アクリル絵具という存在を4ヶ月前くらいに知って、3ヶ月前くらいから描き始めました。
限りなく画力0の状態から始めたので、2ヶ月くらいの間は長足の進歩で嬉しかったのですが、このところ若干停滞気味です。
練習じゃなくて本番の作品をキャンバスボードに描きたいのに、「描けそう」というところまで到達しているモチーフがないんですよねー。
わたしが初めてキャンバスボードに描いたのがモネの睡蓮のマネでした。
意外にも、まあまあ気に入ったものが描けました。
その後2作目として「花瓶に活けたマーガレット」を描いて、これもまあまあ気に入った。背景の色の塗り方をだいぶ失敗したのと、小さく描こうとしていた花瓶が思ったより大きくなりすぎたのが反省点でしたが、花瓶の上から花を何輪か足したら少しリカバリー出来ました。これは上からベッタリ描き直すことが出来るアクリル絵具ならではの利点。
この利点があるがゆえに、わたしはアクリル絵具に惚れたんです。
水彩絵具だと一度失敗したら直すのがなかなか難しいじゃないですか。わたしは十中八九失敗するので、1枚の成功作の裏には9枚の失敗作がある。練習で失敗するのはまあ仕方ないんですが、「あっ、失敗した!」と思ったとたんにやる気が失せるので絵を描き続けるモチベーションが続かない。
その点アクリル画なら、失敗しても上から描いて失敗をなかったことに出来ます。花瓶に重ねて新しい花を足すのしかり。野原に黄色とピンクの花を咲かせた上に真っ赤な花を咲かせたら色合い的に大失敗し、しまった!と思った時もしかり。真っ赤な花の上から緑色の絵具を塗って、赤い花の存在を完全に消すことが出来ました。
おお!これこそアクリル絵具の良さ!素晴らしい!
……しかしこれが出来るようになるまで、多少の紆余曲折がありました。
アクリル絵具にもいろいろある、らしい。
アクリル画を描くにあたってわたしが買ったのはこのセット。
正確にいうと、描くために買ったのではなくて63色もあるそのグラデーションに惹かれた。色を楽しみたかった。でもせっかく買ったのだから描いてみましょう。――という経緯。
なので絵具の質にはこだわりませんでした。なにしろ安いしね。安いからこそ買ったんだもの。絵具の良さなんかまったくわからない素人だから、特にいいものじゃなくてもかまわなかった。そもそも絵具の良さなんて描いてみたってわからないし。
だが、そうは言ってられない事態になりました。
わたしがアクリルに惹かれたのは前述したようにそのカバー力。つまり不透明性。下の色が濃くてもその上から白などの淡色をベッタリと乗せることが出来ること。動画でも真っ黒のキャンバスの上にベッタリと真っ白なすみれを描いていく、などをしたのがあって、そういう描き方に憧れていた。水彩画では絶対に出来ない描き方。
が、絵具が届いて描き始めてみて。……黒の上に白が乗らない。透けてしまう。
もちろん透明になるという意味ではありません。白は残るんだけど、なんというか、もやっと残る程度で。これはこれである効果を出すことが出来るだろうが、わたしの求めるパッキリした白ではない。アクリル絵具なのになんで?見ている動画ではどれもパッキリした色で描けているのに。答えがわからず、悩むこと1ヶ月。
画材店挑戦。
こういうの、画材屋さんで相談すれば解決するかなあ?
