1泊ですからトートバッグ1つで行きますよ。
こないだの伊勢・名古屋でわかった。1泊だけなら最低限の荷物だけで何とかなると。トートバッグだけなら行動がかなり自由になるしね。まあ今回はバスツアーだから、荷物が2つになっても良かったんだけど、キャリーを持って行くほどではないなと思って。
バスに乗って高速道路を。
6:40、家を出ます。バスで8:00に仙台駅発。
催行最少人数は25人だったかな?そのくらいで何とか……と期待していたのですが、多分もう少しいたと思います。まあバスはぎゅうぎゅうでもなかったから、いい方だったんでしょうね。
3人のグループで参加した人が2組くらいいて、そのうちの1人が1人席になっていた以外は相席(?)でした。わたしの隣も一人参加の人。
最初にぼそっと「おはようございます」と挨拶した以外は、話しかけないで!オーラを出していました。いや、わたしが。基本的に知らない人と話すのが嫌なんです……。しかも仙台から弘前までのバスなんて4時間ありますから。その間を喋り続けるなんて地獄でしかない。ツアーに参加したくない最大の要因ではありますね。
座席は旅行会社の方で決めていてくれて、1日目はわたしが窓側の席でした。外の景色を見やすい席。まあ今日窓側ということは、明日は通路側なんですけどね。
初っ端からクライマックスでした。
仙台駅を出発し、宮城インターから高速に乗る。窓の外の風景を見ながら、バスに乗せられて行きました。車より視線が高い。遠くまで景色が見える。
北の方向へ向かって走って行くと、だんたん桜が見え始めました。仙台あたりではその1週間くらい前に花は終わっていたでしょうか。咲いているとしたらもっと北だろうと思っていたのですが、県北でもう桜。
わたしは桜はそれほど思い入れがなく……まあ好きは好きなんですけど、桜はみんなが好きなので、別にわたしが大好きにならなくてもいいや、という気分がある。わたしは梅と藤を推しています。
でも窓の外を眺めていると。
あちらこちらに桜が咲いてる。高速道路の脇に、田んぼの向こうの民家の庭に、里を見下ろす低山の若い緑の中に。それぞれの場所にそれぞれの桜が。バスが進むにつれて何本もの桜が見える。途切れなく。終わりなく。
白い山桜。見慣れたソメイヨシノ。紅色のしだれ桜。数々の桜が目に映っては消えていき、その一本一本が残像を残す。ようこそ。ようこそ。訪れる人を出迎えてくれるように、その美しさの盛りを分けてくれる。
だんだん、だんだん桜が心に溢れていき、一時間も見続けていると感動で胸がいっぱいになっていました。感動は累積するんですねえ。桜。桜。ありがとう。咲いていてくれてありがとう。
それとともに、現実的な対象にも感謝の気持ちを感じました。高速道路沿いの植生をデザインしてくれた道路公団。種類の違う桜を植えていてくれるから、それぞれが新鮮な出会いに感じる。
おうちの庭に桜の大きな木を植えて(残して)くれている農家さん。桜はけっこう大変なはずです。虫はつくというし、落葉も多いはずだし。きれいな花の姿をわたしたちにも分け与えてくれて。
山に生えている山桜は、鳥が種を運んだのだろうか。運んだ種がちっちゃな芽を出し、何年もかけて若木になり、今は高速道路から見えるほど堂々した大木になっている。ああ、これってなんとアリ型……もとい、有難いことでしょう。有難いからありがたい。感謝。
美しい花と、感謝を深く味わう。
この旅で最大の幸せは、この高速道路から見る桜でした。
……しかしあまりにも何でもない風景なので、写真はありません。
山も良かった!
弘前へ着くまでの高速道路で2回、15分ずつの休憩がありました。1回目は前沢SA、2回目は岩手山SAで。岩手山SA付近の高速道路から岩手山が見えます。
手前にあるのは墓地ですが……まあいつかはみんなが行く場所なので、別にいいよね。だってバスが走行中だから、なかなかいい写真が撮れなかったんだもの。一番山がきれいに撮れた写真がこれ。
その後、岩手山SAにて二度目の休憩。添乗員さんがこっそり(バスのみんなに)教えてくれたところによると、SAの建物の陰から、岩手山がきれいに見える場所があるんだって。
建物に邪魔されない牧歌的な景色。でもちょっと雲がかかって、稜線の美しさは見えてませんね。
岩手山は、――わたしに人生で初めて山の美しさを教えてくれた存在として思い出深い。わたしは海派か山派かでいったら海派で、それは今でもあまり変わらない(だが年々比率はイーブンに向かっていってる)。でも盛岡から岩手山を見て、初めて山を「きれいだなあ」と感じ入ったんですよね。それは函館へ行く初めての一人旅の途中下車。豊かな水量を誇る北上川の向こうに見えた山の姿。
そして唐突に出現する看板。サービスエリアのお店にあったもので、これが何かというと、……よーく見てください。一番下の方に書いてある「牛たんアメリカンドッグ 脅威の17分かかります」の文言が面白かったから。ワードセンスがすてき。これ、頼んだ後に「17分!?」とかいう反応が多くて、相当クレームもきたんだろうなあ……。それこそバスツアーの休憩時間なんて15分なんですから、17分じゃ間に合わないよ。
岩木山もすてき。
岩手山SAを発ってまたずーっと高速道路。桜を見ながら。幸せ幸せ。
そのうち高速道路を降りました。どこで降りたかは忘れたけど。そして見え始める、今度は弘前のマザー・マウンテン、岩木山。
前に一度、弘前に来たことはあるんだけどねえ。なぜか岩木山の印象はほぼない。りんご畑の向こうに岩木山が見えるところで写真を撮ったうっすらとした記憶があるくらい。岩木山もすてきです。なんかババロアっぽく見えない?
川も山も。広くていいねえ。川も好きだ。旅先で見る川はみんなきれい。
バスはまもなく、弘前城公園です。