世の中には本の区分はいろいろありますが、単行本と文庫本、どっちがどっちだっけ?と思う人は多いと思います。一緒に覚えましょう。
関係ないですが、わたしは、「ほっけ」と「ほっき」がどっちがどっちかわからなくなります。北寄貝という漢字を教えてもらってから間違わないようになりました。それでも一瞬悩んでからの話になりますが。
単行本は「単発で」「刊行された」本です。
単行本は「単発で」「刊行された」、少し大きめで表紙がしっかりした本。本としてはこれが一番基本です。
四六判という大きさを覚えてもあまり人生に役立つとは思えないので覚えなくてもいいですが、だいたい基本は128×188mmです。学校の教科書と同じかな?今でも学校の教科書は四六判なのでしょうか。わたしの頃だと四六判だったのかなと思いますが。
が、大きさは割合自由です。横や縦のサイズが独自だったりもします。そういうサイズも込みで単独でデザインされた本。
ただしマンガは注意。
ただし――わたしは今回初めて知ったのですが、マンガの世界での単行本というとまた別な話になるそうですね。びっくりしたー。
雑誌連載されていた作品が本になると、それを「単行本」と呼ぶそうです。書籍の単行本とはサイズがだいぶ違いますね。わたしはあれをコミックスと呼んでいたので、単行本と呼ぶとは知らなかった。もしかしてこれが単行本という言葉が混乱する原因ではないのか……。
なお、マンガにはマンガで、文庫版も出ているものがあるようです。こちらは普通の文庫本とは違い、一世を風靡したレベルの人気マンガしか文庫化しないイメージです。当然まだ連載中のマンガは文庫化しないしね。本とマンガはちょっと別に考えてください。
文庫本は並べて楽しい本棚用。
文庫本は大雑把に言って小さい方の本のことです。同じ会社の文庫だとサイズと背表紙が揃っているので、本棚に並べると統一感があって楽しい。特に背表紙が揃っているというのが好きです。
……えー、文庫本といって連想を働かせるアイディアが思いつかない。文庫はシリーズのイメージで捉えていただけるといいのですが……。小さくて統一感があるものが文庫。
学級文庫があるのは小学校、小学校はミニサイズ、と覚えていただくのはいかがでしょう。……ちょっと無理がありますか。「文庫」で「小さい」を導くのが難しい。そもそも文庫というのは図書館・書庫の昔の言い方なんですが、図書館には単行本と文庫と、どちらもあるしなあ。
単行本を「単発で刊行した本」と覚え、文庫本はそうじゃない方と覚えるのはどうでしょう。まどろっこしいが。単行本は1冊1冊デザインや大きさがけっこう違うので、本棚にきれいに並べたい身からすると、若干がっかりする。並べるんだったら文庫の方が好きだーっ。
あ、「ぶんこ」の「こ」は「小さい」の「小」と覚えるのはどうでしょう。かなり無理やり。
文庫って出版社ごとに出しています。
サイズがだいたいあの大きさにおさまっているものを総合的に文庫本と呼びますが、各出版社が出している文庫を、その出版社の名前を付けて〇〇文庫といいます。
一番歴史があって有名なのが岩波文庫。たとえば、
文庫を初めて出したのは岩波。古今東西の名著を軒並み揃えてくれているアリガタイ文庫です。
ギリシャ哲学から日本文学まで。岩波文庫を100冊持っていれば、教養がありそうな人の気がする。
が、そういう古今の名著なので、読んで楽しいものが少ないのが珠に疵ですねえ。といって、なければ困るものなので、わたしとは離れたところでますますお元気に名著の復刊を続けて欲しいと……。活字自体はもう少し大きくしてくれた方がありがたい。
とかなんとか、各出版社の特徴を独断に従って言及していくのは楽しそうだが、本題からは外れていきますね。いい加減にしましょう。でも文庫によって得意分野が違うということはあります。ほぼ小説とエッセイしか出さないところとか、学術書が多いところとか。
文庫の代表的な出版社は、前述の岩波、新潮、講談社、集英社、中公、文春、ちくま、角川、幻冬舎、創元推理、ハヤカワなど。大手だけでこれですから、他にもたくさんあるんですよねー。
だいたいみんなサイズを揃えているのですが、幻冬舎文庫だけはなぜか横幅が5ミリほど短い。横幅が短いということは、本棚に並べた時、幻冬舎文庫のところだが窪むわけなので、わたしは大変にキモチワルイ。なんでこのサイズにしたのだろうか。文字数&紙代の節約?
でもわたしの好きな宮田珠己の文庫本をたくさん出してくれているのが幻冬舎文庫だしなあ……。あまり悪くはいえない。
単行本と文庫本、どっちがおすすめ?
