いろいろ徒然

◎アクリル絵具を買って2ヶ月経って、モネの「睡蓮」をマネして思うこと。

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モネの「睡蓮」のマネ。……すみません、言いたいだけです。

叔父が絵を描く人だったので、昔、祖母の家には印象派以降の画集シリーズがありました。他に何があったのかは忘れてしまったけど、「マネ/モネ」の巻だけは印象が強烈で。当時幼稚園か小学校1、2年だったわたしは「マネって真似のことだろうか」と思ってたし(←画家の個人名だということは知らない)、少し経って画家の名前だってことがうっすら理解出来た時でも「マネとモネって兄弟……?」とずっと思ってた。

長じて、フランスではマネもモネも普通の苗字でフランス人は特に気にすることはないんだろうと思っていたところ、マネが「俺の名前のマネをしている奴がいる!紛らわしい!」と怒ってたという逸話を読んで「本人にとっても紛らわしかったんだ……!」と衝撃を受けました。

それはさておき。

 

絵を描き始めてから2ヶ月経ちました。

ドラえもんさえ描けなかったわたしが、アクリル絵具を買って描き始めてから2ヶ月経ちました。

継続は力なり。……この言葉をこの歳にして初めて実感しています。下手は下手なりに、描き続ければ少しずつでも成長はするもんですねえ。最近、人並みな絵が描けるようになってきた気がしています。うれしい!

現在描いているのは、B6の大きさの紙がメインです。大きい紙だと完成するまで時間がかかって大変ですからね。小さい画面でちょこちょこ描いて、それで満足していた。

が、いつかは紙ではなくキャンバスに描いてみようと思っていました。実は絵具と同時に小さいキャンバスも購入済みです。15センチ×15センチ、8枚セット。

その他にキャンバスボードというものがあることを知って、それも買ってみました。大きさが2種類あって、それぞれ3枚ずつ。届くまで知らなかったんだけど、絵具セットにもキャンパスボードがついていたのでキャンバスボードは合計9枚あります。

このキャンバスとキャンバスボードを使い切るまで絵を続けるのが目標です。

 

ちなみにキャンバスボードというのは、キャンバスのように木枠はなく、厚手の板?にキャンバス地が貼られていて絵が描けるもの。キャンバスに比べて薄いので、後々の保管が楽そう。


キャンバスボードB2C3 6枚/セット キャンバス 油絵キャンバス203x203mm 、203x254mm ボールドキャンバス アクリル 水彩 油絵 画材

この6枚セットを買いました。

 

 


【20枚/セット】キャンバスボード キャンバス 張りキャンバス キャンバス画材 画布 キャンバス絵画 矩形 厚手 パネル キャンバス 絵画ボード 油絵キャンバス 携帯便利 水彩・油彩・アクリル兼用 工芸用品 室内インテリア

いつかこの20枚セットを買えればいいなあ。

 

少しまとまった枚数だと1枚100円ちょっとで買えるようですね。とはいえこのくらいが最低価格帯で、1枚何百円かするものも多いみたい。高いものと安いものの違いは、目下安いものしか使ったことがないので不明です。

 

記念すべき初キャンバスボード。

今まで描いていたのはチラシの裏、画用紙、色画用紙でした。キャンバス地に描くなんて初めてー。緊張するー。

画題はモネの「睡蓮」にすることにしました。小さい画面で1度描いた。その時にすごくシンプルに描けて、結果もまあまあ良かったので、大きい画面で描いても破綻する可能性は少ないと思った。

今回のキャンパスボードは約24センチ×18センチでした。このサイズに絵具を塗るのは初。間の抜けた構図にならないように気を付けよう。

参考にしたのはモネの「睡蓮」(おそらくシカゴ美術館所蔵のもの)。……しかし正確にいうと、本当に参考にしたのは、それをトリミングしたキャンドウのポーチ(100円)でした。こないだ世界の名画シリーズの商品が出た時、うかうかたっぷり買ってしまったもののうちの一つ。サイズは15×12くらいですね。他には靴下もいっぱい買ってしまった……。

模写をしようとは思ってません。そこまで近づけようとはしていない。近づける技量もない。いいんです、それっぽく見えれば。色もちょっと変えています。オリジナルはおそらく曇り空で、その灰色を映した緑色の池の水面を描いているのだと思いますが、わたしはそうはならなかった。小さい画面に最初に描いた時は一応色も真似ようと思っていたのですが、しかし水=青という固定観念に引きずられて水面がだいぶ青くなった。

この青がとてもきれいに出ていたので、これはこれでいいと思い、全体的に青みの強い、コバルトブルーの画面になりました。

 

モネの「睡蓮」をおすすめしたい理由。

描いてみて思ったのですが、モネの「睡蓮」は初心者におすすめのモチーフ!超おすすめ!

