阿武隈急行は福島駅の建物の北側に着く。というのは槻木と福島市の位置関係を考えればなんとなくわかっているが、だからといって、実際の駅の構内のどういう位置関係の場所にホームがあるかまでは調べていかない。なので、大きい駅では自分が今どの部分に居るのか見失うことが多い。
福島駅では見失いました。けっこう大きい駅ですからね。
観光案内所へGO!
阿武隈急行を降りて、観光案内所に行きたかったんですよ。福島市中心部を徒歩で2時間くらい観光したいと思っていましたからね。行きたいところはいくつかあるけど、どこも「絶対」ってほどではないし、おそらくウォーキングコースを作ってたりするはず。
そしたら観光案内所がちょっと遠い。西口にあるんですよね。
街の繁華街は東側じゃないの?それなのに観光案内所が西口にあるの?でも後で調べてみたら、本来は東口にも観光案内所があって、コロナ禍で休業しているらしい。西口は新幹線口に近く、その方向での利便性を考えているそうだ。……まあわたしは在来線で来たので不便ですが、カンベンしてやろう。
予想通り、観光案内所では街歩きのルートをいくつか設定してありました。「ふくしまレトロ街歩き」パート1~3のそれぞれ2時間コース。そうそう、こういうのを求めていた。
内容はとてもユルくて、それぞれのコースはレトロ建築1、推し飲食店1、推し土産店・雑貨店1で構成されるくらいなんだけど、2時間で食事もするならちょうどいいコース設定かもしれない。ご参考までにそれぞれのコースを。
PART1:純和風建築「御倉邸」→老舗菓子処「駒田屋本舗」→セレクトショップ「いげた」土産物店
PART2:レトロモダン喫茶店「自家焙煎珈琲グルメ」→ステパノ教会→雑貨店「ent(エント)」→「オジマパン」
PART3:福島稲荷神社→北裡最上位稲荷→「食堂ヒトト」→雑貨とリネンの店「Lin(リン)」
あまりお店には興味がなかったので、この中からステパノ教会、福島稲荷神社、北裡最上位稲荷をピックアップしました。その他に古関裕而関連の記念碑とかマンホールとかも何となく見て行こうと思う。
なお、福島駅近辺の後は飯坂温泉に移動して観光しようと思っていたので飯坂温泉の地図もゲット。あ、そうそう忘れちゃいけない大事なこと。
「福島のグルメといえば何になるんですか?」
「福島といえば餃子なんですよ!」
観光案内所の人は、得たりとばかりに元気よく。だが……うーん、餃子はそんなに好きじゃない。外で自分がお金を出して注文したことは多分一度もない。
「……他にありませんか?」
「他にはお蕎麦ですね!」
お蕎麦も自分でお金を出して食べたことは長い人生で1回か2回しかない。もう一度、他にありませんか?と聞いたら案内所の人はがっかりしたようだった。気の毒になったので、餃子の方向で検討する。餃子の店を何軒か並べたチラシの中から駅に近い「照井」と「山女」をご推薦いただく。メニューや入りやすさも丁寧に説明してくれる。夜ご飯はこのどちらかで食べることになるだろう。
さっきから観光案内所を探して東口と西口を渡り歩いている過程で、駅構内に気になるお店を見つけていました。それが「HONEY BEE」というアイスクリーム屋さん。
こんなの、食べたくなるでしょ!
ダブルで510円。福島名物、モモとあんぽ柿の2種類を選びました。はちみつ入りのホイップクリームがサービスでついてくる。美味しい~。ルイボスティもサービス。朝食をほやおにぎりだけで我慢した甲斐があった。
そしてその近くで売っていたお団子も買ってしまう。桜あんが珍しかったのと、名前が「花見山」とついていたので。花見山の桜はきれいですよねー。今年はもうとっくに散っているけれども。多分お昼ごはんが遅めになるので、これは非常食として持って歩く。
では万全の情報を得た上で、街歩きに出発。
文化通りはなかなか深い味わい。
観光案内所を探す過程で駅前の広場はちょこちょこ見ていた。数年前に放映した朝ドラ「エール」、その主人公のモデルになった古関裕而はまさに福島市中心部出身。それ以来、福島市は彼で行くことに決めたらしく、古関裕而のモニュメントが愉し気にお出迎え。
知らない街を歩き始める時の心躍りは旅の醍醐味。歩きなれた道のように、知らない道を歩き出す。まず目指すはステパノ教会。
福島市中心部の道は碁盤目状でほとんど直線で片がつく様子。しばらく行くと道幅が狭まり、昔からある通りへ入った。この辺を文化通りというらしい。この日歩き回った福島駅周辺の場所で、ここが一番印象深い。
人通りは少ない。昔は街の中心だったんだろう。商店街と、飲み屋通りと、飲食店街が合わさったような通り。仙台のいろは横丁ほど狭くはなくごちゃごちゃしておらず、少しのモダンさと少しの侘しさと平和な雰囲気が共存している。
なんかいいね、ここ。人が暮らしている雰囲気が濃厚に漂う。
そんななかに聖ステパノ教会がある。
「エール」でロケが行われた教会。建ってから100年以上経っている教会で、本当に小さな小さな建物。日曜の礼拝時以外は中へは入れません。ここ残念ですよね。
福島稲荷神社。
そこからすぐの福島稲荷神社へ。
ここが福島市の鎮守の宮ですか、仙台でいえば大崎八幡神社のような?
