WordPressの使い方を調べて、それを記事にする……というのが続いたので、ほとほと疲れました。知識ゼロの状態からなんだもの。ここらへんで、骨休めに(あまり)調べなくてもいいようなことを、心のおもむくままに書きたいと思います。やれやれ、早くブログ戦記を終えてこの段階に進みたいです。
心のおもむくままに、星の名前。
スピカ。意味は「麦の穂」。
スピカ。おとめ座の一等星。
おとめ座は豊穣の女神デメーテールの娘、ペルセポネの姿です。(異説もあるそうです)
ある日、ペルセポネが野原で遊んでいたところを、冥界の神ハデスが見て一目ぼれをしてしまいました。止せばいいのに、ハデスはそのままペルセポネを略奪。自分の王国である冥界へ連れ去ってしまいました。男は強引すぎない方がいいと思うなあ。強引な方が男らしいというのは幻想です。
娘がいなくなったことにデメーテールは怒り悲しみ、そのため地上では穀物が実らなくなってしまいました。何しろ豊穣の女神ですから、彼女が機嫌を損ねると飢饉になってしまうのです。人間の問題はゼウスの問題。供物を捧げてくれる人間がいないと、神様もやっていけません。
ゼウスが仲裁に入り、ペルセポネは地上に戻れることになりました。ですがハデスのたくらみで、ペルセポネはその時にはもう、冥界でざくろの実を口にしてしまっていたのです。冥界の食物を食べた以上、もう地上へ戻れないのは神々の掟。この掟は尊重されなければなりません。
双方ぎりぎりまで譲った結果、ペルセポネは1年の3分の2を地上で、3分の1を冥界の女王として過ごすことになりました。それでようやくデメーテールも機嫌を直し、また地上は花が咲き、穀物が豊かに実るようになりました。ただし、娘が冥界に行ってしまっている冬の間はデメーテールはふさぎ込み、地上の花は枯れるのだそうです。
ハデスってなんかかわいそう。
この話から思うことは……
冥界の王という役回りは、貧乏くじをひいたのではないかといつも思う。ハデスってゼウスやポセイドンのお兄さんなのにね。いや、死者は今後増える一方だし、神々さえ従わなければならない死の掟の番人ではあるが、……やはりイメージってあるじゃないですか。冥界の王はちょっとコワくて、ペルセポネもすぐに「うん」とは言えない雰囲気。
ハデスって不器用っぽいよね。ゼウスは女とみれば見境なしだけど、ハデスはこの話以外にあまりそういう類は聞かないしね。しかも奥さんは8ヶ月も里帰りして、自分のところには4ヶ月しかいないんだよね。王として、女王がいない状態はなにかと不自由ではないだろうか……
それでもいい、と思う辺り……やはり愛でしょうか。
ペルセポネは、オルフェウスが妻を連れ戻しに来た時はちょうど冥界にいて、エウリュディケが甦れるように口添えをするんだよね。つまり季節は冬でしょう。これが夏だったらペルセポネはいなくて、オルフェウスは妻を連れ帰れなかったかもしれない。もっとも、結局地上へは戻れなかったんだから、結果は同じことだけれども。
ハデスといえば冥王星。冥王星も気の毒でねえ。こないだまでは惑星だったのに、先年准惑星に格下げになってしまいました。すいきちかもくどってんかいめい、と覚えた知識をどうしてくれる。
今、wikiを見て知ったんだけど、冥王星って月より小さいんだね!そりゃー……准惑星でもしょうがないかなあ。でも月って、衛星にしては地球に対して異常に大きいらしいから、何億年も昔は小惑星だったんですかね。
冥王星の衛星カロンは冥王星に対して直径が半分以上あるんですってよ。それは惑星と衛星という関係になりうるのか?二重天体という意見もあるそう。ちなみにカロンは冥界のアケローン川の渡し守です。
惑星の名前にギリシャ神話の神々の名前を付けたのは、本当に良いチョイスだったと思う。まあそもそも「太陽神アポロン」とか「月の女神アルテミス」とかあったのだから、流れとしては当然の流れだけれどもね。惑星に神々の名前をつけ、さらに衛星にその神に所縁の人の名前をつけたんだから、あとになっても大変わかりやすい。
ガニメデやイオやエウロパが木星の衛星だってことはわかりやすいし、トリトンは海王星だし、みつかってないし今後見つかることもおそらくはないだろうけど、金星に衛星が出現したら、間違いなく名前はエロスでしょう。
アテン型小惑星っていうのもあるんだって。
あと今回知って面白かったのは、アテン型小惑星。初めて聞いた気がする。
