モネは絵をたくさん描いた画家。1人の画家が生涯何枚の絵を描いたか、正確なところを出すのはなかなか難しいでしょう。しかし古今東西の画家のなかで、モネが描いた枚数は1、2を争うのではないでしょうか。
モネは好きな画家なので、だいたいの絵は喜んで見ます。その中でも特に好きなのは、
色がきれいな絵
細かいタッチの風景画
開放感のある絵
です。有名な絵にも好きなのはたくさんあるけれども、わたしは名前を憶えてないような初期の頃のなんということもない絵が好きなんですよね。
モネ「ルエルの眺め」
1858年のもの。モネが1840年生まれですから18歳頃。
まだ印象派といった絵ではなく、普通と言えばかなり普通の絵。誰の作品かと訊かれればわからないと思います。でもこんな風景に憧れませんか。絵の個性に惹かれるというより、そこに描かれたものに惹かれるという絵。
モネ「かささぎ」
この雪への光の当たり具合、光り方がいいと思うんですよねえ。
これはまるで「ルビンの壺」。白地の方に注目するとワイングラスが、黒地の方へ注目すると向かい合った人の顏に見えるというあれです。光の部分に注目するか、影になっている灰色の微妙さを楽しむか。わたしは雪の輝きの方に注目する。
タイトルのかささぎはどこにいるかというと、左側の柵の上ですね。ちっちゃい。
モネ「国会議事堂下のテムズ川」
この絵はロンドン・ナショナルギャラリーにあります。ロンドンで見るロンドンの絵。色が地味なわりに好きな絵で。直接的な理由は、ここでこの絵のメモ帳を買ったからなんですけど。
濃淡で表されたビッグベンとイギリスの国会議事堂であるウェストミンスターの部分がとても好き。朝靄のなかでしょうか。手前の水面に映った桟橋の表現も印象派の腕の見せ所。同じテムズ川を描いたものでも「印象・日の出」よりこちらの絵の方が好き。
モネ「ひなげし」
「ひなげし」も好きですねえ。緑の野に広がる赤いポピー。フランスに行った時、まさにこんな風に咲き乱れる赤いポピーの野原を見ました。
日本の野の花は地味なものが多くて(シロツメクサとかツユクサとかヒメジョオンとか……)花を摘んでも花束にはなりにくいけど、ヨーロッパで見た花は派手な花が多くて、これは花摘みが楽しいに違いない。赤毛のアンにも「花を摘んでくるわ」といって、家に飾る花を摘みに行くシーンがあるんですよね。憧れる。
中央でパキッと分かれた空と野原。こんな風な2分割の構図は単純で、もしわたしが画家として描くとしたら、素人っぽく見えないかな?と気にしちゃうところ。そんなことを気にするのが素人なのでしょう。
モネ「散歩、日傘をさす女」
総じて風景画の方が好きなamairoですが、人物画でもこの「日傘をさす女」は好き。
モネは日傘をさす女を全部で3枚描いています。
最初のが一番好きだな。絵のための絵じゃなくて、家族の肖像という気がするからかもしれない。
他にも、絵は出せないのですが、ポーラ美術館の「ジヴェルニーの積みわら」や、テレビで見ただけだけどクラーク・コレクションのモネも色のきれいなものがたくさんありました。
モネは平均的にいい。
印象派のなかで好きな画家は?と言われたらモネとゴッホなのですが、よく考えてみるとモネのこれが好き!これが見たい!愛する絵画5本の指に入る!という絵はありませんねえ。そういう絵は、わたしの場合、ルネサンスあたりのもっと古い時代のものになるようです。
でもモネの絵は総じて気持ちがいい。嫌いな絵があまりない。革新性と保守性のバランスがいい気がします。やはり近代の画家ではわたしはモネをあげたいなあ。
みなさんはどのモネが好きですか?
関連記事
◎モネ最大の難問。「睡蓮」のベストはどれ?――美術を楽しく見るためには、好きなジャンルと出会うのが大切。西洋美術・印象派。