6年前、日本プロバスケットボール界がBリーグに生まれ変わった2016-2017シーズン。89ERSはその年をB1のチームとして迎えました。
当時、ファンはB1へランクされたことが嬉しかった。B1に選ばれるか、B2になるのかはブースターたちにとって大きな注目でした。ランク分け、多分89ERSはぎりぎりのところだったと思う。チームの経済状況なんかも含まれて来るし、おカネがないのは昔から。
B1で戦うことになって、ホームでレバンガ北海道に連勝して喜ぶ。
しかし楽しい時は少なく、すぐに茨の道を辿ることになります。このシーズンの勝率はなんと2割台。勝率2割台のチームを応援することは苦しいですよ……。初年度の楽天イーグルスよりも勝率が悪いんですから。困難なシーズンになることは目に見えていましたが、やはりその現実は厳しかった。
しかしもっと辛かったのは、B2へ降格したシーズンだったかもしれません。
B1へ復帰するためにそのシーズンはB2で無双して、と願っていたのにその年の勝率、3割5分。バスケットボールはシーズンごとの所属選手の入れ替わりが多く、他のスポーツと比べて成績の浮き沈みが激しいのが特徴ですが、89ERSは勝率3割のシーズンは過去に1回しかありません。比較的安定して強い方のチームではありました。それが3割台なんて!絶望しかない。
B2の2シーズン目。HCに、実績のある桶谷大さんを招くことが出来ました。これは期待出来る!桶谷さんならきっとB1へ連れて行ってくれるはず!
その年から強くなりました。勝率はぐんと上がり、嬉しい試合を見ることも多くなりました。が、断トツの強さではない。B1復帰にはもっと強くないと!もっと強く!
でもここ数年はコロナ禍に覆われました。中止になった試合もあり、現地観戦者数も激減、感染対策へのストレス、罹患したあとのコンディション調整。厳しい波がこれでもかというくらい襲ってくる。
そんななかでチームは藤田弘輝新HCのもと、B2準優勝をもぎ取りB1復帰を決めました。
……6シーズンぶりのB1です!これは楽しみにするしかない!
しかしプレシーズンは負けております……
10月1日のシーズン開幕へ向けて、例年通りプレシーズンマッチが行なわれました。野球でいえばオープン戦。
まずは去年に引き続き栃木ブレックスさん。昨シーズンB1王者です。けっこういい試合をしました。負けたけど。でも89ERSの持ち味であるディフェンスは機能していたように思う。ただ実際はB1のディフェンスはもっと圧をかけてくると思うので、これがB1のディフェンスだと勘違いしないようにしたい。
次の週は沖縄へ飛んで琉球ゴールデンキングスさんと。元のHCである桶谷さんが率いる去年のB1準優勝チームです。89ERSは琉球に縁のある選手が多く、現HC藤田さんは2年前に琉球のHCでしたし、新加入の小寺ゲイリーハミルトン選手は琉球からの移籍。寒竹選手も所属したことがあります。社長である志村雄彦も過去に琉球でプレイをしました。
さらに仙台で現在アシスタントコーチを務める金城茂之は、長年琉球の顏として活躍した沖縄出身の選手でした。引退は去年で、その時には琉球ゴールデンキングスのHPに引退を告げる記事が載りました。
その後去年と今年、金城は仙台でACをしているわけですが、今回、プレシーズンマッチの場で金城の引退式・永久欠番セレモニーを行なってくれるというのです。正直、琉球の金城愛の熱さには驚きました。仙台に来た時は選手としてのピークは過ぎ、そこまで活躍は出来なかったし。琉球にとって大事な選手だったんだなあ。
しかし残念ながら本人の金城は、今回体調不良につき沖縄へ行けなかったのです……。痛恨の極み。会場に行った琉球ブースターの方々も楽しみにしていただろうに。本人もすごく申し訳なかっただろうし、残念だっただろう。
でも大丈夫!今シーズンはうちもB1だから、3月末に対戦があります!場所は沖縄なので、その時は金城も行けるはず!きっと会場の皆さんも喜んでくれることでしょう。
――あ、琉球とのプレシーズンマッチは2連敗しました。栃木との試合よりも力の差を感じた。でもそれは想定内。
TOHOKU CUPの結果。
しかし想定外だったのは毎年行なわれる「TOHOKU CUP」で敗けたことです……。
正直、TOHOKU CUPのマッチングはある程度操作されているはず。1回戦は強いチームと弱いチームが対戦するようにしている。ホームチームは優遇されるし。今回B1へ昇格する仙台は強いチームの扱いだったはずなのに。相手はB3の岩手ビッグブルズ。以前は強かったチームですが、ここ数年は苦戦しているようです。
ゲームのスタートはいつも通りの89ERSのスロースターターぶり、と見ていましたが、いつまで経っても逆転しない。終始押されている。後半になったらさすがに逆転するだろう、と待っていても逆転しない。……そのうち試合が終わりました。
敗けとるやないかい!B1にチャレンジするというのにそんなんでいいのか!と大変にご立腹。……まあ救いは岩手が次に秋田と当たり、秋田には負けたものの(秋田が優勝)、3位決定戦でB1のレバンガと戦って勝ったこと。89ERSが弱かったんじゃない。岩手が強かったんだ。
とか、いいわけをしている場合じゃないんです!もう、いくらシーズン前とはいえ、1回戦で敗けてたらダメだよ!
その後、9月24日に福島とプレシーズンマッチを行ない、ようやく1勝。が、これはバスケットライブで中継をしてくれなかったので試合内容は確認出来なかったのでした。
余談ですが。
岩手には月野雅人選手がいます。昨シーズンまで89ERSでキャプテンを張り、4シーズンを戦ってB1をつかみ取ってくれた人。
実直でチームファーストで、体調の悪い時期も自分が辛かっただろうにチームを後ろから支えてくれた。一緒にB1で戦いたかったとみんな思っていたでしょうが、今期は残念ながら89ERSの戦略に入らず、移籍の運びとなりました。
その月野が岩手で活躍している。
自チームの勝ち敗けはおいておいて、その姿を目にするのは嬉しいことでした。
89ERS、今シーズンのロースター。
さて、今シーズンの布陣です。
今年は珍しく、13人でスタートするんですよ。過去には12人だったり、11人でスタートするのが普通でした。おそらくおカネがなかったのだと思われます。最大登録選手数が13人なので、空きを確保した可能性もありますが……
さらに今年は帰化選手がいます!
Bリーグのルールではコートに同時に出場出来る外国籍選手は2人まで。しかし帰化選手はさらに1人まで同時出場が可能です。現状、外国籍選手の方が日本人選手よりも能力が高い傾向にあるので、強い帰化選手がいれば強い選手3人で戦うことが可能。これは大きなアドバンテージとされます。
B1への復帰に満を持して、という布陣が見て取れる。
新加入の選手は5人。例年並みの入れ替えでしょうか。
元々いた選手が6人。さらに去年は特別指定選手(高校生・大学生枠)だった2選手がプロとしての契約を結びました。これで13人ですね。
各選手の特徴。
元々いた6人の選手がどんな選手か、完全に私見に基づいて紹介します。
澤邉圭太(背番号7)
ポジションはSG。
プレイでは強気の選手です。強気が裏目に出てファウルは少し多め。2、3年前はカットインでゴール下に飛び込み、厳しい体勢からのレイアップが得意だったのですが、近年はそういうプレイがあまり出てないかも。3ポイントあり。
明るく元気、いつもニコニコ。
ベテラン、と言おうとしてまだ27歳であることに気づきました。まだそんな若かったか!伸びしろはあるはず。もう89ERSには5年在籍しているんですよねー。選手の入れ替わりが激しいBリーグにおいては同一チーム5年目というのは長い方です。
渡辺翔太(背番号15)
ポジションはPG。
身体能力が高いタイプです。背は低いのですが、素早さはピカイチ。飛び込んでシュートもしてくれるしフリースローの率も高いし3ポイントもあるし、勢いにのると大変活躍するタイプ。
前々シーズンの話ですが、2020-2021シーズンのプレイオフ、西宮との試合。
この動画の前半がGAME1、後半がGAME2です。どっちもすごい試合だったんですけど、特にGAME1の終盤がすごい!こんな試合があるのかと思うほどすごい!わたしはこの試合を一生覚えていることでしょう。お時間がない方も1:25~2:00の間だけでも見てみて。
特別指定選手として(たしか)2年、プロになって今年が……あれ?2シーズン目?伸びしろしかないね。達者なPGになるにはまだまだ経験が必要だけど、いいところで点をとってくれる元気な選手です。
