アーリーカップ。英語で書くとEARLY CUP。聞いたことありますか?初めて聞く方も多いと思います。さて、アーリーカップとは何でしょう。
これが正式名称「Bリーグ・アーリーカップ(B.LEAGUE EARLY CUP)」といいまして、
日本のプロバスケットボールリーグ・Bリーグの、
レギュラーシーズン直前に行なう
アーリーカップ争奪のミニ・トーナメント戦です。
日本全国を6地区に分け、通常1地区6チームで3日にわたって行われます。
レギュラーシーズンよりも「一足早い」大会なのでEARLY(=早い)です。
どんな大会?
現在Bリーグには全国36チームが参加しています。
このうちB1が上位リーグでB2が下位リーグなのはサッカーなどと同じです。Bリーグが発足して今年でようやく3シーズン目なので、まだまだ固まっていないところではあります。
アーリーカップではB1とB2の垣根をとっぱらい、近場の6チームで殴り合いをするぜ!というコンセプトの下、試合が行われます。……嘘です。殴り合いまではしません。多分。
「野球のオープン戦みたいなもん?」と感じられるかもしれませんね。しかしちょっと雰囲気が違います。
野球のオープン戦はあくまで練習試合で、勝率や打率などが参考程度のものであるのに対して、Bリーグのアーリーカップは真剣勝負です。各地区優勝チームには優勝カップもあれば、少ないながらも賞金も出ます。アーリーカップ前回王者は「2連覇を目指して!」と言ったりします。
※ヘッドコーチ(HC)というのは野球でいう監督のことで、チームの現場で一番偉い人です。ただのコーチじゃないので注意。
いつやるの?どこで?
2019年は9月14日~16日に行われました。開催地は以下の6都市。
宮城県仙台市(東北地区)
千葉県船橋市(関東地区)
新潟県長岡市(北信越地区)
愛知県刈谷市(東海地区)
大阪府大阪市(関西地区)
福岡県飯塚市(西日本地区)
場所は毎年変わる……のではないかと思います。それは地区によって違うかもしれません。
わたしは地元のことしか知らないのですが、東北地区は2019年も2018年も仙台市のゼビオアリーナで行われました。しかし毎年必ず仙台確定!というわけではないと思います。
2017年は山形市で行われており、Bリーグが発足する前は会津若松市で開催された記憶もあるので、回り持ちが基本なのかもしれません。
しかし6チームの選手・スタッフの宿泊施設数の確保と各所から来る交通機関の利便性を考えると、次回の開催がまた仙台という可能性もあるかと思います。仙台のゼビオアリーナもいい会場だしね。
2019年の会場のゼビオアリーナはこんなところです。
ちょっとかっこいい。他ではなかなかないんじゃないかな。本場アメリカのNBAをちょこっとだけ彷彿とさせる(テレビでしか見たことないけど)アリーナ。どこの席から見てもけっこう見やすいです。この写真は照明が暗くなっている時なので、試合中はもっと明るいです。
この演出、きれいなんだあ。(秋田試合時の写真の為、チームカラーのピンクがメインに灯ってます)
バスケットボール、その魅力。
ずいぶん長くバスケを視ているわりに、その魅力について語れる自信はないけれども、amairoが思うバスケの魅力とは以下の通りです。
選手と観客の距離。
野球にしてもサッカーにしても、ハコ(球場)が広い分、選手まで遠いですよね。臨場感は臨場感として、見ることだけに関していえば家でテレビで見ていた方がずっと詳しく見られる。わたしは野球観戦も大好きですが、外野の遠くから見ているより、テレビの解説と投手や打者の表情のアップの方が詳しいとはよく思う。
バスケは何しろコートが狭いですからね。縦28メートル、横15メートル。ってわたしも今知りましたが、数字で聞くとさらに狭いですね。そういう狭いコートを取り囲む、選手と観客の位置が大変近いスポーツ。まあだいたい会場は体育館のようなところが多いですから、コートサイドの一番いい席なんて、まさに選手が目の前でプレーします。わたしはそんな値段の高い席に座ったことはないですが、ある程度の席であれば選手の表情までよくわかります。
次にそのスピード。
正直に言いましょう。選手によって、あるいはチームによって、上手い下手はあります。試合によっても出来不出来がかなりある。
が、基本的にはバスケはやはりスピードを争うスポーツです。
狭いコートですがそこにいるのは敵味方合わせて10人。……これが実力の足りないチームだと「たったの」10人と感じ、体が大きくて上手いチームだと10人「も」いる、という印象になるのですが、そこを選手たちがスペースを求めて走る。投げる。跳ぶ。
