イタリア/Italy:2010

11.トルチェッロ島へ。

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ヴェネツィア観光2日目。今日は島めぐりです。
でも朝4時に目が覚めてしまってちょっと困っている。
今日は夜に「椿姫」なので、夜遅いんだよなー。長丁場なのに大丈夫だろうか。

Santa Maria in the corner.

朝のお散歩の時に撮影。
ヴェネツィアには路地の突き当たりなどのちょっとしたスペースに聖マリアの絵や彫像が
飾ってあることが多い。日本で言えば路地裏のお稲荷さんといった感じ。

今晩からは別のホテルで2泊するので、そのホテルを探しながら歩く。
(このホテルの件については、長い話になるので後日。)
でも……あれ?見当たらないなあ。
実は次のホテルの地図を持ってくるのを忘れてしまっていたんだよねー。
この近辺だというのは確実なのだが、記憶にある辺りを探しても見当たらず……

まあいいや。とりあえず、ホテルに帰って朝ごはんを食べる。
何度か顔を合わせ、愛想良く接してくれたスタッフの人にバイバイと言ってチェックアウト。
この時点で朝の8時。本島に帰ってくるのは夕方になる予定なので、早めに。
スーツケースは預かってもらう。
ちなみにフロントの人に次のホテルの場所を訊いたら、探していた場所とは反対の方角でした……

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ホテルのすぐ前の船着き場から、まずはトルチェッロ島へ向かう。

一般的にヴェネツィアで島めぐりといったら、ムラーノ島、ブラーノ島が有名で、
トルチェッロ島まで足を延ばす人はあまりいない。わたしが初めてヴェネツィアに来た時も、
ブラーノ島までは行ったけれども、トルチェッロ島には行っていない。

すごく寂しい島なんだそうです。昔は2万人もの人が住んでいた、この辺りでも最初に
開けた島そうだが、今は忘れ去られて唯一残る教会が栄華の跡を留めるばかり……という。
そんなところに行って一体何をするのかと訊かれると、
……まあ自分でもよくわからないわけだが、遺跡好きなもので。
うーん、遺跡か?違う気がするなあ。でも何か惹かれるものがあったんです。

トルチェッロ島へはブラーノ島で乗り換えなければならない。
ブラーノ島への船旅。いや、正味1時間前後くらいなんですけど。
何ヶ所か、バス停ならぬヴァポレット停に寄りながら。

The vaporetto to torcello.

曇天の下、海の色も暗い。その海を眺めながらぼうっと船に揺られて行く――

今はモーター付きの船で1時間で行けるようにはなってるが、昔は一体どうしていたのだろう。
例えばブラーノ島から本島まで。ガレー船のような大きな船を出すはずはないし、
かといって手漕ぎの小さな船では、一体どれほどの時間がかかっていたのか。
ヴェネツィアの人々は誇り高き海洋国家の一員として、遠くコンスタンチノープルや
アレキサンドリアを駆け巡り、アドリア海を「ヴェネツィアの海」としていた。
――だがその強大な海の帝国の足元には、ささやかな小島の暮らしもあった。

その小さな島から一歩も出ることなく一生を終えた人もいるだろう。
あるいは生涯一度の晴れがましい贅沢として、本島の聖マルコ寺院へ詣で、
その思い出を何度も語り続けた老婆もいたかもしれない。

それとも、それは陸の人間の想像でしかなくて、当時の人々はわたしがあまりに遠いと感じる
この距離を、鼻歌交じりに往復していたのだろうか。
何しろ彼らは海の民だ。ヴェネツィア近辺のこの海は――長靴のかかとの先までを
「我らが海」と誇った彼らにとってみれば、目の前の庭のようなものだったのか。

ブラーノ島が見えて来る。

Brano island in grey.

灰色の海に浮かぶブラーノ島。海面に並んだ三角っぽいのは澪つくし。
これに沿って行けば、潟の浅瀬に乗り上げずに航行出来るという道標。
何百年も昔、敵が攻めて来た時には、この澪つくしを引き抜いて相手を撹乱したそうだ。

Gas stand for the boat,right?

ボート用のガソリンスタンド。……ですよね?

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Torcello island from Brano.

ブラーノ島に着いて、そこからトルチェッロ島遠望。
あれが多分、島の唯一の見どころである教会。鐘楼はどうやら修復工事の最中のようだ。
もわもわっと覆われているのが見える。あれはきっと工事の足場かなんかです。

トルチェッロ島へは船で10分位。小さな島に船はゆっくり近づいて行く。

島は。……聞きしに勝る侘しさ。
船着き場から歩きだして、え。と思う。道が一本しかない……。
運河沿いの、たしかレンガ作りの道。歩いていて気持ちいい道ではあるけれど、
生活感がなく遊園地の小道みたい。道端に妙にこじゃれたレストランがあるだけ。
そのレストランにも人気がなく。観光シーズンになら、なんぼか人が来るんだろうけど。

船着き場からしばらく行くと、小さな橋がある。

Devil's bridge.

この橋は「悪魔の橋」。おどろおどろしい名前だが、名前に似合わず可愛らしいですね。

Centre of Torcello.

島の一番中心部でこんな感じ。

だが人はいなくても猫はいる。

Island of cats.

わたしの前方を、同じ船で着いた見すぼらしげな身なりのおじいさんが歩いていた。
ふと立ち止まると、手に持った袋から何かをばらばらと道端に撒いている。
不穏な感じがしたが、近づいてみると、

魚の骨やアラでした。餌を運んであげたんだね。

そして猫がいるにもかかわらず、鶏もいる。

Fowl live next to cats.
I hope they can spend a long life in peace......

お互いに末永く仲良くやって下さい……

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