寒竹隼人(背番号12)
ベテランです。仙台には3シーズン目。明るく元気な(全員に言ってるな)兄貴分。いつも盛り上げ役を買って出てくれます。ベンチでもトークショーでもいつでもどこでも。楽しそうな姿を見るとこちらも楽しい。
アウトサイドからの3ポイントを得意にしています。あとは長い手足を活かしたディフェンスも。少々細いのでぶつかり合いには不利ですが、そこは気合で何とかしてもらう。入る時の3ポイントは4本、ないし5本入ります。入らない時は0本。しかし試みを諦めることはない。この粘りが持ち味。
田中成也(背番号30)
田中は広島で長く活躍した選手で、89ERSでは2年目です。しかしわたしが近年ほとんど現地観戦をしていないせいで、まだよくわかっているとはいえない。現地観戦で見るのとバスケットライブなどでネット中継を見るのとはなぜかイメージが違うものです。
ポジションはSG。
広島で長く活躍し、3ポイントが武器のシューター。……であるはずですが、シューターとしてはもう少し積極的に打って3ポイントが欲しいと思う。こないだの公開練習で、黙々とシュート練習していました。おそらく控えめなタイプですが、笑顔がいい人です。
ジャスティン・バーレル(背番号24)
ポジションはPF/C。
そんなに身長が大きくは見えませんが、実際は2メートル越え。大きく見えないのは横幅のバランスがいいことと、機動性が高いことでしょう。去年名古屋から仙台へ来て、ダブル・キャプテンを務めました。チームを鼓舞する姿をよく見ます。
89ERSの得点は主にこの人。とはいえ、チーム戦術として全員での得点を目指しているので、1人で点を取っているという印象はあまりありません。
性格は真面目で温厚、向学心があるタイプとお見受けします。栄養士の資格も持っているそうですよ。
片岡大晴(背番号91)
ポジションはSG。
89ERSの顔、といえばこの人。仙台市出身。長いキャリアをのべ6チームで過ごし、
89ERSには2015-2017、2019-現在に至るまでの在籍です。
年齢も重ねプレイスタイルも変わって来ましたが、常に全力投球なのは変わらない。インサイドでも3ポイントでも、欲しい時に点を入れてくれる。ディフェンスもしつこく、泥臭い。
いかつい外見に反して多少天然なところもあり、おちゃらけていいところでは笑わせてくれます。誠実。実生活でも(おそらく)いいお父さんで、子どもたちに絵本を寄付するチャリティ活動を行なっています。
次に今シーズン、特別指定選手から入団した2人。
岡田泰希(背番号6)
一昨年の渡辺翔太にも感じたのですが、岡田泰希も掘り出し物なのではと思った選手。シュート力がある。大学生があれくらいやってくれたのはほんと助かった。わたしは特別指定選手にそこまで期待していなかったので、その人が得点してくれるとゼロからのプラスですごくお得な感じでした。
が、今シーズンはプロとしての契約なわけで、これは数字を期待しますよ。HCをはじめとして諸先輩方の薫陶を受け、能力が伸びていくことを願ってやまない。なんだったら諸先輩の薫陶を受けなくても構わない。自力で上手くなって行ってくれ!
