さて、ホテルを出たはいいのだが……。
聖マルコ広場から鉄道駅まで、ヴァポレットでけっこうかかるんですよ。
コース的にはなるべく早いのを選んだつもりだったけど、駅に着いたのは11:10頃。
11:27の電車に乗りたかったので、けっこう焦ります。

Station of Santa Lucia in Venice.
サンタ・ルチア駅。
チケット売り場では、前に並んだ旅行者が、あーだこーだと窓口の人を独占し、
長々と話しているのでハラハラすることこの上なし。
でもまあ、電車の切符は無事ゲット。
プラットフォームまで走って行き(スーツケースと共に……←学習機能がない)、
この電車じゃないっつって別なプラットフォームへ走り。
ギリギリのタイミングで席に落ちついた。
ヨーロッパの電車はけっこう車高が高いので、スーツケースを引っ張り上げるのが大変だが、
こういう時助けてくれる人は多い。この時は入口付近にいたアジア系の人が手伝ってくれた。



To Ravenna.
電車は定時にヴェネツィアを発車した。一昔前であれば、イタリアと言えば“アバウトの権化”
というイメージがあったけれど、EUに加盟してやっぱりなんぼか変わったのかな。
初めてイタリアに来た時はまだ通貨はリラで物価もだいぶ安かったのに、今や日本とほぼ同じ。
ヴェネツィアなんかはむしろ日本より高いかもしれない。
値段も上がり、アバウトさも消え。
そういう変化は一応いいことなんだろうけど、面白味という意味では薄れますなあ。
だからといってアバウトさを心置きなく発揮され、電車が2時間とか遅れても困るわけだが。
ヴェネツィアを発って、ボローニャで乗り換え、目的地は古都ラヴェンナ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
そして事件はわたしの元に、足音を忍ばせつつ近付いてきていたのだった……。
それは女性車掌の姿をとって表れた。
ボローニャで乗り換えた後、ラヴェンナまで1時間、わたしはうとうとしていた。
ふと気付くと車掌さんがいて、切符を見せるように言っている。
はいはい、切符ですね。はいはい、これですよ。
しかしそれを受け取った車掌は、厳しい顔をしてこちらをじっと見つめる。
そして何事かを言う。
はい?
聞き取れなかった。寝ぼけ眼で訊き返す。
はい?金を払え?……どうして?……日付の印字?なにそれ?
――彼女が説明してくれるところによると。
イタリアの鉄道は改札口がない代わりにプラットフォームに印字機械が置いてあり、
そこで切符に日付を印字してから乗らなければならないそうだ。
……へー。で?ってことはつまり、何?罰金を払えってこと?
そう、罰金を払えということなんだそうです。44ユーロ≒5280円。
ほ~~~~~~。罰金ねえ。ふーん、罰金ですか。釈然としないような、
馬鹿馬鹿しいような、ちょっと笑えるような、少し悲しいような、複雑な気持ち。
まあ払ってきました。いろんな細かい要因が重ならなければ免れたかなーとは思うものの、
(EX.居眠りをしていなければ、真面目そうな女性車掌じゃなかったら、
こっちのテンションがアクティブだったら、前の電車の車掌さんが教えてくれていれば……etc.)
実際ガイドブック見ても「日付の印字を忘れると罰金なので注意!」とちゃんと書いてある。
ただ、日付印字が必要じゃない国もヨーロッパにはそこそこあったような。
今ひとつ覚えていないのだが。イギリスも車内の車掌改札のみじゃなかったっけ?
もちろん鉄道事情はお国柄で違うんだから、悪いのはワタシです。
ガイドブックは事前にちゃんと読めという教訓代。

Validation machine.Don't forget to valid on ticket!
こういうのが階段のところとかホームにちらほらあって、客は自分で打刻する。
でも指定券は打刻しなくていいらしく、最初の電車で特に何も言われなかったのはそのせいらしい。
例えて言えば、福島から石巻に新幹線+仙石線で移動する際、
福島から仙台間は指定券があったから打刻してなくても何も言われなかったが、
仙台から石巻の間で罰金を払わなければならなくなった、という状況。
もちろん電車代より罰金の方が高いです……
今回の旅行ではこれが最大の事件です。多分。
でも危機感でいえば、ヴェネツィア到着直後の方が動揺したかな。
……あとこっそり小さな声で告白すれば、ヴェネツィアでヴァポレット、少々無賃乗車している……
そのバチが当たったのかもしれない。
14:30、ラヴェンナ到着。