紀伊田辺から太地までは約2時間半。
曇りの日で暗くなるのが早く、海沿いを走る電車から見る海は不吉な灰色。
しかし大岩の多い風景はいちいち絵になり、これで天気のいい日の昼間だったら
とても美しいところだったろう。
紀伊田辺からは大勢の、鈍行名物である「地元高校生」が乗っていた。
彼らは三々五々降りて行き、しかし視界にいる最後の高校生が降りていったのは
紀伊田辺からおよそ1時間半も経ってからでした。
大変だねえ。通学に1時間半もかかるんだねえ。
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太地駅にはホテルからお迎えの車が来ており、ホテルまで連れて行ってくれる。
今夜泊まる宿はホテルドルフィンリゾートというところ。19:15着。


ホテルなのだが、うっすらと民宿の香り。だが部屋は広いし、きれいだし、居心地のいいホテルでした。
部屋についているユニットバスとトイレはビジネスホテル並みの狭さ(ここが不満といえば不満)だけど、
その他に大浴場もある。宿泊客が少なかったので大浴場はほぼ貸切状態。
……この貸切状態を出来るだけ長く満喫したかったのだが、普段カラスの行水のわたしには
限度がだいぶ手前にあり、すぐ上がる。
ちなみにデスクの上に載っている白く光る物体は、

水槽なのです。
ちっちゃい青い魚が泳いでいて、……わたしそれほど熱帯魚に興味があるわけじゃないんだけど、
これが思いのほかわたしに癒し効果を発揮していたらしく、なかなか水槽のそばを離れられませんでした。
イケナイこととは知りつつ、ついつい、そ~~~っと水槽に指を近づけて、
ある程度まで近づくと、魚がパッと逃げるのを愉しむということを何度も繰り返してしまいました。
いじめっこ。でもその機敏な反応が楽しくてさー。ごめんねえ、魚さんたち。

ちなみにカメもいます。

時計もさすがのドルフィン。
あ、そうそう、このホテルで若干マイナスなところ。
ホテルの部屋の場所にもよるのかもしれないけど、ドコモが圏外です。
ええっ!ホテルで圏外ってどういうこと!?と驚倒し、フロントの人に訊いてみたところ
「ああ……ドコモは……」という返事。
記憶にある限り初めてですよ。ドコモ圏外のホテル。
わたしは携帯の必要性がだいぶ低い方なので、そこまで気にはならなかったが、
携帯が繋がるかどうかが死活問題(?)の人もいるでしょう。
建物を出てすぐのところからは繋がりますが、いちいち外に出るのは面倒。
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太地といえばクジラです。
クジラ料理を食べよう!と思っていた。
ホテルから徒歩1分のところに「しっぽ」というお店。
食堂と居酒屋の中間くらいの店構えで、クジラ料理を出すらしい。
太地町のこの辺りは中心からは外れるらしく、ほかの店は見当たらない。ここでクジラ料理。
わたしが行った時は地元のご家族連れが宴会中。

散々悩んで……。でもクジラの刺身?焼肉?なら、地元のスーパーでも時々売ってるんだよね。
なので、ご当地ものらしい、ちょっと変わったものを……と求めていったところ、
決して豊富とは言えないメニューの中に、「ほねはぎ(骨についている肉をこそげとったもの)」
「うでもの(内臓)」とあったので、それを単品で頼み、ご飯をつけてもらいました。
これで1500円。
だが――注文する前に訊いてわかってはいたんだけど、どちらもポン酢味だった。
なので物自体は違えど、味としては同じ味。
加えて、……わたしはポン酢の味が好きではなく、普段からほとんど食べないので、
今回食べても美味しいとは思えなかった。
素直に大和煮とかの方が良かったのか。でも大和煮はありふれている気がしたからなあ。
ほねはきは柔らかかった。うでものも、内臓系と聞いていたほどおどろおどろしいものではなかった。
あ、写真の左側がほねはぎで、右側がうでものです。
20:00にホテル帰着。さあ、明日に備えて早く寝ましょう。