ただ89ERSは伝統的に堅いディフェンスを売りにしているチームなので「点は全員で取る」という姿勢は大事にして欲しい。そしてポイントガードの能力は経験によって培われて行くものなので、今後そこもぐんと伸びてくれたら嬉しい。
寺澤大夢(背番号10)
ポジションはSF。
去年も特別指定選手として在籍していたのですが、少しプレイタイムは少なめでした。なのでまだあまりはっきりした印象がない選手です。喋っているところも見たことがないしね。今後自信を持って「こういう選手!」といえるような活躍をして欲しいです。
ニューフェイスたち。
新しく入った人についてはまだネット配信で2、3試合を見ただけなので、実際どんな選手なのかは何ともいえないところです。期待する点などを。
小林遥太(背番号0)
名古屋ダイモンドドルフィンズから移籍。
現在ポイントガードのポジションにはこの小林遥太と渡辺翔太、岡田泰希がいるわけですが、渡辺翔太、岡田泰希が育つまでの間、ベテランの小林に背後から支えて欲しいという狙いでとった選手だと思います。クレバーなPGが欲しい。切実に。現時点で渡辺翔太も岡田泰希もまだまだ経験不足なのは明白だから、そこを小林に補って欲しいです。
小寺ハミルトンゲイリー(背番号2)
琉球ゴールデンキングスからの移籍。
超大型選手。130キロあります。89ERSに来た初めての戦力的帰化選手。になって欲しい。去年のスタッツを見る限り、どんな役割を期待しているのか、わたしには今一つ明確にはわかりません……。横幅と厚みがある選手なので当然ゴール下でディフェンスはがんばって欲しいが、去年のスタッツ的にゴール下からの得点とリバウンドはちょっと物足りない気がします。
まあ年齢も高いですし、プレイタイムも5分、10分というところなので、出ている間はディフェンスをしっかりしてくれて、その間に外国籍を休ませることが出来ればという狙いなのかもしれません。
ラショーン・トーマス(背番号25)
ポジションはPF/C。
イタリア、セルビア、韓国でプレイして来た選手。日本は初。日本のバスケにどのくらい早くフィット出来るかが重要なポイントです。得点に期待したのかと思ったのですが、まだちょっとわかりません。プレシーズンゲームを見ている限り特にセルフィッシュな気はせず、周りに合わせることも出来ているように思う。
ただこの人が得点源になってくれないと多分困る。自分ばっかりになっても困るが点を取ってもらわないと困る。その加減が難しいですね。
ネイサン・ブース(背番号45)
ポジションはPF/C。
イタリア、トルコ、ドイツでプレイして来た選手。日本は初。奥さんと一緒に来日したそうなので、健康管理とか精神安定という意味で安心感がある。
3ポイントに期待出来る選手だと思います。本人も3ポイントが好きな感じ。反面、ゴール下へ体を張ってゴリゴリ行くタイプではなさそうなので、そこを小寺が担ってくれるのかどうか、というところでしょうか。
加藤寿一(背番号31)
ポジションはSF。
京都ハンナリーズから移籍しました。公開練習を見た限りではスマートなバスケットをするという印象。3ポイントもありそうです。ただしバリバリ点数を取るタイプではないでしょう。ディフェンスがどういう感じかが気になります。
わたしの心配は、しっかり点数をとってくれる人がいるのか?ということと、リバウンドを誰がとってくれるのか?ということです。得点もリバウンドも、全員が出来ればそれに越したことはないですが、やはりある程度スペシャリストがいた方が安心な気もする。
というわけで、いよいよシーズンが始まります。
10月1日(土)16:05。アウェイの京都市体育館でB1復帰初戦を迎えます。
GAME2は翌日15:05から。
相手は京都ハンナリーズです。京都もここ数年は苦戦している。
――贅沢は言わない。出来れば1勝1敗でお願い出来ないだろうか。早いうちにB1で1勝を取りたいんです。アウェイで1勝出来たら大きいですよ!もちろん選手は2戦2勝のつもりで行くでしょうが、見てる方はどうしても弱気になる。
弱気にしても強気にしても、仙台89ERSの記念すべきB1初戦を、見ながら応援したいという向きにはNHK仙台で生中継をします!テレビの前に坐って期待してお待ちください。
さらにNHK仙台ではパブリックビューイングを行なうそうです。入場無料。
また、初戦以外の仙台89ERSのことも見守りたいとお思いでしたら、ソフトバンクがやっているバスケットLIVEというサービスがあります。
スマホをソフトバンクで契約している人は無料で使えます。それ以外の携帯電話会社をお使いの方も月額508円を払ってyahooプレミアムの会員登録すれば視聴可能。
バスケットLIVEだけでも日本のバスケットの主だったところ(Bリーグの他、日本代表戦・女子バスケリーグであるWリーグ・天皇杯皇后杯・その他)はカバーしています。わたしは月額料金を払っていますが、自チームの年間60試合をホーム・アウェイに関係なく見られるので大変満足しています。
yahooプレミアム会員になるとベースボールライブ(パリーグの試合のみ)も見られるので、春から秋は楽天イーグルスを追い、秋から春にはバスケットLIVEで仙台89ERSを追っています。他にも、わたしは使ったことないけど雑誌読み放題とか、各種yahooサービスでポイントがお得だとかいろいろあるようなので、興味のある方は是非どうぞ。
共に仙台89ERSを応援しましょう!GO!仙台89ERS!
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