アテン型小惑星=地球近傍小惑星=地球に接近する軌道を持つ小惑星のうち、地球より小さい軌道を描くもの、らしい。アテンってあのエジプト神のアテン?と思ったらそうだった。似たような仲間にハトホルとかセクメトとか。しかしケルト神話から来ている名前もついていたりして、あんまり命名は統一されてないようだ。
ちなみに地球より大きい軌道を描くものはアポロ型小惑星だって。イトカワがこのグループに入るらしいです。
アークトゥルス。意味は「熊の番人」。
アークトゥルス。うしかい座の一等星。
……なのだが、この牛飼いが果たしてどんな神話を持っているのかというと全然思い当たらない。一説にはアトラスであるという意見もあるそうなんだが、アトラスをうしかい座と言われてもねえ。アトラスはやっぱりアトラスじゃないとと思うんですが。
しかも猟犬(=りょうけん座)を連れてるっぽいし。世界を四六時中背負うアトラスが、猟犬連れて熊の番人とは意味がわからない。
そういう、神話的意味がわからないのでわたしにとっては馴染みにくい星座ではありますが、夜空の中では探しやすい星座です。北斗七星の柄の先にあるひと固まりの星座。アークトゥルスはオレンジ色の明るい星。
レグルス。意味は「王」。
レグルス。しし座の一等星。
しし座は黄道十二宮の1つでもあるし、かなりメジャーな星座だけれども、ギリシャ神話的には単にヘラクレスの敵役というか、ヘラクレスが退治したネメアの獅子ってだけで地味ですよね。ヘラクレスがこん棒で殴っても死なず、最後は首を絞めて殺したのだとか。
まあこれはわたしの想像ですけれども、ギリシャ神話に獅子が出て来るのがヘラクレスの獅子退治の話しかないのでその獅子とされたけれども、その特徴的な形から、ギリシャ神話関係なく昔から獅子とされて来たんだと思う。
星座としては、北斗七星の下あたりのかたまりの星座で、クエスチョンマークを裏返したような大鎌の形が特徴的。大鎌の一番下にあるのがレグルス。尻尾の方にはデネボラという二等星があって、アラビア語で「獅子の尾」という意味だそうです。そのまんまですな。
スピカとアークトゥルスとデネボラで「春の大三角」を形成します。デネボラが他の2つの星に比べてちょっと暗いの。
かみのけ座。
全然明るい星はないけど、神話がちょっと印象的なのがかみのけ座。
どこぞの王妃(エジプトのプトレマイオス3世の妃らしい)のベレニケが、夫の戦場での無事を祈り、美しい自分の髪をアフロディーテの神殿に奉納したのがかみのけ座らしい。貞女の鑑。
が、小さい頃星の神話を読んだ頃には、夜空にカツラが貼りついているようなイメージが先行して微妙だった。まあでもそういうことですよね?つまりは。
――アレクサンドリア文化が花開いたのは、あまたの庭園と柱廊に囲まれたこの建物においてであった。宮廷がすべての資金を出し、すべてを命令し、ムーセイオンは想像力もしくは知識をもってこれに応じた。両者の関係は呆れるほどに緊密であり、たとえば、エウエルゲテスの王妃ベレニケが献じた切髪が神殿から行方不明になると、新しい星座を見つけ、天に昇りましたと王妃をなぐさめるのが宮廷天文学者の仕事であり、亡き髪を悼む悲歌を詠むのが宮廷詩人の仕事であった――
――E.M.フォースター「アレクサンドリア」より
記事を書いてしばらくして読んだ本に、ちょうどベレニケの髪のことが書いてあったので、共時性に嬉しくなって追記してみました。ムーセイオンはムーサの神殿という意味で、ムーサは英語でミューズ、芸術の女神たちのこと。
芸術の女神たちの神殿が、現在の英語でミュージアムといわれる美術館・博物館の語源になったとは面白いではないですか。我々はいまだに、美への供物を絶やさない。
「若草物語」で次女のジョーが髪を売ってお金を作った、というのを読んだ時も今一つ具体的にイメージできなかった。
平安時代のお姫さまくらいの長さがあるなら、肩のあたりで切りそろえて一束として売る、というのは考えやすいけれども、ジョーは再利用出来るほどの長さがあるようにカット出来るのだろうか……。再利用の目的はカツラですよね?短髪のカツラっていう時代でもないだろうし……
ヘンなことが気になるものです。
かみのけ座は、星座としては、北斗七星としし座とおとめ座とうしかい座の中間くらいの小さくて暗いかたまり。わたしもあまり現実に確認したことはありません。
星座観察からのアプローチでも、星の神話からのアプローチでも、星の世界は俗界と無関係でほっとします。ちょっと疲れた時には星の世界に心を遊ばせてみるのも一興ですね。
イタリア付近ですねー。
関連記事: