人はなぜパンを焼くのでしょうか。
答え:そこに簡単なレシピがあったから。
簡単なレシピで簡単に作る。
まさかめんどくさがり屋のこの自分が、パンを焼く日が来るとは思わなかった。パンってすごく作るのが難しい、めんどくさいもんだと思っていたんですよねー。
正確に材料を量って。がっつりこねて。温度管理を厳密に行なって。しかるがのちに運が良ければ、ようやくパンというものが出来るものだと思っていました。このイメージには、昔々中学生の頃に失敗した、シュークリームが影響している。皮を焼いたはいいが膨らまなかったんです。
が、youtubeで、とある動画を見て、もしかしたらそこまで難しいものじゃないのかも?と思いました。わたしをその気にさせてくれた動画がこちら。
元気ママキッチンさんの「こねないパン」。
レシピ自体も参考になりますし、何より、このくらい大雑把にやってもパンが出来るんだ!と勇気づけてくれる。
しかしこの動画を見て、チャレンジしようかなという気分になった後も、他のレシピもしつこくチェックしました。なぜなら「一次発酵、二次発酵」がこの動画では掴めなかったから。
パン作りにおいて、一次発酵二次発酵とはよく聞く言葉です。切り離せないといってもいい。このレシピでどこが一次発酵でどこが二次発酵なんだろう……
しかし他の(簡単が売りの)動画を見ても、混乱するばかりで結局わからなかったのでした。まあヨイ。とりあえずやってみましょう。
やってみてわかることもある。
元気ママの動画では「ほったらかしておいて(2、3日中であれば)いつ作っても良いパン」として紹介されてますが、むしろ「いつでも」と言われると、どのタイミングがいいのかよくわからなかったので、もっとシンプルに「前日仕込んで翌日に焼く」と決めた方が気が楽だと思います。パンはお昼ごはんに食べる前提です。
結局、工程の流れとしては大きく3段階。
1.前日に粉を合わせ、水と合わせて一つに丸くまとめ、15分置いたのちに冷蔵庫で寝かす。
2.当日の午前中にパンだねを出す。丸くまとめ、温かくして発酵を促す。
3.オーブンで約30分焼く。その前に予熱時間があるので、だいたい1時間くらい必要。
このうち、1と3に関してはやることが決まっていて時間が読めるのですが、2がわりと面倒……というか、あまり読めない作業です。ここが難しいっちゃ難しい。
1は動画の通りに、あっさりと。
重さを量るのは強力粉だけですし、他も砂糖、塩、水、イーストだけですから、一気に混ぜて、ひとかたまりになるまでまとめて終わりです。
わたしは水を少なめにいれがちで、この後の過程でべたべたするとさらに粉を足してしまう。もう少し水を多めに入れた方がふわふわ度が増すのかもしれません。今度やってみよう。
量って5分、まとめるまでに10分、とにかく15分弱で作業が終わります。タッパーでやるのがポイント。タッパーの蓋を締めて振ると簡単に混ざるし。タッパーは四角くて角があるのでまとめるのはボウルより若干手間がかかるけど、ボウルでまとめてタッパーに移し、とやるとボウルを洗う手間でハードルが上がる。
考えようによってはボウルで冷蔵庫で寝かせておいても全然問題ないと思われます。密閉性が必要なのかな。ラップ程度でも良さそうな気がするけど。今度ボウルでやってみよう。
なお15分くらい休ませるとありますが、これがうっかり30分になっても問題なし。ちょっと放置してしかるのちに冷蔵庫に入れましょう。
この時冷蔵庫に入れるのか、野菜室に入れるのかはお好みで。冷蔵庫の方が温度が低く、野菜室の方が温度が若干高いそうです。わたしの経験ではどっちでもあまり変わらない。温度が高い方が発酵が進むらしいので、ひと晩だけ置いて焼くなら野菜室かなーと思っています。
入れてから1回くらいは様子を見ましょう。見ましょうというより、気になって見たくなります。この時点ではそんなに膨らまない感じですねー。内部でガスが発生している可能性がありますので、ペチペチと叩いてガスを抜きましょう。「膨らむ」のと「ガスが発生する」のは別物。せっかく膨らませてるのに叩いていいの?という心配は無用です。
2は、様子を見ながらゆるゆるとやりましょう。
翌日。
食べるのが12時だとしたら、とりあえず3時間くらい前にパンだねを出してみましょう。ここが時間が読めなくてめんどくさく感じるところです。膨らむ速度は気温と密接に関わるのでどうも一概に言えないみたい。
