アイギナ島(現在はエギナ島と呼ばれている)はピレウス港から40分~1時間で着く
アテネからはすぐそばの島。アテネからの観光旅行の定番「一日エーゲ海クルーズ」で
訪れる最初の島だが、もちろんわたしは自力で行くのです。
行くのにミケーネほど苦労はしなかった。
ただやっぱり船に乗るまでに迷った。地下鉄でピレウスまで行って、島へ渡る船のチケットを
買うんだけれど、店が多すぎてよくわからん。
本当は快速船ではなくて普通のフェリーで良かったのだが、わからなかったせいで、
少し値段が高い快速船のチケットを買ってしまった。ここらへんはギリシャ語が
読めれば改善される部分だろうけど。
フェリー乗り場の位置もよくわからないさー。
埠頭に番号は付いている。だが埠頭も広く、埠頭に何か所も船着場があるので
どこで待っていればいいかわからない。ここなんか、7埠頭のABCD、って番号を振っておけば
簡単に解決される部分だと思うんだけどなあ。なんでそうしないんだろう。
しょうがないので、船のチケットを売っている窓口の人に自分が買ったチケットを見てもらい、
「この船はどの船着場に来るの?」と訊いた。
彼は愛想よく、すぐ前を指さして「ここだよ」と言ってくれたが、
……実際はその3つ隣の船着場に着いた船がわたしの乗る船でした。
教訓:情報はしつこいくらい確認をしましょう。特に人に聞いた情報はなおさら。
わたしはけっこう2,3人に確認します。
快速船は小さい。
A boat to Egina Island.
内部はこんな感じ。船の中ではぐっすり寝てました。
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船に乗って45分でアイギナ島へ到着。
Egina town.
船を下りてから、目的地であるアフェア神殿行きのバスは(ギリシャには珍しく)すぐ見つかった。
乗ってから数分で発車したので、わたしはラッキーだったらしい。
この時点ではバスの時刻表はわかっていないんだけど、後でバスは1,2時間に1本しか
運行しないことを知る……
アイギナ島は例えていえば、広島県の宮島に雰囲気が似ているかもしれない。
観光地ではある。船を下りた辺りは観光客向けの店やらなんやらが並んでいて、
何というのか、ある種作り物めいた町の雰囲気。
(そういう場所の佇まいは見る人の視線を意識した作りになるので、
どこか舞台の書き割りのようなものになるのだと思う。倉敷しかり、馬籠宿しかり……)
だが、普通の生活をしている人もまた多い。
アフェア神殿は、島をずっと奥に入った内陸部にあるので、
バスの窓から観光客向けではない集落を見ることが出来た。
オリーブ畑などもあったと思う。漁業と農業の島だろうか。
アフェア神殿まではバスで40分くらい。
けっこう山道を登る。バスでは座れなかったのでカーブがちょっとツラかった。
Temple o Aphaia.
アフェア神殿。光のニンフ(精霊とか妖精ごときもの)を祀っているそうだ。
しかしギリシャ式神殿って、見た感じみんな同じですね。
いや、一応柱の造形とか内部構造とか、詳しく見ればそれなりに差異はあるのだそうだが……
しかしみな大理石+柱なので、おおまかな印象はみな同じ。
同じような写真になってしまうけど、でも好きなんだい!
この神殿も良かった。
パルテノンほど巨大ではなく、こじんまりとしたかわいらしさがあるし。バランスが良い。
何より位置がいい。島の高い場所に位置しているので見晴らしが素晴らしい。
昔、神殿では祭儀が行われただろう。
その頃もやっぱり人々はここからこんな風に青い海を見下ろしたんだろうな。
白い集落はなかっただろうけど。
ちょっと方向を変えて。微妙に人が入ってしまったのが失敗だ。
柱の上の部分がシンプルなので、おそらくギリシャ神殿のタイプとしては初期の
ドーリア式だと思う。パルテノン神殿もドーリア式。
9日の朝に行ったゼウス神殿は、柱頭が派手なのでこちらはおそらくコリント式。
ゼウス神殿柱頭(再掲)。
comparison:a design of column,temple of Zeus.(Again)
このコリント式の柱の飾りはアカンサスという植物の葉をモチーフにしているらしい。
……余談だが、たしか20年くらい前にNHKでこんな番組があった。
カメラが著名人の家を訪問し、部屋や特徴的な小物を映した上で、
さて、これは誰の家でしょう?と問いかける5分くらいの番組。
もう亡くなった作家とか現役の俳優とか、超有名、有名、それほどでもない、という人物を
わりあい手広く取り上げて、面白かった記憶がある。
その番組のある回で映された庭先に、アカンサスの葉が生えていた。
ナレーションが、この植物がアカンサスであると告げた上で、これはこの家の持ち主の職業を
表しているという。アカンサス。どこかで聞いたことがある名前だけれど……
結局、その家の持ち主は建築家。
アカンサスはギリシャ建築のモチーフとして多く使われた植物で(ギリシャの国花でもある)
そこから建築家のシンボルとなっているらしい。
その庭を持つ建築家本人の名前は忘れてしまったけれど、その話がわたしには妙に印象的だった。
ギリシャ時代から。いや、もっと古い時代からずっと。
人間は建物を建てて来たんだよ。営みはずっと続いているんだよ。
まあ、わざわざ庭にアカンサスを植える建築家というのも子供っぽいというか、
微笑ましいような、微苦笑が浮かぶような気もするけれど。
(絵描きが玄関先にベレー帽とパレットを飾っているような感じ。いかにもすぎる。)
でも実際は、そのアカンサスを見ても建築家の看板とは気付かないだろうな。
それがアカンサスであるとわかるかどうかあやしい。
しかし花を見たところ、見たことがない花でもなかったようなので、花が咲いてればわかるかな。
花はこんな感じ。ちょっと自分も植えてみたいような気になる。
でもかなり広い庭じゃないと映えないよなあ。