最近どうも美養成分が足りない……と思い、宮城県美術館のサイトをチェックしたのですが、現在の特別展は佐藤忠良展。
いや、佐藤忠良好きですよ?でも佐藤忠良は宮城県美術館に記念館として常設の展示があるので、他の特別展のついでに、年に1度くらい見てるんですよね。たしかに佐藤忠良展をわざわざ開催するのなら他の美術館から持ってくるものとか、収蔵品で普段出してないものとか、見られるのかもしれないけど。……でもちょっと目新しさがないですよねえ。
そしてわたしはイロモノが見たい。いや、そういう意味ではなくて、色合いがきれいな、美しいものを見たい。
というわけで、仙台万華鏡美術館に行ってきました。
<場所は秋保です。
仙台万華鏡美術館は秋保温泉のちょい手前、仙台市街側から行けば右側にあります。近いんですよ。
規模は小さいけど。でも中身が詰まっていて、密度が高い美術館。
しかしあまり映える外側の写真は撮れないのであった……
駐車場は30台くらいですかねー。
仙台市街側から行くと、左側に10台弱、右側に20台くらい。そこまで混んでいるところはあまり見ない気がするので、駐車場の心配は特に必要ないと思われます。
仙台万華鏡美術館の一般情報。
入場料は大人900円、子ども450円。けっこう楽しめるので、900円は妥当なところと感じます。WEB割引を利用すると大人が1割引きで810円に。……行くに当たってはこれを使おうと思っていたのに、印刷するのをすっかり忘れて(というか、帰って来るまでまったく忘れて)そのままの料金で見て来ました。
ところで、サイト画面を印刷して記入する方式なのに、WEB割引という名称はギモンを感じる。まあいいんですが。
休館日がないことをサイトで確認をしてから訪れたんだけれども、後からサイトを見直したところ、サイトトップの新着情報のところに「冬季臨時休館日のご案内」というのがあって、実は1月、2月の木曜日はけっこうな確率で休館だったようです。ちょっとした落とし穴ですね。新着情報の確認もお忘れなく。
内部は山ほどの万華鏡。
では、入館します。
入口のところにある大きな万華鏡。ぱっと見万華鏡に見えないですよねー。花部分は動くので、もちろんくるくると像は変わります。
入口で入場料を払って。1階のほとんどのスペースは、キラキラしたものをたくさん売っている売店と、その奥に体験コーナー。展示を見る前に売店を見たくなっちゃうけど、そこはこらえて順路である2階の展示室へ上がりましょう。
階段を上ったところにある、プラネタリウムの機械みたいな万華鏡。
その隣にあるオルゴール型万華鏡は、万華鏡としてよりオルゴールとして気に入りました。手回し式で、とてもノスタルジックな音がします。
コロナ禍のために全体の展示は少し数を減らしているようですが、それでも十分な数の万華鏡が並びます。第1展示室は撮影可。
星が浮かぶ万華鏡。
カメラのレンズと指が映っているのはご愛敬。
家具のような万華鏡。何も知らずにこれだけを見たら、すぐ万華鏡だとわかる気がしない。
ほとんどの万華鏡に階段や段差がちゃんと備えてあり、小さい子も見られるようになってます。その配慮がいい。
実はこれも万華鏡らしい。
どうしてこうなる……。
万華鏡には、外側部分(ボディというそうです)に力が入ったものと、目に映るものに力が入ったものがあるように思う。あまりにボディにインパクトがあると、内部の方まで目が行かないということもあるかも。
これきれいですねー。好きだ。
漫然と見ていて、しばらく経ってから気づいたのですが、これは実は。
このシルエットのモチーフ、羽生結弦だ。仙台にあるにふさわしい万華鏡ですね。
世界の万華鏡、集合。
第2展示室以降は撮影禁止。
国内外の万華鏡作家の万華鏡が続きます。
第1展示室には大型のものが多かったですが、これ以降はサイズが普通。普通と言ってもまあわりと大型で、お部屋にあったら相当存在感があるサイズ。
10や20個じゃないですからね!50個とかあるんじゃないかなあ。覗けない物も多少ありますが、半分以上は覗けたはず。実際に動かすことが出来て、自分で楽しめます。色にあふれた、きらきらな世界。
万華鏡って魔法っぽいですよね。魔法世界の顕微鏡という気がする。
万華鏡は鏡で作られるもので、その鏡の組み方によって種類が分かれるらしいです。そういうのも展示で説明し、見え方の違いを実地で解説してくれるので、こちらも夢中になって眺める。……が、けっこう万華鏡を覗く体勢というのは不自由なもので、ずっと覗きこんでいると首、肩、腰が痛くなります。
そういえば数十年前、初めてここに来た時は夢中で見ていてひどい頭痛になったんだった……。少々セーブしながら休み休み見ることをおすすめします。
万華鏡を楽な姿勢で楽しむことって出来ないですかねえ。でも映像にしてスクリーンに映しても仕方ないんだろうなあ。「覗く」ことが万華鏡を魅力的にしていると思うし。せめて両方の目で見られる程度に穴を広げてくれるというのはどうでしょう。
椅子に座ってお茶を飲みながら万華鏡を楽しめる万華鏡喫茶店とかは?……みんなが長居して非常に回転率が悪くなると思うので、利益を上げるのが難しいでしょうが。
などと思いながら展示をじっくり見て行きました。
辻輝子の展示も売り。
「仙台万華鏡美術館」の副題的に「陶芸家 辻輝子のすべて」と書いてあります。これだと万華鏡美術館と辻輝子の関係はどうなっているのか、直感的には理解出来ないですよね?
