湯布院から阿蘇へ。
大分ー熊本間の移動が今回のスケジューリングで一番難しかったです。あ、一番じゃない。愛媛-大分間の移動の方が難しかった。なんといってもこちらは陸続きですからね。方法の幅はある程度あります。ここの移動方法の是非については後日(相当後日……)別途、検討会?を開きたいと思うので詳述はそちらに譲ります。
熊本市を目指すというのは動かないけれども、大分側はフレキシブルに考えていました。別府からでも。大分からでも。臼杵からでも。どこから発着でもいい。その移動手段によって大分側で行く都市を合わせる。
移動方法として、とりあえず最初にチェックするのはJRです。しかしすぐ壁に突き当たる。阿蘇駅ー熊本駅間のJRが、熊本地震で不通になっているらしい。うーむ……。次にチェックするのは高速バス。
しかし高速バスを調べてみてびっくりした!大分ー熊本間、4時間半?別府ー熊本はなんと……5時間半!?ナニゴト!?いくら九州横断とはいえ隣県ですよ。関空-松山空港間が(飛行機で)35分なのに、隣の県に行くのに5時間半………………。
甘くはない。九州。と思いました。
多少アクロバティックな、バス→レンタカーのコンビネーション。
結論からいえば、少々アクロバティックなコースを取ります。
湯布院→九州横断バスで熊本空港→レンタカーを借りて、阿蘇内牧温泉泊→翌日阿蘇周辺観光→高千穂泊→高千穂観光→熊本駅へ行ってレンタカーを返し、熊本泊。
初めて地図を埋め込んでみた!けっこう簡単でびっくりした!えーと、湯布院は画面に入りきれなくて相当右上の枠外にはみ出てます。湯布院から九重連山の山道を通って阿蘇駅に出て来て、西に向かって熊本空港まで行きました
このコースの肝は、湯布院からわざわざ熊本空港まで行ってから阿蘇まで戻ってくる部分です。九州横断バスは途中で阿蘇駅も通るので、本当はそこで降りられたら一番良かった。湯布院ー阿蘇駅だと時間も2時間半で済みます。そして阿蘇で泊まって翌日レンタカーを借りて阿蘇観光をすればいいかと。
が、同時に高千穂観光のプランニングにも手を焼いてます。熊本市から高千穂って遠いなー。一応長距離バスはあるけれど、片道3時間ちょっとかかるわ。高千穂では高千穂峡だけじゃなく、天の安河原にも行きたいんだよね。路線バスは1日に4本しかないっぽい。ここをタクシー、レンタカーとなると、バス代含めて1万円だわ。たった1ヶ所の観光地に行くために1万円って。納得できない。
考えていると、阿蘇と高千穂があまり離れてないのに気付きます。じゃあここは、レンタカーで2日かけて阿蘇と高千穂を回ればいいのではないか。阿蘇で1日レンタカーを借りて阿蘇を回ろうと思っていたが、2日借りて阿蘇を縦断して直接高千穂へ行き、さらに熊本まで行けばいいのではないか。スーツケースを気にしなくて済むし。それはけっこういい考えに思えた。
ただ何が問題かと言うと、阿蘇駅でレンタカーを借りて、熊本駅で乗り捨てが出来るかどうかだったんですよね。だいぶ調べたのですが、出来るという感じがしない。もし出来るとしても一般的に乗り捨ては高いもののようです。もしレンタカー代がトータルで2万円かかるとしたらやはり高すぎる。
ここは阿蘇駅前ではなく、そこを乗り越して熊本空港まで来てしまえばいいのではないか。熊本空港ー熊本駅の相互乗り捨ては無料。空港発ならだいぶ安い料金プランがある。2日で1万円弱なら、阿蘇・高千穂観光の交通費としてはかなり安い。
デメリットとしては、湯布院からのバスに阿蘇駅までなら2時間半でいいところを3時間半乗らなきゃいけないところ、そこから車で1時間戻ってこなきゃならないところだけど。それくらいはささいなことだろう。
最初は、熊本空港に17:30に着いて、空港近くのホテルに泊まろうと思っていたんです。翌日から1泊2日でレンタカーを借りようと。しかし熊本空港17:30着だったらまだ時間も早いし、その日のうちに阿蘇のそばまで戻っておいた方が効率的ではないか。1泊2日でも48時間でもレンタカー代は同じ。手元に車があれば何時から動き出すとしても自由は効くし。
ここで阿蘇駅付近ではなく阿蘇内牧温泉に泊まることになったのは、単に安くて良さそうな宿を求めた結果でした。まあ車だったらある程度どこでも同じだしね。ナビがあれば普通に行けるだろうし。
というわけで、上記のようなコースです。
だが山道のバスは進まないのであった。