とはいえ、膨らみ具合というのは「ここまで絶対に膨らませないといけない」というほど厳密なものではなく、多少なりとも膨らんだら食べられるパンが出来ます。わたしが作ったなかで、今まで食べられないパンはなかった。そして「過発酵」という状態になったこともない。なので、膨らむも膨らまないもそれほど神経質になることはないようです。
膨らむも膨らまないもパンだねの個性。大丈夫です、自分で作ったパンは可愛いものですから。
3時間前に冷蔵室なり野菜室なりからパンだねを出して、最後のガス抜きをぺちぺちと行いましょう。そしてパンだねを、もう一度しっかり丸める。丸め方は元気ママの動画をご参考に。
なお丸め方はいろいろあって、やっているうちに自分のやりやすい方法が出てくると思います。2度目くらいから丸めるのが愉しくなるんですよね。丸めたくて丸めたくて仕方ないのですが、パンだねは一つしかない。解決するにはパン屋さんになるしかない。
丸めたパンだねをクッキングシートを敷いたオーブンの天板に置きます。わたしはクッキングシートを常備していないので、アルミホイルを敷いてその上にオリーブオイルを薄く塗っています。
そしてこの状態でパンだねを温める。色々な方法があるかと思いますが、わたしは洗い桶に熱湯を入れて、その上に天板を置いています。蒸気で温める。
この方法だと如実に気温に左右されますねー。夏はびっくりするくらい膨らんだけど、初めてパンを焼いた春、そして先日の晩秋ではあまり膨らみませんでした。多分冬になったらますます膨らまないと思う。この方法でも何とかなるのか、それとも別な方法を模索しなければならないのか、今後の課題です。
膨らませている間は、元気ママさんがやっているように、透明なガラスボウルを被せる。湿度保全のため。これはいいアイディアだと思います。ただ、大きなボウルじゃないと真夏にしっかり膨らんだ時にパンパンになってしまって、くっつきました。くっついてしまった時はきれいに膨らんだのを多少崩すことになりますが、粉を振って剥がす。
3は予熱時間を計算に入れて。
1時間ないし2時間温めて膨らんだらあとは焼くだけです。真夏は室温で出しておくだけでもいいと思う。ここで膨らむと真っ白なパンだねがふわふわして、すごく可愛いです。パンだねがこんなに可愛いなんて、実際に作ってみるまで想像もしなかった。
焼く時間が約30分ですが、その前に予熱が必要なので、11時過ぎにはオーブンのスイッチを入れましょう。
予熱時間の間にパンに切り込みを入れます。クープというそうですね。わたしはこれは単に飾りだと思っていたのですが、焼いてる間の水分を逃がしてパンの膨張を助けるという立派な理由があったそうです。おおう。大事ですね。
元気ママさんは、クープを入れたらそこにオリーブオイルを垂らすそうです。美味しそうになりますよね。
予熱が終わったら天板をオーブンに入れて下さい。上段下段があったら、迷うところですが、多分下段の方にセットした方がいいと思います。上段で30分焼くと表面が焦げるんですよね、うちのオーブンの場合。初めて焼いて焦げが気になった場合は、2度目は途中でアルミホイルをパンの上に差し入れて下さい。
完成。
出来上がるのはハードタイプのパンです。カンパーニュみたいな感じ。わたしが作ると、食べるとちょっと顎が疲れるほど重い、食べ応えのあるしっかりしたパンになりますが、カンパーニュ好きなわたしはこのパンに満足しています。
……おおう!今調べたところ、カンパーニュは焼き立てよりも冷めてからの方が美味しいんだって!パンって焼き立てが問答無用で美味しいもんだと思っていた!
2、3日中に食べればいいそうなので、今度は焼き立てではなく冷めてから食べてみよう。そうするとお昼ごはんに合わせて時間を計算する必要もなくなるので、さらに自由にパンが作れますよね。
基本のパンから発展し。
この時期に書いたのになんですが、初めてパンを作る時は夏の方が簡単みたい。膨らみが全然違います。とはいえ、気温、湿度の違いで焼くたびに違うパンが出来上がるそうなので、とりあえず気軽に焼いてみるというのが正解かも。
何度か焼いて工程が掴めたら、バリエーションを考えるのも楽しいですね。今度作る時は水のかわりに牛乳を使ってみようかなあ。そのうちレーズンやカシューナッツも入れてみよう。わたしはドライイーストを少なめに入れがちなので、もう少し多めに入れてもいいかなあ。
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