と、前回アオったわりには、わたしは待合せ場所でやはり静かにPを待っているのだった。
だってどうしようもないし。Pからの返信がないことは心配だったけど、
最終的にはタクシーの運転手さんにPの住所を見せるなりして十分対応できる。
公衆電話……もおそらくイギリスでもあまり見かけなくなっているだろうけど、どこかにはあるはずだから
そこからPに電話をすればいいことだ。
Pから「今向かってるから!」とメールが来たのが、待ち合わせ場所に着いて5分か10分後。
あとで聞いたが、こちらからのメールが到着したのが、発信してから15分ほど経ってからだそうだ。
Pの家から最寄駅までは車で15分くらい……。もう駅に着くじゃない!!と慌てて車に乗ったそうだ。
慌てたのでメールに返信をするのを忘れておった。とメールが来た。
10年ぶりにお邪魔するというのに、初っ端から嵐を巻き起こすワタシ。
――しばらくのち、改札の向こうになつかしいPの姿が。
「ああ、P!」と、こちらは思ったけど、わたしは念のために改札の中にいたので、Pの視界には入らない。
人探し顔に改札の隣の本屋の辺りをうろうろしている。慌てて改札から出て行った。
「ああ、Mo!良かった!会えて!」
「P!ひさしぶり!10年ぶりだよ!」
……ワタシは生粋の日本人だが、やはり異国では異国なりのボディアクションがあるもので、会えた途端にガシッとハグ。
これが日本で日本人相手になるとなかなか照れてそういう方向には行かないのだが(ほぼお辞儀から始まる)、
ここはイギリスである。
出会いのテンションの高さのまま、車に向かって歩き出し、しゃべり続ける。
テンションが高いと英語も若干出やすいです。なぜならノリで行けるから。
わたしの英語は、文法的にシンプルかつ大変ブロークンなものなのだが、だいたいこういうシチュエーションで
話すことって限られてますしね。
車のそばにはジョンがいた。Pの旦那さん。以下Jと略。
「わー、J、ひさしぶり~」
Jとは普通にお辞儀。Jがわざと日本風にしゃちほこばってお辞儀をするので、こっちもあえて日本語で「ヨロシクオネガイシマス」。
……はっ。そして後部座席になんだか人の存在が!
「ヘンリーが乗ってるのよ」
ヘンリーはPのお孫さん。長男の息子。もうすぐ4歳。以下Hと略。
ドアを開けると、なんかちっこいのがいる~~~~。チャイルドシートに座って、誰かなあ、この人?ってオボツカナイ顔をしている。
「わたしはMoよ~。ないすとぅーみーとゆ~」
テンション上がりっぱなし。Hのハニカミ笑顔が可愛い♪
――今から思い出しても、この時は相当にテンションが高いですね。
ゆえにここからしばらくは写真がありません。
以下、おうちに着いてけっこう経ってから撮った写真。

Pの家の前の通り。ここ大好き。緑がいっぱいでゆったりしていて平和。気持ちいい。
家の前には、そんなに大きくないけど桜の木があって、花の頃にはきれいだというよ。


泊めてもらった部屋。B&Bをやったらいいよ!と10年前に初めて来た時には本気で言ったものだが、
居心地が良くて素敵。

はるか昔にわたしが送ったウサギの花瓶が飾ってあり、

はるか昔にわたしがイタリアから出した絵はがきと、Pが日本へ来た時に撮ったうちの写真も飾ってある。
(絵はがきの文面を見てみると、何か所もスペルミスがあって苦笑。)
「うちの写真飾ってあったね」とPに言うと、「家にいるようにくつろいでもらおうと思って」と。
もうすでに家にいる以上にくつろいでる。
イギリス的ホスピタリティの精神。ありがたいです。