長年仙台市民をやっておりますが、知らないことは数々あります。今回「瑞鳳殿七夕ナイト」なるイベントの存在も、最終日である8月8日(2019年)に知りました。縁あって見に行ったのでその内容をお知らせします。
そもそも瑞鳳殿って何?
伊達政宗の霊廟です。1637年に建立されました。伊達政宗は70歳で亡くなりましたが、生前から自分が死んだらここに墓を建てるようにと場所を指定していたようです。ここには政宗の瑞鳳殿、二代忠宗の感仙殿、三代綱宗の善応殿の三廟所があります。
残念ながら本物は仙台空襲で焼けてしまい、現在の建物は1979年の復元です。びっくりするほど派手な装飾ですが、これは当時の桃山建築の華麗さを復元したものですのであしからず。そもそも政宗は派手好みだったから、この廟所のデザインはお好みに合うのではなかろうか。おそらく本人は満足して眠っているであろう。
なお仙台にある代表的な桃山建築として、大崎八幡宮も一見の価値がありますのでお時間がある方はそちらもどうぞ。
ちなみに政宗の辞世は。
曇りなき 心の月を 先だてて 浮世の闇を 照してぞ行く
だそうです。なんかすっきりしてかっこよすぎるぞ。政宗。
あなたの人生は波乱万丈で迷いどころばかりだったはずだが。その波乱万丈を乗り越えて、晩年にはこのような心境に至ったということなのか。
そういえば、こんな漢詩も作っています。
馬上少年過 馬上少年過ぐ
世平白髪多 世平らかにして白髪多し
残躯天所赦 残躯天の赦す所
不楽是如何 楽しまずんば これいかん
少年時代は馬に乗って(戦いに)明け暮れた
今の世は平和になり、自分は白髪の老人になった
この長生きは天が自分に許したことなのだ
それを楽しまずにいられようか
これちょっと好きなんです。特に一行目の「馬上少年過ぐ」が。かっこいい。
調べたのですが、これがいつの段階で作ったものかわからないんですよね。白髪の増えた晩年の作ということは間違いないけれど。タイトルが「酔余口号」……でいいんだろうか。ネットで調べるとそうらしいという検索結果なのですが、多少疑問が残る。
ただしラスト一行には「それなのに楽しめないのはどうしてだろうか」という解釈もあり、どっちが正解とは断言出来ないそうです。わたしは「楽しまないなんてもったいないぜ!」のノリの方が格段に好きけれども。辞世で「曇りなき」と歌っているので、その数年前の作も、楽しむ姿勢で詠んだものだと思いたい。
瑞鳳殿ってどこにあるの?交通手段は?
地図はこちら。
仙台駅からは車・タクシーで約10分~15分くらいです。また、GW・七夕以外ならば瑞鳳殿の駐車場へ停められると思います。
路線バスは仙台市営バス「霊屋橋・瑞鳳殿入口」下車、(徒歩10分)が最寄りバス停。
ですが、行きに関しては、観光バスのるーぷる仙台が便利です。
ただしるーぷる仙台は反時計回りのけっこう長い周回ルートなので、注意が必要。瑞鳳殿から乗るとルートの先が長くて、仙台駅まで戻るまで時間がかかるんですよね。
もし瑞鳳殿だけを見て仙台駅方面に戻りたい場合は、
・徒歩15分の地下鉄大町西公園駅まで歩くか、
・一旦るーぷる仙台に乗って博物館・国際センター前で降りて、地下鉄国際センター駅から仙台駅方面へ戻るか
・路線バスを利用するか
ということになるかと思います。
なおこの瑞鳳殿七夕ナイトの時には、例年るーぷる仙台七夕ナイト号も運行されているようです。昼間の便より若干ルートが狭くなりますが、一定方向の周回バスであることは同じです。
瑞鳳殿七夕ナイトってどんなイベント?