何がいいって、形を気にする必要がないことですね。少しずつ絵具を置いていけば形になるんですよね。木の影をぼやぼやっと塗って、葉っぱをぱらぱらっと塗って、睡蓮の花をちょちょっと描けばそれらしく見える。あ、わたしは一応睡蓮の花は練習しました。わたしの描き方だと花はある程度の大きさが欲しかったから。でも一番大きな睡蓮の花でも直径1センチちょっとくらい、そのサイズだったらある程度それらしく描けば睡蓮に見えます。

葉っぱをバランス良く置く、その葉っぱに対していいバランスで花を描く。気をつけるのはこれだけかもしれない。そんなに「失敗した!」とはならないと思いますよ。ちょっとずつちょっとずつ描いていけば。間違っても手直しもしやすい。

モネが「睡蓮」をたくさん描いた理由はこれかも、と思いました。自分の庭で写生が出来ること、光と色の関係性を出しやすいことなど、「睡蓮」を描いた理由は数多くあるでしょうが、晩年視力を失いかけていたモネは物の形を厳密に捉えるような絵は描けなくなっていたでしょう。「睡蓮」を描いた理由はそれが簡単だったから。わたしにとっての簡単とモネにとっての簡単は多分5段階くらい違う階層にあるでしょうが。

そして初心者でも理解しやすいレイヤーの重ね方。わたしはまだまだ塗り絵的な考え方しか出来ないのですが、睡蓮の場合は塗り重ねが簡単に出来る。

全面に水面の色を塗る。
水面に映る木の影や空の映り(わたしは白を薄く濃淡で塗りました)を塗る。
近くの葉っぱ、遠くの葉っぱを大きさに気をつけて描く。
葉っぱにある程度の明暗をつける。
花を描く。
花の水面への映り込みを描く。
バランスを見ながら、葉っぱにハイライトと影を塗っていく。完成。

層の積み重なりが非常にわかりやすい。これが風景画や静物画だと(風景画ですが)、どの順番で塗ればいいのか難しいですからね。この順番を覚えていくのも絵の描き方の大切なパートだと思います。精進。

そういう基礎的な部分を知るために「睡蓮」はいい教材な気がする。

 

実際に描くと、こんなことに気づく。

しかし初キャンバス(ボード)のこの絵、描き上げて飾ったところどうもピンとこない。今まで描いていた小さい絵は、完成して飾ったのを眺めているとうれしくてテンションがあがっていたのに。キャンバスに描いたから?大きさが違うから?描き上げた時はすごく気に入ったのになあ。

次の日一日くらい、じっくり眺めてその理由に気づきました。
鑑賞距離の差です。

描いている時、目と絵の間は50センチ弱。
完成して腕を目いっぱい伸ばして見た時には70センチくらい。
そしてピアノの上に置いて眺めると、その距離は1.5メートルくらい。

70センチと1.5メートルでは見え方が違うんですね。70センチではちょうどよく見えるものも、1.5メートルの距離では立体感がなく、平板に見えてしまう。手前にある大きな葉っぱのエリアはまあいいとして、問題は奥の葉っぱのかたまり。ここが全然のっぺりとしていて、絵が死んでいるのでした。

長年、絵は鑑賞専門だったわたしは適正鑑賞距離があることは知っていた。……が、それがまさかわたしの描いたヘボ絵にさえ関わって来るとは思わなかったわー。大きな絵ならまだしも。いや、むしろ小さい絵だからちょっと離れただけでのっぺりしちゃうのか?

これは少し迷いどころですねー。どの段階で完成とすればよいのか。描いてる時の距離感で仕上げちゃうと、飾った時に遠近感が足りないということですもんね。でもまあ、画家がイーゼルで風景画を描いている時に、時々後ろに下がって全体を確かめているというシーンは映画やテレビ番組で見るので、やはり飾った時を基準に考えるのが正解なんだろうな。飾っている時間の方が長いわけだし。

というわけで、次の日、もう少しわたしの「睡蓮」に手を入れることにしました。奥の葉っぱのかたまりに茶色と明るい緑を足して陰影を増やした(つもり)。ちょっと上手くいかなかったんだけど、失敗というほどでもなかったから、少し臆病になってここらへんで留めておいた。もっとちゃんとイメージしてから描けば良かったかもしれない。