この問いには答えにくい。答えられない。その人がその時の状況でいい方を選ぶべきとしか。たしかに単行本と文庫本には違いがありますけれども、一概にどっちがいいとはいえない。
いや、わたしは完全に文庫本優先の人ですけれども。
「字の本は文庫で買う」が昔からの掟でした。なぜならば、文庫本の方が場所を取らない。そして安い。正直言って、個人的には文庫本と単行本、どちらの選択肢もある場合に単行本を選ぶ意味がさっぱりわからない。
が、どうしても単行本を買わなければならない場合が2つあります。
発売されたばっかりの本をすぐに読みたい場合。
文庫本にはならないだろうなーという本が欲しい場合。
発売されたばっかりの本をすぐに読みたい場合。
通常、小説などはまず単行本で出版されます。それが3年前後で文庫本で出版し直されるというのが一般的な流れ。そのため、好きな作家の楽しみにしていた作品が出た!すぐ読みたい!という場合には単行本一択です。
ちなみに、じゃあ買うのは文庫で買うとして、作品は先に図書館で読んじゃおうという方法もありますが、考えることはみんな同じで、そういう人気の本は図書館でも何百冊という予約が入ります。なので読むまでそれなりに時間がかかります。
わたしは文庫化まで待ちますけどね。なにしろ掟なので。しかし文庫化まで待てないほど好きな作品があるのは幸せなことです。
文庫本にはならないだろうなーという本が欲しい場合。
単行本で出た全ての本が文庫本になるわけではありません。人気作家の作品はかなりの割合で文庫になりますが、人気作家でも売れ行きが悪かった作品、そんなに有名ではない作家の作品、売れなかった作品は文庫にしても売れ行きが期待出来ないため、文庫化しないことも多いです。
また小説・エッセイはどちらかというと文庫化しやすいジャンルですが、それ以外のジャンルは文庫化する可能性は低くなります。わたしが好きなジャンルでいえば、歴史関係と美術関係はあまり文庫にはなりませんかねえ。
単行本のいいところ。
読者側からいえば、本としてのデザイン性がより高いということでしょうか。本は装丁までも含めて作品なので、時々表紙などにものすごく凝った本に出会うことがあります。箔押し(金箔や銀箔など使うもの)、型押し(文字やマークなど、窪ませて立体的にする)、またカバーに穴を開けたり透明にしたり、それと本体の表紙デザインと合わせて、ものすごく凝ってる!と思うものがあったりします。ただ文庫本も決して手を抜いてるわけではないですけどね。
出版社・著者側からいえば、とにかく単行本が売れてくれないと始まらない。売れないと文庫にもならない。単行本は手間とお金がかかるので、値段が高いわりには出版社に入るオカネはそれほどではないと言われていますが(これが正確かどうかは知らない)、単行本が売れればみんな幸せ。
文庫本のいいところ。
読者側からすれば、安い。場所を取らない。
あと、大事なポイントとして、文庫本だと解説がつく場合があります。普通の小説についての解説は、読んでも読まなくてもいいかなと思うものが多いですが(乱暴)、ごくまれに「この解説面白いなあ」というものもあります。
解説で好きな作家がたまたま書いていたりするとテンションが上がりますね。あなたもこれを読んだのか!と思う。が、当然解説でその作品に対して批判はしないので、自分が本文を読み終わって「つまらん」という感想を持つ→解説が好きな作家→解説で褒めてる→がっかりする、というコラボがくることもあります。
持ち歩きやすいのが利点だとも言われます。まあまあ、でも単行本でもそうそう厚い本じゃなければ持ち歩けますしね。とはいってもさすがにわたしも旅行に単行本は持って行きませんから、やっぱり文庫本の利点ではありますか。
本を長期間持ち歩く時は、予めカバーをすると後悔しない。
ちなみに本を持ち歩くと角が擦れます。3日くらいなら気にならないけど、1週間連続して持ち歩くと、多少気になるくらいには傷むと思う。もし1週間以上持ち歩きそうな場合は、最初から本にカバーをかけておくといいですよ。
カバーは、見た目さえ気にしなければチラシだってかまいませんし、見た目が気になるならば、コピー用紙や贈答用のお菓子の包み紙(折れ線があったって、本カバーで使う分には気になりません)などで良し。本当にきれいにオシャレにしたいのであれば、100円ショップで包装紙を売っています。
ごく普通のサイズの文庫本のカバーは、最低限A4サイズがあれば作れます。本当はA4だとちょっと小さく、それより一回り大きめの方がきれいに納まるのですが。
適当に紙の中心あたりに本をおいて、本の上下のサイズに合わせて紙に印をつけます。目分量でもOK。その印に合わせて横に折り、細長くしてから右か左、どちらかを内側に折ります。その折った線に合わせて当該の文庫本の表紙(または裏表紙)を差し込み、本体をぐるりと巻いて、厚さに合わせて折り目をつけ、その折り目に合わせて裏表紙(または表紙)を差し込めばいいだけ。
それも面倒な人は、文庫本を買う時に本屋さんでカバーをつけてもらい、そのカバーをとっておいて、他の文庫を持ち歩く際に付け替える。本によって厚みが違うので、何度も使っているとちょっと横がよれて来ますが、形が崩れたらすぐ次に変えられるのが紙製品のいいところ。
本には他にもいろいろと。
単行本は、単発で刊行される本。
文庫本は、ぶんこの「こ」は「小物」の「こ」。小さい方の本。……うーん、これではさっぱりわからんな。文庫=書庫なので、本棚に背表紙の揃った本がずらりと並んでいるところを想像してください。
単行本、文庫本の他に、新書というものもあります。この新書というのものなんとなーくモヤモヤとした、わかりにくい存在かと思いますが……まずは単行本と文庫本の確立を目指して。
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