新しい鳥居。さっぱりとした境内。この日は風が強かったが天気は良くて、緑が光に輝く。
藤もきれい。
しかし神社由緒として安倍晴明が奉じてきたというのは疑問を感じる。安倍晴明が畿内を離れたイメージがないのだが……。陰陽師ですからねえ。天皇や上級貴族に重んじられたという創作物でよく使われる設定が史実かどうかは知らないが、地方に行くような立場とは思えないのだが。
意外に関東にも安倍晴明伝説はあるんですね。そこまで人気者だったか。
稲荷と安倍晴明との関わりはあるにしても。浄瑠璃では晴明の母はキツネです。
北裡最上位稲荷。
稲荷続きだが、すぐそばに北裡最上位稲荷という別な稲荷も存在。若返りと縁結びの神様だそうです。さすがに福島稲荷神社ほど大きくはないと思っていたけど、想像よりさらに小さかった。写真で見るより小さいよ。鳥居は頭を下げて潜る。
でもこのお稲荷さんがね。小さいなりに作りが凝ってて。
何より掃除が行き届いてて。蜘蛛の巣なんて一つもなかったよ!地域の人に愛されている神社なんだなあと思った。この辺りは昔、歓楽街だったそうですよ。華やかな昔に思いを馳せる。
すぐ隣には「元祖円盤餃子 満腹」という餃子屋さん。ここも人気店らしいです。
「ZUPPA」で早々とお昼ごはん。
だが餃子は夜ご飯にとっておく。実はさっき聖ステパノ教会に行った時に、気になるお店を見つけていたの。教会のすぐそば。
佇まいがヨーロッパの町角みたいでね。ZUPPAだからイタリア語かな。ヨーロッパスープキッチンだって。惹かれる。その時は開店前でメニューも出ていなかったけど、どんなものを出すんだろう。
北裡最上位稲荷まで行くと11:30を過ぎたので、そこまで戻ってみました。大した距離じゃないし、どうも気になるお店だったので。店の前に出て来たメニューを見たら、3種類のランチが800円~900円。さっきアイスクリームのダブルを食べたばかりだからパスタランチは多いだろうけど、パンランチなら行ける!
朝ごはんをほやおにぎりだけで済ませておいてほんとーに(以下略)。
店内は広くはなく、特にテーブル間隔は狭めです。少し暗いが落ち着ける暗さ。家族経営である印象。11:30開店で11:45に入って何とか。多分常連さんが多く、すぐいっぱいになりそう。
3種類のスープの中からたしかバジルとにんにくのスープを頼んだ。これに大きめのバゲット3切れ(明太子バター付き)がついて800円。ドリンク(たしか)100円。サラダとスープがたっぷりでヘルシーな感じだし、このスープが美味しい!バジル、にんにくの味はそんなにしなくて、スタンダードな具だくさんのコンソメスープという感じだったけれども、家庭的な美味しい味。
こういう味のスープを作れるのなら、永遠にこのスープを食べてればいいよなーと思えた味でした。
――だが、いまさらだがクラムチャウダーを食べれば良かったとちょっと後悔。少し変わったものを食べたくてこれを選んだが、コンソメスープがこんなに美味しいなら、クラムチャウダーなんてきっとものすごく美味しい!
そして夜のメニューも見せてもらえば良かったなー。どうせ来ることはないだろうと思って遠慮したんだけど、今現在、夜のメニューでどんなのが出るか気になってしょうがない。食べログに夜のメニュー載ってないんだもの!
30分ほどぶらぶら。
12:15に「ZUPPA」を出て、さっき行かなかった新町教会へ。この辺りに古関裕而の家があったらしい。呉服屋さんだったからね。さっきの歓楽街とは付かず離れずのいいところに店を構えていたのでしょう。
それから、これも観光案内所でもらった「古関裕而のまちマップ」に従って少し歩く。マンホールを探して歩いたけど見つからず。ところどころにあるメロディーボックス(ボタンを押すと古関裕而の作った歌が流れる)のボタンを押してはそのボリュームにたじろぐ。
私の生活圏ではここ数年まったく姿を消した、昔ながらの本屋の路面店に入ってみたりした。こういう本屋だった、わたしの根っこにあるのは。ひっそりとした店内。それでもこういう本屋に来るのは本が好きな人。もう私の周りからはこういう個人経営の本屋さんは消えている。
……しかしよく考えてみると、こんなにぶらぶらしている場合ではないのでは?今から飯坂温泉に行って観光して、そこから戻って来て15時に県立美術館に行かなきゃならないんだよ?もう13時近いではないか!移動時間もあるし……駅へ行かなきゃ!
飯坂温泉へ急げ!
たった今まであんなにのんびりと街歩きを楽しんでいたのに、とたんに忙しくなった。福島駅から、今度は福島交通飯坂線(←一瞬バスかと思う名前だけど電車)に乗って飯坂温泉へ向かいます!急げ急げ!
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