城彩苑を堪能し、次に熊本市役所へ向かいます。14階からの熊本城の眺めがいいんだって。
あれ?市役所って土曜日休みだよね。大丈夫?
大丈夫でした。14階は土日も開いているそうです。
市役所からの眺め。
市役所の14階はイベントホールというか研修室みたいなスペースとレストランがあって、回廊型の廊下になっています。西側の廊下からお城が見える。市役所は1981年落成の建物。ちょっとエアコンが弱めで暑いです。
熊本城。この本丸御殿を見たかったな。
念願の馬刺し。
市役所は数枚の写真を撮っただけであっさりと終わり。アーケード街をぶらつこうかと下通アーケードに向かう。
熊本といえば、馬刺し・熊本ラーメン・あか牛。昨日の夜から、ご当地グルメが食べられるところがないかなあと探していました。
馬刺し食べてみたいなあ。でも若干お高め。それにたいてい馬刺しが食べられる店って、お酒飲むところなんだよね。居酒屋に一人で入って、酒も頼まずに馬刺し一皿だけ頼んで、ウーロン茶とともに飲食し立ち去る、というのは想像しただけで異様だ。馬刺しは半分諦めていました。
おや。ここはランチで馬刺し定食だって。これはありがたいかも。
「吟松」というお店でした。
きれいに整えられた店内。すし割烹とのことだから、夜はお高めだろう。年齢を重ねて良かったことといえば、こういうお店の佇まいにあまりびびらなくなったことです。若い頃なら気後れして入れなかった。
馬刺し御膳、1800円。サラダとからしれんこんを焼いたのと、いかと大根の煮物、お吸い物と高菜ごはん。
馬刺しはね。肉っぽくなく、あっさり噛み切れて、目をつぶって食べたら何を食べてるかわからないくらいさっぱりした味。なるほど。これが馬刺しか。
そして、実は感動したのは高菜ごはん。ごま油が効いてて旨いー。高菜ごはんって今までなんとなく敬遠しがちだったんだけど、こんなに美味しいものだったのか。
考えてみれば30分前にいきなり団子と辛子れんこんチップスと、うにコロッケを食べてるのだが、高菜ごはんがおいしくて残さず食べました。大将がちらっとお愛想を言ってくれたりして、くつろげます。気分良く店を出る。
突然ですが、狂言のポスター。
アーケードを歩いていたら、ふと狂言のポスターが目に止まりました。
ああ、萬斎さん。熊本にも来てるんだなあ。親子三代でやるようになったのか。実はちょっとファンなんですよね。
わたしには全く関わりのないことですが。萬斎さんはね。おかしくないですか?というくらいの公演をこなしててね。サイトを見るたびにびっくりする。
たとえば、まず6日間で8公演の新作を東京でこなすわけですよ。
翌日、東京で別な舞台。
その3日後、愛知。
その翌日、神奈川。
その翌日、大阪。
その翌日、北海道。
その5日後とその翌日、福岡。
その翌日、高知。
――なんですか、これは。
移動するだけだって大変ですよ。しかもそこで演じて、場合によっては演出もし、新作の舞台だったら台詞も覚え稽古をし、たまには映画にも出、テレビにも出、イベントも出……。休む暇ないやんか。
こんなに動いて、長生きできないんじゃないかと思って心配です……。
またこのおうちは、親子間で芸に厳しくてねー。
もちろん普段の姿は知りませんよ。しかしテレビのドキュメンタリーで見る限り、万作さんは萬斎さんに超厳しく、萬斎さんも裕基くんにすごい厳しいんです……。芸の厳しさは厳しさとして、もう少し優しく教えてあげて欲しいという気持ちでイッパイです。
日本全国津々浦々、まるで狂言の伝道師。
――というような思いでポスターを見ました。その縁を感じて、ポスターが貼ってあった本屋に立ち寄ってみる。
この本屋さん、いいなあ。本の背後に個人の想いを感じる。仙台の本屋はもうほとんどが全国展開のチェーン店になってしまったから、大きくて便利だけれども味わいがね……
しかしここがなんという名前の本屋だったかは覚えていないんですねー。多分長崎書店な気がするんですが。でも左折の角にあった気がして……。ちょっとよくわからないです。メモしていれば良かった。
夏目漱石内坪井旧居へぶらぶら。
熊本神宮、稲荷神社に寄って、夏目漱石内坪井旧居跡へ。
考えてみれば、わたしはこの旅で漱石ゆかりの地は3ヶ所目。なのにどこも改修中だったり閉鎖中だったりして、内部は見られない。実はここも熊本地震以来内部見学不可で、入れるのは庭だけです。
でもここ、行って良かったです。
意外なことに、小さいながら洋館と和館がくっついた作り。当時としては相当ハイカラな家だったでしょうね。夏目漱石が洋館に住んでいたというイメージが全くなかったので驚いた。まあ、イギリス留学で洋風の生活スタイルにも馴染みはあったのだろう。……と思ったが、イギリス留学は熊本生活の後なんですね。
ここは熊本で漱石が住んだ6ヶ所のうち5番目の家だそうです。けっこうな引越し魔。それとも状況がそうさせたのか。明日は3番目の家である大江旧居へ行ってみる予定。
わたしが立っているこの庭は、漱石が縁側から眺めた庭。夫婦喧嘩をした時も、学生たちが遊びに来た時も、長女が生まれた時も、ふと立ち止まって眺めた風景。
そしてやっぱり、こういうのもあるんですね。
「わが輩通り」。探せば漱石饅頭や坊ちゃん煎餅なんかもあるかもしれない。あ、坊ちゃんは松山の独占か。
ところで、せっかくつけるんだったら「吾輩通り」の方が良かったんじゃないだろうか。
これから、加藤神社へ向かいます。
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