チチェスター行きの電車を待っている時に。
急に、ああ、ロンドンに行きたい!と思った。その思いがだいぶ強くて動揺した。
この線路を、わたしは西へ行くけれど、東へ向かえばロンドンに着く。
別に予定に縛られる必要はないんじゃない?こういう時に心のままに変えられることこそ
一人旅の醍醐味なんじゃない?ロンドンだって10年ぶりだよ。今回行かなければしばらく行けないんだよ?
今日はアランデル観光して、明日ロンドンにだって行けるじゃないか。
……という葛藤を感じつつも、結局行きませんでした。
Pの家からなら電車で15分か20分くらいなのに、チチェスターからは1時間半から2時間かかる。
わざわざここまで来てロンドンに戻るというのもバカみたいだと思ったし。
時間もお金も勿体ない。
と、無理やり心を押さえつけたんだが。
結果としてチチェスターに行った後はロンドンへの衝動はきれいに消えたんだから不思議。
思ったんだけどね、もしかして街に飢えてただけなんじゃないかと。
Pの家は普通の住宅地だし、アルフリストンはイギリスの鄙びた小さな村。
ここんとこしばらく(と言っても4日くらい?)繁華街的なところを歩いてない。
自分がそういうものを志向するタイプだと思ってなかっただけに意外だった。
しかしチチェスターに来て、範囲は狭いけれども繁華街を歩いたら気が済んだ。
なんだったんだろうな、あれは。
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チチェスター。町というよりは市だと思ったが、市自体の人口は2万ちょっと、周辺圏としても10万くらいらしい。
多分比較の問題だな。ロンドン辺りから来たらすごくちっちゃい町に感じるだろうし。
何しろわたしは今回、アルフリストンから来たからだいぶ都会に感じた。
出発前にチチェスターの観光を調べようと思って検索すると、観光情報はあまり出ず、出てくるのは語学留学の類ばかり。
ということは物価も安めで治安もいい、こじんまりとした学校都市なんだろうと想像する。
駅からやっぱり中心部は少し離れていて、でもたしか歩いて10分くらい。
昔ながらの中心部には、チチェスタークロスがある。

アルフリストンの村にもバス停のところに円柱があったが、これも同類。
マーケットが開かれるところには円柱とか装飾的なモニュメントとか目印があったことが多い。
クロスは四辻の意味でしょうね。このモニュメントは相当立派な部類。
ということは過去この場所は相当に繁栄したということ。
元々はローマ軍団の駐留所だったらしい。歴史ある町。


マークス&スペンサーがあったので入ってみた。
ここは若干お高めの総合スーパー。ここがあるとお土産に便利なのよ~。
3店舗にわかれていて、ここは食品、ここは女性物、ここは男性物となっているらしい。
おお。ここは後で来よう。良かった。目星がついた。
繁華街は500メートルかそこら。
その外れの方、博物館の中にツーリストインフォメーションがあったので地図をもらう。
ついでに「どこか入りやすいパブない?」と訊いてみる。もう14時。お腹が空いている。

教えてもらった片方がDOLPHIN&ANCHOR。
中が全然見えないし、むしろ佇まいとしては閉鎖的で、入りやすい気は全然しないわけだが……
でも若いミセスという雰囲気の人が入っていったことに勇気を得て入ってみる。
そしたら中は想像よりもはるかに広くて、カウンター(の周りだけ)は明るい。

メニューを見ると、……は?GYOZA?……って餃子?

説明ではどうも餃子のようですね。こんな日本から遠いところでGYOZAに巡り会おうとは……
これはこの目で確認せずばなるまい。というわけでGYOZAとジンジャーエールを頼む。
どのくらいの量が来るのかわからなかったから、とりあえずこれだけ。

届いた物を見ると、うむ、たしかに餃子だ。揚げ餃子。
ソースはテリヤキソースのような甘い醤油系。揚げ餃子にはよく合った。美味しかった。
思ったより量がなかったので、オナカが空いたお昼としては物足りなかったが、どうせ4時間後には夜ご飯だ。
ここで餃子を食べつつ、お土産の検討をしていたので時間がかかった。
そろそろ帰国の日も近いので、手持ちのポンドもある程度コントロールしなければならない。
そうすると、これはどのくらいをカードで買って、どのくらいの現金を減らすのかなど。
この辺けっこう面倒です。
15:00。パブ出。ここから本格的なチチェスター観光。
あ!このパブで、すごく驚いたことが!
言葉が全く聞き取れない!今までPやその家族とはほぼ問題なくコミュニケーションが取れており、
お店の人の言葉が聞き取れないということはなかったのだが、このパブの人の言葉は全然わからない。
突然違う国に来たのかとぎょっとした。
ホテルに帰った後調べてみたのだが、やはり当然のことながらイギリスにも多々方言があり、
どうもPの家辺りとこの辺は違う言語圏である様子。
1時間2時間来ただけで……と思ったが、電車で2時間の距離なら、日本国内を考えてもそれは
相当に言葉は違ってくるのであった。