これは、辻輝子という陶芸家がいて、その人が万華鏡にも力を入れていたことから数多くの辻輝子作品をコレクションすることになったもののようです。この人は万華鏡作家というより陶芸家らしい。作品として、万華鏡だけじゃなく、器や日本画、箱なども並んでいました。
日本の女性陶芸家第一号だそうです。2017年に97歳でお亡くなりになる前は、仙台万華鏡美術館の名誉館長を務めました。
万華鏡作家というよりも陶芸家で、陶芸家というよりも日本画家だったように思います。日本画家は言い過ぎにしても、器づくりに習熟しているというよりは、より絵付け部分に重きを置いていた人だと思う。幾何学的なエスニックや生き物などもモチーフにしていますが、植物がとりわけ良かった。高さ1メートル弱の大壺などは、ちょっと欲しいと思ったくらい。
この方の万華鏡はたしか覗けなかったのでどんなオブジェクトを作る人なのかはよくわかりませんでした。そこが見られる展示も欲しかったですね。ボディの方により力を入れるタイプ。
最後に売店。
この売店も良かったんですよねー。まるで展示の一部のようでした。この規模の美術館の売店としてはかなり充実しており、万華鏡の品ぞろえは相当なものです。
値段もピンからキリまで。ここに罠がありまして……。たしかに欲しいと思えるようなものはそれなりのお値段がするのですが、たくさんの種類があって、何千円というものから始まるので、ついうっかりすると買ってしまいそうになる。
3000円なら買ってもいいんじゃないか。いや、3000円でそれを買うなら、この5000円の方がいいんじゃないか。そしたら思い切って8000円のこっちの方が……という気分になる。
予算が贅沢に2万円くらいあったら、もう相当に選べますよ!誰か2万円くらいくれないかなあ。ガラスケースの中には何十万円という物も飾られているけど、2、3万のものは自由に手に取って眺められるので、十本以上も手に取って眺めてを繰り返し……でも結局買わなかった。
結局買わなかったので気の毒でしたが、売店の人がこまめに目を配ってくれて、万華鏡を手に取るとそっと寄って来てくれて、光で照らしてくれるの。万華鏡は光を受けて眺めるのと、そうでないのは雲泥の差で……控えめに説明して去って行ってくれる。大変に気持ちのいい接客でした。
およそ4000円のテレイドスコープ(風景を映す万華鏡。花などを見るととてもきれい)で気に入ったものがあり、買おうかどうしようか迷ったー。物が増えるのが嫌なので、結局我慢してしまいました。無くなるもの以外買いたくないんですよね。捨てられないから。コレクションが出来るお金とスペースがあったらいいでしょうねえ。
自分に贅沢なご褒美を買いたくなったらここで万華鏡を買うことにします。
そんなに長居したつもりはなかったのに、外へ出たら2時間経っていました。まあ展示もそうですが、売店にも相当いたらしい……。じっくり見たらもっとかかるかもしれませんね。もちろんもっと短く見ることも可能です。
万華鏡美術館のそばにはアグリエの森。
万華鏡美術館から徒歩3分ほどのところに「秋保ヴィレッジ アグリエの森」という施設があります。ここの方が認知度は高いのではないでしょうか。帰りはここに寄るのもいい選択。
ここはお茶の井ヶ田の経営ですか?けっこう広いスペースに、喜久水庵の店舗と、野菜の直売所と、イートインスペースと、地場産品コーナーが並んでいます。こじゃれた、こぎれいな施設。値段感は直売所も含めて少々お高め。土日は相当混むみたいです。広い駐車場がほとんど埋まるのをたまに見かけます。
万華鏡美術館の売店で何も買わなかった反動がきたのか、喜久水庵のお菓子をいくつか買いました。でもジェラートは我慢した。
楽しめる町、秋保。
本当は、さらに「さいち」まで行っておはぎがあれば買い、その隣にあるというケーキ屋さんのケーキを買うつもりでいたのですが、美術館で意外に時間を取ったのでその代わりにアグリエの森で完結しました。
13時過ぎに着いたのが敗因だなー。もっと早く行って、それこそアグリエの森でお昼ごはんにした方がいろいろ行けましたね。秋保は近いから、また行けばいいんだけどさ。
秋保は広いし、楽しめるところがいろいろあるので、行楽するのに一日では足りないところです。どこに行こうか迷った時には秋保へ、そして仙台万華鏡美術館にどうぞ。
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