九州横断バスは九重連山のど真ん中を通って行くので、そういう意味のお得感が多少あった。観光込みのつもりで。
最初は車窓の景色も楽しんでいました。いい景色です。
が、30分も乗っていると、なんだか焦燥感が募ってくる。なんだろう、この感覚。
考えてみれば、長距離バスというのは一般的には高速道路を一直線に進むことが多いですよね。高速道路じゃないにしても、交通量のあまりない走りやすい道を選んでコース設定をするはずです。つまりわたしにとって長距離バスは、すいすい快調に走る物。
が、ここではうねうねとした山道を地道に走るわけですから、カーブの減速・そこからの加速がやたらと多い。Gがかかる。距離が稼げない。けっこうこれが負担になってきます。
車酔いなんかはしなかったんですけどねー。ずいぶん長いと感じた。これも心構えによるのかもしれないが。幸い、瀬の本というところと阿蘇駅前で15分程度の休憩が入ります。これを除けば走っているのは3時間。でも平地での3時間と山道の3時間はだいぶ違う。
あとで「九重連山は九州の屋根と言われており」という一文を読みました。屋根越えではなー。疲れるわけだ。
Gに耐え続けていたせいなのか、なんだか激しくお腹が空きました。瀬の本にあるドライブインでハリケーンポテトを買います。注文後揚げてくれるため2分ほどかかる。揚げたて熱々。
そして阿蘇内牧温泉へ……着かない。
長い~~、という体感にもかかわらず、バスは時間通りに17:30、熊本空港に着きました。
この時点ですごく疲れている。空港のベンチで少し休みます。またお腹が空いたので売店でチョコレートを買いました。ちょっと栄養補給が必要……
今日、阿蘇内牧温泉泊にしたのは失敗だったなあ。空港近くのホテルにしとけば良かった。歩く距離が少ないからそんなに疲れないだろうと踏んでたんだが、座っているだけでも十分疲れた。内牧温泉まで、ここからレンタカーで1時間かー。でも日のあるうちに着きたいよなー。早く出発しなきゃ。
電話して空港まで迎えに来てもらい、レンタカー屋さんへ。バジェットレンタカー。空港のすぐそば。車を借りて18時出発。空港から出る時、説明してもらっていたはずなのに道を間違えて一度空港内をぐるっとまわりました……
あとから思えば、これがその後の運命を予告していたのだろうか。
わたしには土地鑑は全くありません。そもそも熊本には初めて来たんだしね。るるぶに載っていたこの近辺の地図はコピーして持ってきていて、だいたいの位置関係はつかんでいる。立野ー赤水付近は工事中だからミルクロードを通ればいいんだ。基本的にはカーナビの言う通りでいいんだろう。
ナビをセットし走る。快調快調。看板もちゃんと「阿蘇」って書いてあるし、何の心配もない。
が。
突然道路が終わりました。
は?
工事車両専用道路の手前で慌てて止まる。いや、この工事中って……まさかあの工事中のところじゃないよね?だってカーナビがこっち来いって言ったんだよ!看板もみんな「阿蘇」って書いてあるんだよ!地震から3年以上経ってるじゃないですか。看板は訂正されてるだろうと思ってたし、カーナビはGPSを使うんだからリアルタイムの情報を取ってるんだろうと思ってた。
が。まさかの。まさかの。情報が古いまま。
工事中の道路のすぐそばの、阿蘇立野病院の駐車場に緊急避難します。今ここにいるってことは、この工事中は……あの工事中のところだ。ということは、ここから内牧温泉に行くのに、カーナビには全く頼れない!カーナビがここを通れと言ってるんだもん!自分がいるところから目的地までの設定は出来ても「ここじゃないから別な道を通れ」という設定なんて出来ない!
もうどこへ行ったらいいかわからなくてパニック。と、とにかくミルクロードを探さなきゃ。ぐずぐずしてると暗くなっちゃうよ。
スマホのGoogleマップを起動させる。そしたらすぐ先に、迂回路があると示された。左折の道。左折ってミルクロードとは反対側だけど、ほんとだな~?
左折してしばらく走ると――自分が敗北したのがわかる。看板に「南阿蘇・高千穂」と書いてある。うわー!たしかにこの道、どう考えても南西に向かってるもの。このまま行くと南阿蘇に着いちゃって、夜中に阿蘇山を越えるはめになっちゃうよう。
だが山道の怖いところは、一度入ると、戻りたくてもUターン出来る場所がないというところです……(涙)。戻りたいよー、戻りたいよー、と思いながらしばらく走る。そうすると信号があり、そこに。――阿蘇・ミルクロードへという看板が出ている!