それに加えて、手前の大きな葉っぱにも少し明るい緑を足しました。描く距離だと少し派手に見えるコントラストでしたが、1.5メートル離れるともっと明るくてもいいくらい。

ちょっと描いては2メートルくらい離れて見る、ということを何度も繰り返しました。わたしはテーブルの上で描いているので、いちいち絵を運んで別の場所に持って行くのが面倒だった。小さい絵だから移動させるのが大変ってことはないんだけど、立ったり座ったりするのが単に面倒。

イーゼルで描くって理にかなってるのかもしれない。わたしはテーブルの上で描いた経験しかないので、絵を立てて描くなんてむしろ難しいんじゃないのかなとずっと思っていたのですが、絵から距離を取りたい時もそうだし、描いている途中でも立てて描きたくなる部分はあった。横に線を引く場合なんか、その方が筆が動かしやすい。

手を入れたことでのっぺりした感じが減って、満足出来る仕上がりになりました。色使いがキレイすぎて小学生みたいな絵ではあるけれど、きれいな薄桃色の睡蓮と深い青のコントラストが気に入っているので、これはこれでいいと思う。自分の基準としては上出来!

 

見直すのって大事。

一旦出来上がったと思っても、ある程度時間をかけて眺めていると、描き上げた時には気づかなかった欠点に気づくことは多々あります。その欠点を残したままにしておくことで次の参考になるから、基本的には直さないけれども、今回はせっかくのキャンバスなので直しました。一応作品だからね。今までチラシや画用紙に描いていたのは練習。

とはいえ「作品」だと意識したせいなのかどうか、今まではある程度の出来になったらうれしくてニコニコだったのに、少し距離を置いた冷静な見方になった気がする。

たとえていえば、2、3歳の子どもは目に入れても痛くないくらい何をしてても可愛かったりするのに、12、3歳になるとある程度客観的な目で見るようになるというか。当たらずと言えども遠からずであろう。この見方の変化は自分でも意外だった。

 

見方の変化。

見方の変化といえば、もう一つ気づいたことがあって、鑑賞専門だった時と実作を始めて以降とでは絵の見方が相当変わりました。これはもう始めた途端に変わった。

4月の後半に福島へ美術展を見に行ったんです。
それまでは皮膚感覚で絵の良さを感じるというか、全体を見る見方だったのに対して、実作後は「こういうモチーフを描いてみたい」「こういう描き方なら自分も出来るのではないか」「この色合いをやってみたい」という風に、部分に注目するようになった。

たとえていえば、初めて会った相手を深く知ろうとする時に、目の奥を覗きこんで見極めようする見方と、口元、まつげ、手の形などからその人を知ろうとする見方。……まあ実際に初対面の人の目をじーっと見つめてたり手をじっと見てたら不気味ですが、例としてはそういうこと。

だが部分を見る見方は、あまり「絵」に向かいあっている気がしなくて忸怩たるものを感じる。絵そのものじゃなくて参考資料として見てしまうというか。どちらの見方も出来るように今後は努力していこう。

 

今後の目標。

自分で描いてみて、最初のモチーフとしてモネの「睡蓮」、とてもおすすめだと感じたのですが、問題が一つ。

「睡蓮」の次のモチーフが思いつかない。

いや、描いているんですよ、睡蓮の後も。描く題材が不足というわけではない。が、キャンバスに描けるほど簡単な――成功する確率がまあまあ高そうなものがなくて。

最近描いているテーマは海です。youtubeにある海の絵で一番簡単に描けそうなものを選んで描いているのですが、……なかなか上手くいきませんねえ。直近で描いた2枚、夕日と青天のヨットの絵ですが、まあ甘く採点して75点と70点。この出来でキャンバスに描くのは無理。波が上手く描けない。

そしてキャンバスに描いたことで、今までそれなりに集中して描いていた画用紙への取り組みが、完全に「下描き」という意識になってしまった。ちょっと雑になっているんです。下手くそが雑に描いたら、それは上手くはいきませんよ。

でも今後も、地道に描き続けていくしかありませんよね。なんかの間違いできれいな絵が描ける可能性もないことはないし。昨日たまたま描いてみたピンクのマーガレット(的なやつ)のブーケがまあまあ何とかなるかもしれないから、それに挑戦してみます。

……でも花の位置とか大きさとか、やってみないと成功するかどうかわからないものが多すぎるから、キャンバスに描く勇気は出ないなあ。

がんばります。

 

 

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