旅あれこれ

◎心に残る世界の風景。ステンドグラス編その1。

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ステンドグラスについて書きたいな、と思い実際に書き始めたところ、話が野放図に広がってどうしたらいいかわからなくなってしまいました(笑)。なので能書きなし!本題!

 

世界で一番美しいステンドグラス。

amairoはヨーロッパ好きで、しかもド観光地を巡るタイプです。ヨーロッパのド観光地といえば、大聖堂・教会ですよね。なので、ステンドグラスは山ほど見ました。山ほど見たがゆえに、――一つ一つはあまり覚えてないのであった!

コホン、そんな中で、なお印象強く覚えているもの。美しさでは間違いないもの。を4つ上げたいと思います。

美しさなんて個人的なものなんだから世界一を決めるなんて無理だろー、と思うでしょ?
そう、美しいものの一番を決めるのは難しい。決められるものではない。
しかし矛盾するようだが、こと教会のステンドグラスに関しては一番はこれしかない!

フランスはパリのサント・シャペル。

 

 

この全面ステンドグラスぶりを見てください!信じられないほどステンドグラスだらけ!前後左右が全部ステンドグラスで、そこから光が降り注ぐ。人気の観光地ですから人もだいぶいたけれども、その混雑を忘れるほどの美しさ。

天国というのはこんな風に七色の光で出来ている。そう感じさせる空間。

初めて見た時、この建物が建っていることが信じられなかった。柱がこんなに細くて壁はガラスですよ。強度的に良く作ったさねー。完成は1248年というから、770年前。日本では鎌倉時代です。

このサント・シャペルという建物は建築様式としてはゴシック。ゴシック様式になると構造上の革新があり、それまで重量を壁で支えていたものが、柱に添え柱を加えることで、相当な強度を柱で支えることが可能になったそうです。

多分当時の人には魔法に見えたんじゃないかな。ガラスの壊れやすさと柱の細さを見たら。てか、わたしが見ても魔法に見えるわ。
だがこの教会、外観は何の変哲もないごくごく普通のスタイルの教会で……中の豪華絢爛は外側からは想像出来ません。ああ。また見たいなあ。

あ、何の変哲もないと言いましたが、実はけっこうこの教会は変わっているのでした。何が変わっているのかというと、1階と2階に分かれているのねー。こういう構造の教会はあんまりありません。

上の教会は王様のため、下の教会は昔ここが宮殿だった時代にここで働いていた人々のためだったそうです。そのせいか下の教会は天井が低い。若干圧迫感があります。
でも下の教会もかなり豪華。

 

Ste Chapelle Basse s

 

力強いカラーリング。これは1階部分の天井です。上の教会だけではなく、下の教会も見ごたえあり。壁の部分の装飾もこってり見事。でも多分そのあたりには観光客がごっそりいて、写真を撮るのはこれが限度なんだと思います。

 

 

サント・シャペルはパリのど真ん中、シテ島にあります。サントシャペルの右下にあるのは、こないだ火災で屋根が焼け落ちてしまったノートルダム大聖堂です……

 

パリ、ノートルダム大聖堂のバラ窓。

そのノートルダム大聖堂のバラ窓も美しいものでした。

今調べたところ、バラ窓は南、北、西と3つあって、そのうちの2つは無事、1つは焼損したらしい。だめになったのは南側のバラ窓のようだ。

 

 

ノートルダム大聖堂を南から見たところ。真ん中に見える大きな丸い窓が南側のバラ窓。

わたしが一番好きだったのが南側のバラ窓だったんですよね……
枠の部分が一般的なバラ窓と比べて太く、素朴な感じがするところが好きだった。青や赤紫が主流のデザインが多いなか、差し色の黄色が利いてるところが独特で好きだった。

南側のバラ窓。

 

 

きれい。

大聖堂内はだいぶ暗いので、それだけにステンドグラスの輝きが目に沁みます。ノートル・ダーム=我々の貴婦人。聖母マリアに捧げられた大聖堂だからこそ、こんなに優しく、美しい装飾をするのか。

ちなみにノートルダムと名前のつけられた大聖堂・聖堂・寺院・教会はフランス語圏にたくさんあります。パリのこれだけがノートルダムというわけではないので注意。ただ、パリ以外のノートルダムはその場所の名前で呼ぶことが多いですね。ランスという町にあるノートルダム大聖堂はランス大聖堂。シャルトルという町にあるノートルダム大聖堂はシャルトル大聖堂。

いつの日か、また同じ姿に戻ったノートルダムの美しいステンドグラスを見たい。世界中から、ノートルダム大聖堂の復旧には多くの寄付が集まっているようです。

 

プラハの聖ヴィート大聖堂。ミュシャのステンドグラス。

3つめはチェコはプラハにある聖ヴィート大聖堂のステンドグラスです。これはミュシャがデザインしたもの。

パリで活躍した画家のアルフォンス・ミュシャ。アールヌーボー様式の、美しい女性を描いたポスターで一世を風靡した人ですが、この人パリを離れて故郷のチェコに帰ってからはポスターを描いていただけじゃないんです。他の仕事にもいろいろ手を出している。この点はわたしの想像によれば、パリであんまりポスターを描かされ過ぎて、もうすっかり嫌になっていたんじゃないかと思われる。

市庁舎の装飾を手掛けたり、30畳くらいの巨大絵画の連作を描いたり、いろいろやっています。「俺はポスターだけの商業画家じゃない!」というところでしょうか。チェコの首都プラハにある聖ヴィート大聖堂のステンドグラスのデザインもしてしまう。それがこちら。

 

 

ミュシャは色彩感覚がやはり優れている、と思いました。中心が黄色くて周辺が青。その間はグラデーション。暖色系を真ん中に持ってくることでおそらくは自然な立体感も出ている。温かみもある。太陽のイメージもある。中心の少年、聖ヴァーツラフに自然に視線が集まるようになっている。いや、一番目立つのはおばあさんであるリュドミラか?

 

 

このステンドグラスのテーマは「祖国チェコの信仰に大きな影響を与えた聖人たち」らしいです。中心になるのはチェコの守護聖人である聖ヴァーツラフとその祖母リュドミラ。

この聖ヴァーツラフは歴史上の人物としては王様(ボヘミア公)のヴァーツラフ1世ということらしいのですが、この人がそこまで英雄になった経緯が、Wikipediaで見てもわりと謎。28歳で弟の反逆により殺されてしまった王様だそうだが……

ただボヘミア地方の信仰をローマンカトリックに固めた人らしいので、カトリックの立場でいえば重要な聖人です。こういう人は列聖されやすいですよね。日本で言えば仏教を定着させた聖徳太子みたいなものでしょうか。

そしてここではミュシャのステンドグラスも良かったのですが、そっちじゃない方のステンドグラスにもとてもいいものがありました。

 

 

この透過光、素晴らしくありませんか!

宝石箱みたい。やはりステンドグラスは透過光があってこそ、その真価を発揮する。
ステンドグラスを見に行くのなら天気や時間が大事です。もっと贅沢なことを言うなら、時間や天気をいろいろ変えて見に行けたら最高ですが。

心に残ったステンドグラスについてもうちょっと書きたいのですが、少し長くなりました。その2に続きます。

 

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