17.旅は道連れ、ドイツの人と。

和歌山/2026

バス停で奥の院へ行くバスを待つ。ベンチがあるので座って待ててありがたい。

――と、そこで声をかけられました。

ドイツからの観光客。

「バスは来ますか?」
――わたしはまあまあ周りの状況を感じながら動いている方だと思っていたのだが、この時は近づいて来る人の存在に全く気付いてなかったので、突然声をかけられて驚いた。海外観光客でした。欧米系。女性。ひとり旅。奥の院へ行きたいんだって。わたしも奥の院へ行くバスを待ってるんだよ、って言って、もうすぐ来ると思うよ、と伝える。

二言、三言話して。そして同じバスに乗る。……こういう時ってどんな距離感をとればいいのか困りますねー。だって目的地まで同じわけでしょう?バスの中では前後に座って。でもバスの支払いに困ってるようだからちょっと手伝って。そして同じバス停で降りる。その後は道連れになりました。

ドイツから来たんだって。ドイツは行ったことないんだよなー。でも旅先でちょっと話をすると「ドイツから来た」と答える人の割合が高い気がする。旅行が好きな民族か。

わたしは前日も来ているし、多少のガイドはしながら歩きたいとは思ったけれども、わたしの英語は日常会話レベルというにはちょっと足りないんですよねー。しかも高野山についての知識が豊富かというと全くそんなことはなく。企業墓地を指しながら「ここヤクルトだよ。ヤクルト知ってる?」とか訊くくらい。オランダでは国内企業だと勘違いされるほど愛されてる(少なくとも20年前は)ヤクルトも、ドイツではそこまでではないようで、反応は薄かったのでした。

シロアリ塚とか、戦没者の碑とか。触れたいものも多々あったんだけど、説明が英語で出て来ずに。シロアリってなんていうんです?

昨日と同じように無縁塚前を通る。何かを説明した、というか、しようとした記憶はあるけど、なんといったのか忘れた。

苔や大樹を愛でる感性のある人。

彼女は「ヨギー」だそうです。日本では狭義の意味では「ヨガをする人」と思われることが多いですよね。でも海外のある部分ではヨガはそもそも思想的なものを多分に含む言葉で、――っていってもどういう思想を含むのか不明だが、文脈的には宗教関連の話題だったので、何かあるんでしょう。

そんな彼女は、高野山の静けさと自然の佇まいにとても心惹かれたようで。
奥の院の雰囲気も静かに味わっていたし、積極的に仏に祈っていた。空海が今でも生きていて瞑想をしていることも素敵だと感じるらしい。インドに行ったこともあるとか。

護摩堂の前に並んだ仏像にも熱心に祈りを捧げていた。「(仏像に)お水をかけていいの?」と訊かれたので、内心では「これはかけるための水というより、参拝者の手を清めるための水では?」と一瞬心によぎったことはよぎったんだけど、でも敬う心を持っての心だったら、別に水で清めようが清めまいが仏さまが気にしないだろうと思ったので「OK!」と返しました。長いこと祈っていた。

だが、わたしの方は著名人の供養塔を確認しながら歩くことは出来ず、初期の目的は果たせませんでした。でもそれはそれでいいと思った。話しながら歩くことも楽しかったし。「これ伊達政宗という有名なSAMURAIの供養塔」とか言っても、伊達政宗を知らなければ「OH!」とはならないんですけどね。苔や大樹を愛でる感性のある人。

ゆっくり時間をかけてバス通りに戻って来ました。彼女はこれから、宮島や直島に行くそうだ。ちょうど下山方向へ行くバスが来たので、「このバスだよ!」といい、あわただしく別れる。一瞬のハグ。良い旅を。

安養院さんでおしゃべり。

とはいえ、つきあって歩いていたのでわりと時間がかかりました。もう17:00過ぎてる。天徳院さんに行くのも遅めになっているが、それより荷物を預けている安養院さんで気をもんでいるんじゃないかと気にかかる。

急いで安養院さんまで戻ると、受付には誰もいず。ベルを鳴らすと女性の方が置くから出て来てくださいました。遅くなったことをお詫び。その時にいろいろお話を伺いました。

入口の杉の飾りは杉盛り?というそうだ。稲積みのような感じで、門のところに1メートルくらいの高さに積んであるの。それは6月2日の高野山のお寺のイベントに合わせて作ったっていってたかな?当日は雨が降って大変だったとか。そのイベントの世話役を安養院の若い和尚さんが務めたそうで。息子さんだそう。それを務めると住職としてのランクが上がるらしい。その時のお花が残っているので、昨日今日のお寺ではお花がたくさんあったそうだ。

お庭の木にぶらさがっている白いのはモリアオガエルの卵。へー。単に白い木の花だと見えていた。モリアオガエルはケケケって鳴くそうだよ。そういえば、昨日の夜、廊下を通った時、ケケケって鳴いていた。

お世話になりました、と頭を下げて境内を出る。あと一泊、するんだけどね。宿坊を変えて。

今日の宿坊は天徳院さん。

高野山2泊を、宿坊2ヶ所に分けました。2ヶ所体験することで経験値が増えるかと思い。

 

加賀前田家ゆかりのお寺です。加賀の梅鉢紋。

こちらは約2万円でした。およそ1000円でアップグレードしたお部屋。うーん、普通の旅館かな?

この額縁の緑は美しい。

そしてこの宿坊の醍醐味は庭です。

一通り、部屋とお庭を見たあとに夕食前にちょっと外出してコンビニに行きました。昨日よりも少しコンビニ側へ寄っている。お茶と非常食を買います。ちなみに部屋に冷蔵庫などはありません。多分ほとんどの宿坊にはないかもなあ。そもそも目的が違う。

帰って来て、部屋に行かずにそのまま夕食のお部屋へ。

6月の段階でもまだヒーターがあるのが標高の高さを表している。
このテーブル席がとても助かった。昨日、お部屋と食事をずっと和式で過ごして腰を痛めたんです。ふだん椅子に座る生活しかしていないからねえ……。

 

こちらの精進料理は、前日のものと比べて、多分湯葉鍋が多かった。麺はうどんだったかな?そうめんだったかな?だがこんなに量がなくてもいいかなと思った。味は少し商売人寄りでした。

食事の場所には平山郁夫の絵がかかっていて。


杉戸絵が良かった。

お風呂は広かったですねー。こちらの宿坊も他に何人かは泊っていたみたいだけど、実際には顔は合わせず。

近くの金剛峯寺の鐘の音が聞こえる。なんと明日は最終日です。

 

 

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