一緒に食べると害があるとされる食物の組み合わせ。ウナギと梅干、天ぷらと氷など。

これは「食い合わせ」というひとかたまりの言葉で、「食う」+「合わせる」ではないため、「食う」→「食べる」というのは変換不可能。「とんでもない」と同じですね。

が、「とんでもない」と同じように、出来るだけ丁寧にしよう!という日本人の心性が働いた結果、食い合わせが食べ合わせになってしまう。

さらに近年は意味の変化も。単に「食べる組合せ」という意味で使われてしまっています。「食い合わせ」は元々「悪い」という意味しかなかったのですが。「ウナギと梅干は食い合わせだよ」などと使います。これが最近では「体にいい食べ合わせ!」などという風に使われている。なかなかキツイものがあります……。

なお「道草を食う」もこの形でひとかたまりですから、道草は食べちゃいけません。

「飲み食い」は今のところ通用しているけど、十年後は「飲み食べ」と言われているかもしれません。

14.味合わせる。

「味合わせる」は×!
「味わわせる」が〇!

基本が「味あう」ではなく「味わう」ですから、味わわせるが正しいです。きっと「わわ」という部分に違和感があるんですよね。なかなか見ない形だから。わからなくなったら「味わう」「味あう」で比べてみるとわかりやすいです。

15.有効的。

わたしは野球が好きなので、ラジオなりテレビなりでよく中継を聴くのですが、実況・解説が「有効的」という言葉を使うことが増えました。これも誤用なんですよねー。

「有効」には名詞としての働きも形容動詞としての働きもあるので、名詞を形容動詞に変えるために使う「的」は不要。形容動詞に形容動詞にするための字を付け加えることになるので、蛇足です。まあそういう文法用語で説明してもあまり頭に入りにくいのですが。

友好的という言葉があるので、きっとそれに引っ張られてしまうんですよね。柔道で審判が「有効的!」といわず「有効!」と旗を上げるシーンを思い浮かべましょう。あるいは「無効的」という言葉がないことを思い出しましょう。

 

書き言葉の問題じゃないけど、気になる。

16.逆に。

「逆に」を単なる接続詞として使う人がいます。一般的なお喋りで聞くというよりは、テレビでコメンテーターやら何やらが愛用する表現のような気がする。わたしは「逆の内容言ってないやろ、アンタ」と突っ込んでいる。

多分「逆に」というと、何か目新しいこと意見が続きそうに思い、みんなが注目する率が高いんでしょうね。発言力がないタレントが「逆に~」と話し出すイメージ。もちろん本当に逆の意見をいいたくて使う「逆に」は問題ないのですが。

17.じゃないですけど。

「じゃないですけど」も近年意味なく多用される言葉。
「○○じゃないですけど、××」というのはずっと昔から使われてきた表現です。が、近年のこの文型は、○○=××では?という場合にも使われるようになっています。

まあこれは主観的な要素が多いので、どこからどこまで使っても良くて、ここからは使わない方がいいという線引きが難しいところです。が、口癖のように使ってしまう人もいるようなので、それは気をつけた方がいい気がします。

 

誤用が市民権を得てしまった言葉。

18.一生懸命。

これは誤用が市民権を得てしまった言葉の一つ。現在は間違いとはされていません。本来は、

「一生懸命」が×!
「一所懸命」が〇!

でした。一所懸命は「(中世の)武士が、自分の領地を命がけで守ること」でしたが、言いやすい「いっしょうけんめい」と発音が変化した結果、漢字もそれに引っ張られて「一生」に変わり、双方の表記が広く認められるようになったもの。いずれは「一所懸命」がおかしいと言われる時代が来るかもしれません。

19.鳥肌が立つ。

本来は寒さや恐怖を感じたことを表す言葉でした。「あまりの恐怖に鳥肌が立つ思いをした」など。
しかし確かに何かに非常に感動した時も鳥肌が立つんですよね。実際に鳥肌が立っているのだから「感動して鳥肌が立った」という表現が出て来るのも仕方ないのかな、と思います。もう辞典にも載っているそうですし。

現段階ではまだ間違いだけれども、多分いずれは……の言葉。

20.気の置けない。

「気の置けない仲の人」は仲良しでしょうか、疎遠な人でしょうか?これも間違っている人が多い言葉です。

気の置けない仲は仲良しです。
「気の置ける人」=気を使う間柄の人
「気の置けない人」=仲良し

これもわかる気がする。「ない」が否定形なのでネガティブな印象があるんですよね、多分。「信用の置けない」にもひきずられるかも。「気の置ける」も今一つイメージがしにくいしなあ……。「気の置けない」の覚え方は「間に物が置けないほど(隔てが出来ないほど)親しい人」ってことでどうですかね?

21.情けは人のためならず。

ことわざです。正解はどちらでしょう?