普段は16:30で閉まってしまう(冬季は16:00)瑞鳳殿ですが、七夕祭りの8月6日~8日は21:00まで開館します。建物のライトアップ、1000個以上の小さな竹灯籠、七夕飾りなどでいつもとは違う瑞鳳殿が楽しめます。入館料は通常通り、大人550円。
竹灯籠はね。大きさが何種類かあったかとは思いますが、みかんくらいの大きさ。階段や通路に3つ4つ、2つ3つなど置かれており、小さいながらも風情があります。これ設置するの大変だろうなあ。数が数だけに。ボランティアの方々、暑いなかありがとうございます。
竹灯籠をバックにミニコンサートが行われます。2019年の顔ぶれは以下の通りでした。
8月6日:HAPPY TOCO(インストゥルメンタルユニット)
8月7日:鼓逢&三浦公規(和太鼓)
8月8日:ジョン・ルーカス(ゴスペルシンガー)
19:00-21:00の間で2ステージとの記載があるので、おそらく19:00~が1回、20:00~が1回というスケジュールだと思われます。1回30分強。
わたしは8日20:00からのコンサートを聞きました。ジョン・ルーカス氏はジャマイカ人で、日本に来て20年ほど。「のどじまんTHEワールド!」に出たこともあるそうです。
実際に行ってどんな感じだった?
たしか19:00過ぎに着きました。自家用車で行って、運よくちょっと待つだけで停められました。交通整理の方がいるので安心です。
瑞鳳殿はかなりの急坂・階段です。足元が暗いので注意が必要。スマホの懐中電灯機能が役に立ちました。杉並木のライトアップがきれいなんだけど、人は多いし足元は階段だし、写真をきれいに撮るのは難しいですね。
きれいといえばライトアップされた竹がきれいでした。
瑞鳳殿の門。本来はここの竹飾りがメインかと思いますが、……ちょっと前に降った雨のせいで、吹き流しは取り払われてしまってた!おいおい。でもまあしょうがないね。
屋根があるところに吹き流しが飾ってあったのですが、青い方の左から2番目と赤い方の右から2番目を見てください。この色合い見てピンと来る人いますか?
これは羽生結弦選手の衣装をモチーフにしているそうですよ。言われなければ気づかなかった。ちょっとしゃれてますね。つかず離れず具合が絶妙。
そしてド派手な桃山様式。
人がいっぱいいる上に、カメラと建物の距離があまり取れないので、これぞ!という写真が取れない。悔しいので斗供(ときょう)をアップで撮って来ました。
これぞ桃山文化花盛り!といった色あいですね。上の方の金の金具にも細かい模様が刻まれていて、さすが手がかかっている。復元したのはおよそ40年前。きれいに手入れをしているなあ。
と思ったら2001年にも改修工事を行なっているんですね。あ!その改修工事終了と同時にこの瑞鳳殿七夕ナイトが始まったそうです!うわー、もう20年近く前からやっていたのか!全然知らなかった。てっきりここ数年の話かと。
地面に描いた光の線にも何かの意味があるのだろうと思うのですが、どんな意味なのかわかりませんでした。大きなXに小さな丸が2つくっついてる。謎。
ジョン・ルーカス氏のコンサートの曲目はゴスペルよりも普通の歌が多かったです。「翼をください」も日本語で歌っていました。ルーカスさんが観客の反応を引き出そうとして言った「ジャマイカ人は静かだと死んでしまうので大きな手拍子をお願いします」には笑ってしまった。マグロは泳ぎ続けないと死んでしまう的な。でもご本人は朗らかですが騒ぐタイプではなく、穏やかでかわいい感じの人。
コンサートは観客はテントの下のベンチに座って聴きます。このテントがあるせいで、ちょっとステージが見にくいんですよね。でも今日のように雨が降ることがあるから仕方ないかなあ。
コンサートの写真撮影自体はOKですが、SNSに上げるのは禁止だそうです。
片平児童館のみなさんが作ってくれた七夕飾りもきれいでした。写真を撮るのを忘れてしまったのですが、紙で作ったミニ灯籠も良かったです。これも数がたくさんあった、みんなこのためにがんばって作ってくれたんだろうなあ。
楽しかったよ。瑞鳳殿七夕ナイト。
以上、瑞鳳殿七夕ナイトについてでした。手作り感のあるちょうどいい規模のお祭り。これは観光客のみなさんが行っても地元民が行っても楽しめますよ。あったかい感じがするのがいい。
2020年にはぜひお運びください。
あ、敷地内にはこれといって飲食コーナーなどはないので、お腹が空かないよう行く前にご飯をお済ませください。お足元にも気をつけて。あとは季節柄、熱中症に注意。飲み物は必携です。
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