ボールを生かそうと必死に足掻く。
そのさまは水を求めて足掻く魚のような必死さで、その必死さに視ている我々も力が入る。選手と観客の距離が近いだけに、その必死さがダイレクトに伝わってくるんですよ。
体のぶつかりあい。
ほとんどの人がやったことのあるバスケ。しかしみなさんがやったことがあるバスケとプロバスケには全く違うことがあります。それは、
身体接触の激しさ。
体育の授業のバスケでは、たまたま体がぶつかるとかドリブルをカットしようとして腕を叩くとか、そのくらいの接触はあるかもしれません。が、プロバスケはスピードと高さと体のぶつかり合いが7割を決めるのではないかいうほどにぶつかり合いの激しい、プロレスのようなところがあります。
そりゃそうですよ。ゴール下のあんな狭いスペースに190センチくらいある大男が3、4人、多ければ5、6人もたった1つのボールを目指して殺到するんですから。常時おしくらまんじゅう状態。まさにぶつかり合いです。
そこで面白いところは、背が高い、体のがっちりした選手が有利なことを大前提にしつつも、背が小さい選手がこれしかない!というタイミングで跳んだり、細い選手が絶妙の位置取りでボールをキープしたりが視られるところです。
もちろん大柄で背の高い外国人選手がおしくらまんじゅうに圧勝してボールを手に入れるというのも(それが自チームの選手なら)見どころ。ほんとに怪我と隣り合わせのスポーツですね。格闘技っぽいです。
実は選手は役者でもあった。
バスケはフェイクのスポーツでもあります。まっすぐ行くと見せかけて急に止まったり、ターンしたり。右へ行くと見せかけて左。自分でドリブルすると見せかけてパス。なんとかして相手をだましてシュートを打てるスペースを作る、それがバスケットボールです。
ノールックパスという技があります。パスする相手とは別な味方の方を向いてパスする。敵を欺く。それはまるで推理劇における役者のような演技。
ヘッドコーチは頭脳。作戦は星の数ほど。
学生時代のバスケ部の連想でいえば、監督は先生で主に指導と管理のみを行なう存在でした。なのでわたしは極端にいえばヘッドコーチはいてもいなくてもあまり変わらないんじゃないかと思っていた。しかし仙台89ERSを見始めて、プロバスケにおけるヘッドコーチの重要性をしみじみ感じました。やはりヘッドコーチは頭脳であると。
チームカラーというものがあります。他のスポーツもそうだと思いますが、ベンチに最大13人しか入れないBリーグでは、ヘッドコーチの考え=チームカラーです。その顔ぶれからしてまずはヘッドコーチが行なうデザイン。ヘッドコーチが自分の目指すバスケにフィットする各選手を集める。
守りのチームにするのか、攻撃のチームにするのか、速攻を狙うのか。こういう数々の選択によって、チームは独自のカラーを生み出します。
(しかしここに予算や諸々の大人の事情が絡むのがプロのキビシイところではあります……)
実際のゲームの場でもヘッドコーチがもちろん頭脳です。ディフェンスの方法の選択や選手交代、残り時間をにらみながらの攻撃の方法、……いろいろです。わたしが窺い知れないほど(←知らないだけともいう)いろいろ。
上手い選手は体幹が強い。
これは正直全選手というわけじゃないんですけど、やっぱり上手な選手は体幹が安定しているんですよね。体勢が崩れたところでシュートをしてもバランスがちゃんと取れているせいか何故か入ります。その見事さ。体のラインの美しさ。
「うわー、あの体勢でシュートが入るのか……!」と賛嘆を感じます。それが敵チームの選手だった場合には賛嘆とともに「入んなくていいじゃん!」と腹立ちも感じますけれども。
バスケの最後は詰将棋。になることもある。
だいたいの試合はそれなりの点差がついて結着しますのでいつもというわけではないのですが、差が3点くらいしかない状態で残り30秒くらいになると詰将棋タイムです。
どの選手がボールを持つのか。3ポイントを狙うのか。2点シュートでさらにファウルを狙うか。ファウルをするかしないか。これはもうほんとに詰将棋だ!と思う。野球でたとえれば、野村克也監督がやっていた継投みたいな面白さがあります。
この詰将棋で勝つと最高の気分!それが終了直前のシュートで決まったりするとアドレナリンが一気に放出されてヤバイ。こういう試合を視られた時は最高です。
以上のようにバスケットボールは、陸上のスピードもあれば、格闘技の体のぶつかり合い、フェイクの演技力、作戦の頭脳、器械体操的な体幹の美しさ、最終盤の詰め将棋、……今自分で書いてびっくりしていますが、これほど多種多様な面白さを内包したスポーツだったのです!