情けをかけるのは人のためにならない。
情けをかけるのは人のためではなく、めぐりめぐって自分に返ってくるからだ。

誤用の方の「情けをかけるのは人のためにはならない」を古文文法で書くならば、情けはひとのためなるべからず、となるそうです。

 

わたしも使っている間違っている言葉。

22.さわり。

「さわり」は本来話の要点、クライマックスを指す言葉だったそうです。現在は「話のさわりだけきかせて」と言うと、「最初だけ」「ちょっとだけ」という意味で使っている人が多いようです。わたしも。何度となく誤用だということは読んでいるのですが、つい忘れてしまう。

元々は義太夫節で、クライマックスを「さわり」と言ったことから。でもさわりって言ったら触りって気がするし、触りだけっていったら、ほんの表面だけって気はしますよねー。しかしこれは誤用なのでした。日常会話でそんなに使うことはないですが、使う時には相手がどちらの意味で使っているか、意識した上で話しましょう。

22.女王。

みなさん、女王ってどういう発音をしていますか?わたしは子どもの頃から「じょうおう」でした。そういうものだと思って疑ってもいなかった。

しかし本来は「じょおう」のようですね。たしかに漢字を見ればそうなのですが、じょおうっていいにくくないですか?アナウンサーが発音する時に耳をすませて聴いていても、「じょうおう」(じょーおう)と発音する人は多いと思います。

ちなみに「女王」は平安時代の読み方だと「にょおう」になります。内親王(天皇の姉妹及び娘)よりも、天皇の血筋から一段階遠い女性皇族の称号。

宮中に複数の后がいた頃は女御(にょうご)という称号もありました。ってことは、日本では古来から「女=にょう」という読みも存在していたのでは?

いずれは「女王」も「女房」のように特別な読みとして認められる日が来るのではないかと思っています。

 

その他、個人的に思い述べることども。

立ち振る舞い。

最近「立ち振る舞い」と口にする人が増えて気になっていました。そもそもちょっと前まで「立ち振る舞い」という言葉をテレビで使う人はほとんどいなかった気がします。今は若いタレントさんでも使う言葉になっていますね。

しかし「それを言うなら立ち居振る舞いだろ……」と心の中でつっこんでいました。ああ、また一つ言葉が誤用されていく。

――が、調べてみたところ、立ち居振る舞いでも立ち振る舞いでも間違いじゃないんですね!びっくりした。立ち振る舞いでは座った時にどうすんねん、と思っていたのですが、立ち振る舞いは相当に古くからある言葉らしい。立ち振る舞いは誤用ではありませんでした。

カライとツライ。

昔から不便だと思っていたのが、カライとツライに同じ漢字を使うこと。カライのがツライのは、辛味が苦手なわたしには当てはまるのですが、漢字が生まれて数千年、そろそろカライとツライを区別できる漢字が出来てもいいように思う。近年は激辛大好き!という人も増えてきたことですし。

ただ一体誰が作るのかというと、多分現代日本で文字を作る役割の人はいないでしょうから……。誰かがこれだ!という文字を作って、それが流通していけば不可能ではないでしょうけど、文字入力文化では新字は難しいでしょうねー。

先祖と祖先。

わたしはこれを、

先祖=自分の直系尊属で、父母以外の人。
祖先=個別の関係ではなくて、種族的・生物学的な血縁の上位者。

と考えていて、それが一番わかりやすい使い分けだと思っているのですが、「祖先」には家系の人々を指す場合もあるんだそうなんですよねえ……。残念だ。上記の方がわかりやすいのに。

「うちの祖先は~」とか聞くと微妙にもやもやします。まあ個人的な意見なんですけどね。

夏草や 兵どもが 夢の跡。

芭蕉の俳句に上記の作があります。

なつくさや つわものどもが ゆめのあと

と読みます。これが「強者どもが夢の跡」と書かれてしまうことがある……。
「つわもの」は「強者」とも「兵」とも変換されますが、ここはぜひ「兵」と変換していただきたい……!

「強者」は勇敢な兵士のことですが、「きょうしゃ」とも読める。芭蕉は強い人々の姿を思い浮かべているのではないんですよね。戦って敗れていった男たちを、今はもう何もなくなってしまった古戦場に佇んで芭蕉が偲んだ歌です。なので、強者と書くとニュアンスが違ってしまう。

日本語は漢字が違うと意味が変わる。「変わる」も替わるし、代わるし、換わる。なかなかめんどくさいですね。

予言。十年後くらいには「好評価」という表記が横行しているであろう。

言葉は変わっていくのが本質だとはいえ、正しい言い方を知っておきたいし、なるべくは間違った言葉を使いたくない。「いいでしょ、言葉は変わっていくものなんだから」と開き直りたくはない。

……といっても、個人的に「女王」は直せないなあ。「じょおうへいか」とか、意識すると唇が固まってしまいそう。言葉ってそういう、個人的なものだから厄介ですよね。

ちなみに、ここ数日で「好評価」という字幕を2回ほど続けて見ました。「これは来るな……」と思いました。多分十年後には、「高評価と好評価、どちらが正しい?」とか、そういう記事になっていることでしょう。予言しておく。

当たっても当たらなくても、どちらにしてもさしたる意味のない予言ですが。

 

 

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