……実はその前に宮城県美術館の創作室で相談してみようと思って行ってみたんですよね。行ったはいいが、……相談する勇気が出なかった。
一応創作室には実作が出来そうな担当者の方が2、3人常駐していらっしゃるんですが、そちらはそちらで何かお仕事をしているし(当たり前)、そこに声をかけて中断させるのも勇気がいる。創作室には一般の制作者もいて、しーんとしているなかでバカみたいな質問をするのも気が引ける。この2つの山が越えられず、相談できませんでした。
ともあれ、行った画材店は青葉画荘。
産業見本市(=サンフェスタ)の近く。地下鉄卸町駅からも徒歩で行けますね。
仙台の画材店といえば多分ここ。昔はたしか五橋あたりにあって、その頃に一度行った記憶があります。現在は卸町に移転しているんですね。
まあまあ広い店内。細かい画材を売っているのはほぼ1階。2階はちょっと売っているものもあるけど、教室とかが主みたい。
いろいろ店内をめぐって逡巡した後、思い切って店員さんにアクリル絵具の不透明性を高める方法を訊きました。わたしの感触としては、実はその店員さんは実作をしている方のようには感じなかった。しかし画材屋さんで働いている人が全て実作経験者というのも不可能であろう。
その方の話によると、やはり絵具の値段には相応な理由があり、安い絵具は絵具に含まれている顔料の量が少ないそう。なるほど。金額的にもそうだろうなと思うし、それで不透明性が低いのも納得。
おすすめされたのはアクリルガッシュです。
アクリル絵具には、アクリル絵具とアクリルガッシュという似て非なる絵具があるそうなんですねー。わたしはもちろんよく知らんけど、別なものだということは知っていて、……そして実はガッシュにはあまりいい印象は持ってなかった。経年劣化が激しいようなことを、動画でどこかの誰かが言ってたんですよね。せっかく描いた絵が10年くらいでぼろぼろになったらショックじゃないですか。
アクリルガッシュの使用感。
しかし他に解決法も見当らなかったので、結局アクリルガッシュの白を買って帰りました。この白を混ぜれば不透明性が高くなるし、なんだったら黒地に白を塗って、その上に別な色を塗ってもいいわけだし。
ガッシュは安定と信頼のメーカー(らしい)リキテックスにしました。そもそも画材店だから低品質のメーカーは置いてないでしょうしね。そして気が向いて、リキテックスのガッシュじゃない、普通の白も買ってみました。わたしが使っている低価格の白と比べてみようと思ったので。
帰宅後、今使っている絵具と買って来たリキテックスの白、そしてガッシュの白を黒地に塗り比べてみました。
たしかに違いはありますねー。ガッシュはたしかに、わたしの求めていたベッタリした白。そうそう、こういうことをしたかったのよ。経年劣化が心配ではあるけれど、現在この方法しか解決法が見当たらないんだったら使うしかないよなー。
そして普通の白の塗り比べもやはり違いがありました。たしかに顔料はリキテックスの方が多いわ。不透明性が比較的高い。
でもパッキリしてない白が欲しい時もあるし、そもそも黒地だけに使っているわけでもないし、これはこれで特に不満はない。いずれにしろ白はよく使うのでなくなりそうだしね。セットには白が3本入っていたけど、1本目がそろそろなくなりそうになってます。
解決法を一つ、見つけました。
不透明性を高める方法の一つはアクリルガッシュの白を使うこと。
ひとまず解決方法を見つけました。しかしできればガッシュを使わない方法もあればいいと思うので、今後別な方法も模索してみたいと思います。たしかキャンバスなどに塗る下地材であるジェッソを混ぜると不透明性が上がるとか言ってる人もいたのよね。今度これを試してみたいと思います。
まあとにかくアクリルガッシュの白のおかげで白いマーガレットの絵も描けたし、睡蓮も描けたし、海に浮かぶヨットも描けたし、もみのきに積もる雪も描けたし、……そう考えるとほとんどの絵で不透明性の高い白は必須かもしれない。少なくともわたしの場合は。けっこうな確率でガッシュの白と別な色を混ぜて不透明にして塗ってますからね。
白を持ってればまあだいたいの場合はカバーできると思ったのですが、赤のガッシュも欲しいかなあと最近思い始めました。他の色は白と混ぜてパステル調になってもまあ何とかなりそうなのですが、赤は無理だね。赤と白を混ぜるとピンクになっちゃうからね。
黒地に赤のポピーはだいぶ前に描いたことがあって、まあなんちゃってだけれども、それなりに描けた気がしています。でもやっぱりパッキリした発色にはならないの。ちょっともやっとしてしまって、それはそれでいい部分もあったけど、ぱっきりした発色で描いてみたい気持ちもある。次に画材屋さんに行く時は買ってみましょう。
そして話は違うが、最近これもちょっと欲しいのよね……。
すでに63色セットを持っているんだから、ここから30色増やして何がしたいんだ、という話ですが、……グラデーション好きの血が騒ぐのよー。実はパステルのピンクは2色既に買ってしまって、かなり使用頻度が高い色なので、パステル系の方が使うのかなあと思ったり。パステル系統だけで描いた絵はあまり好きじゃないんだけど、半々くらいで描くのはありかも。
岡鹿之助の花の絵のように描けるようにならないかな。
今の絵具でさえも死ぬまで使い切らないだろうし、でも物欲はふつふつと湧いてくるし。たださすがに93色並ぶと絵具を出したりしまったりするのも大変でしょうねえ。
買っちゃおうかなあ。来年の誕生日まで我慢しようかなあ。
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