アーリーカップはお得です。
シーズン開幕を待ちかねていたバスケファンにとっては、アーリーカップは、長いバスケ空白の季節のあとの桜の開花を告げる喜ばしいお知らせです。わーい!バスケシーズンが始まるぞー!
通常のレギュラーシーズンではその日に行なわれる試合は1試合だけですが、アーリーカップではお得なことに、1日で最大6チーム、3試合を見られます。1試合分の料金で。
というのは、6チームのトーナメントを3日間で行なうから。
いつまで2019年のページが残っているかわからないけど、とりあえずリンク貼っときます。
6チームのうち2チームはシード。このシードチームには1日目の試合はありません。
1日目:シード以外の4チームで2試合。
2日目:1日目の試合の勝者の2チームとシードの2チームで2試合。その他前日の敗者同士による5位決定戦。合計3試合。
3日目:2日目の敗者同士で3位決定戦。最後に決勝。
チケットの代金は自分の目当ての1試合の座席を基準に払います。そしてその日に行なわれる他の1試合あるいは2試合についても、特に追加料金など必要なく自由席で見られます。
6チームを見られるというのはかなり見ごたえがあると思う。アーリーカップはB1とB2が混合なので、レギュラーシーズンでは対戦しないチームもあるのですが(たとえば仙台89ERSの場合、B2所属なのでB1所属の秋田や北海道とはレギュラーシーズンでは対戦出来ない)、その他の3チームの仕上がり具合を見られるのは貴重な機会。
チケットの買い方は?
これもいつまで残っているかわからないけどチケットのページ。(東北地区の場合)
席種は20種類くらいあるけど、参考までにいくつかを拾うと、
ほぼ一番高い席……メイン側コートサイド9500円
そこからはぐっと安くなる……コートエンド1列目5500円
ファンが一番楽しい……アリーナ指定ベンチサイドB4000円
意外にお得な……アリーナ南コートエンド南3000円
一番安い……スタンド自由2000円
などがあります。
基本的にはWEB購入。2019年の場合は楽天チケット、チケットぴあ、Bリーグチケットで購入可能でした。もちろん当日会場でも購入可能ですが、場合によっては完売という可能性もないとは言えないので事前にご確認ください。
アーリーカップを見に行こう。
チケット代金に対して見られる試合数が多いお得なアーリーカップ。短期間でチャンピオンが決まるので盛り上がります。一発勝負の面白さ。近くで開催される場合には見に行ってみてはいかがですか?
先ほどBリーグはB1とB2合わせて36チームあるとお話しましたが、おそらくみなさんの地元にもチームがある可能性が高いと思います。地図でご確認ください。
東京と愛知に4チームもあったりして必ずしも1都道府県1チームという割り当てではありません。そしてB1とB2がない都道府県にも実はB3のチームがあったりします。
B3まで入れれば、ほとんどの都道府県でBリーグのバスケットボールを視ることが出来るのではないかと思います。楽しいですよ。気軽に行って気軽に視られるのが魅力。
仙台89ERSのレギュラーシーズンも見に来てね!
興味があったらNBAも。明成高校出身、八村塁がんばれ!
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