あああ~、良かった~~~。これでミルクロードまで30分もかけて戻るってことはないわ。安堵。
だいぶほっとして、でも一応念を入れて、訊ける人がいるうちに人に訊こうと思った。幸い、コンビニがあります。今調べるとローソン阿蘇長陽店でした。ペットボトルを買って「内牧温泉に行きたいんですが……」と訊いてみる。店員さんは大きく頷いて詳しく親切に教えてくれました。レシートの裏に地図も描いてくれて。だがそこからは遠すぎて、描いてもらった地図ではよくわからない。わかったのは、内牧温泉まではまだまだ遠いということ。お礼を言って出ます。
わたしはこのローソン、もう少し内牧温泉に近い場所にあるとイメージしてたんですよね。だいたいでいえば市ノ川駅辺り。阿蘇山を時計の中心に見立てれば10時方向。なので内牧温泉の方向は左前方だと思っていた。しかしローソンはまだ9時付近なのでした。内牧温泉はむしろ右前方。
このイメージの違いがその後の道路の選択に微妙な影響を与えます。
しばらく行くと、内牧温泉の看板が出て来ます。これだ!と思ってそちらに入ったが、さっきのローソンの人が教えてくれた道とは違う気がするなあ。「ここで左に入らずに」と言われた気もするけど。でも方向としては間違っていないわけだから、看板通りこっちからも行けるんだろう。
そしたらまあ、この道(多分県道149号線だと思う)が恐ろしくてですね……。全部じゃないけど、かなり細い道なの!集落の中を通ったりもするし、――普通集落の中の道というとそれなりに安心して通れる幅の道が多いですが、ここは細すぎて、車が通っていいのか不安な状態。あとは、絶対すれ違えないようなほそーい道もあったし、まだ日が沈んでないのに夜のような暗い山道もあったり……
ここ!?内牧温泉に行く人はほんとにみんなここを通ってるの!?と内心で叫びながら不安いっぱいで走り続けます。
――ようやく内牧温泉に着いた時はへとへとでした。
ホテルに癒される。
しかしねー。ホテルに着く前に、また一試練?与えられます。
ホテルは見えてるんだけどね。カーナビがそっちに向かって案内してくれないんですよね。なんでこっち?という道を案内して、その道がまた細いの!絶対すれ違えないよ!わたしこんな不慣れなレンタカーで不慣れな道で、バックで戻ることなんて出来ないですけど!
幸い対向車は来ませんでした。が、ホテル前の駐車場はいっぱい。こ、こんな狭い道でどうしたらいいんだ。とりあえずホテルの前を通り過ぎ、少し行った町営体育館らしきところの駐車場に行きます。ホテルに電話すると、ホテルから道路を挟んだところにもっと広い駐車場があるとのこと。誘導のためにホテルの方が出て来て下さいました。親切。細長い駐車場ですが、前進で停められたので問題なし。19:25、ホテル到着。はー、やれやれ。
今晩の宿は阿蘇内牧温泉の五岳ホテルです。ご家族経営かな?と思いました。
ここは外観は正直古いのですが、中はリフォームをしたばかりのようでピカピカです。リラックス出来ます。
広くて明るくて、動揺し続けた心には何よりもありがたい。わたしは明るい部屋が好きです。この部屋ならもう1泊したいくらい。大浴場もありますしユニットバスもついてます。今回の旅では、ここが最後の温泉。
でもとにかくお腹が空いてたー。ホテルでは内牧温泉と阿蘇山の手作りマップを用意してくれており、周辺の飲食店情報を貰います。コンビニはちょっと遠いらしいし、近場でなんか探そう。美味しいものが食べたい。
何軒か飲食店はありましたが、一番入りやすそうな「鉄板焼 桂」へ。
焼肉は食べずに塩焼きそばを頼みました。麺がもちもち。でもちょっと提供までに時間がかかった。オナカすいてたのでツラかった。
隣のサラリーマンの熊本弁(?)をよそながら興味深く拝聴しました。
大変だったここまでの道のりですが、結局走ったのは熊本空港から40キロ。通常のコースを来ても30キロちょっとだから、そこまで遠回りしたわけではなさそうです。あんなにオタオタして大変だったのに。
ちなみにここにもう一度熊本空港から来るとしたら、赤水駅までは(ミルクロードを通るか今日通った道を通るか)別として、その後は57号線をずっと進み、乙姫の信号で176号線・175号線に入るというアプローチを取りたいと思います。直線距離的には今日通った道の方が短いだろうけど、多分57号線の方が楽。気を使わないで走れる道を通るというのは大事ですね。
以上、大分ー熊本間、移動の際の苦労話でした。これを書いてて追体験したら……疲れたー。
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