京都/Kyoto:2016

9.清水三年坂美術館。

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大山崎山荘からちょうどいい送迎バスは出てなかったので、駅までは徒歩。
山を下っていくだけだったから良かったけど、それでもゆっくり歩いて15分ほどかかった。
けっこうな急坂。来る時送迎バスに乗れなかったら死んでたな。

10分JRに乗って京都駅の手前の西大寺駅下車、すぐバスが来て、それでも清水道まで40分かかる。
どう考えてもそんなにかかる距離ではないのだが。

これは、清水寺近辺は観光客でとても混んでいるからという理由も大きいが、
その他に京都バスの根本的なルートのせいもあると思うよ。
早い話、バス停の数が多すぎる。100メートルしか離れてないんじゃないかと思うところもあるもの。
そりゃバス停の間隔が短い方は利便性としては理想だが、それをどのバスもやるなると、渋滞がひどくなるばっかり。

14:20、八坂の塔。

ここでようやくお昼ゴハン。「ラベンダー」なる喫茶店で。
ホタテとロブスタークリームのパスタと紅茶で1000円。
美味しかったが、わたしは腹が減っていた!それとはまた別の理由で急いでいた!
なので出てくるまで若干時間がかかって心の奥底でイライラしていた。しかしこんな時間外れにパスタを頼んでいるわけで、
お湯を沸かすところから始めてるんだろうなと思えば文句も言えない。パスタを頼んだ自分が悪い。
顔に出さないようにして待つ。

しかし届いた後はガツガツ食べました。5分で完食。

急いで急いで清水三年坂美術館。14:45。
ここも前から来たかった。

数年前にNHKで「極上 美の饗宴」という番組をやった。
その時に初めて知って、ひっくり返って驚いたのが並河靖之。なんだこれは!ここまでやるのか!
この細かさは人間じゃない!
それ以来、並河靖之はわたしの中で驚異の偉人。

5年前に来た時にも、三年坂美術館には来たかったんです。
だが清水寺に7時に着いた。それ自体は人も少なめで(しかしそんな早朝なのに観光客は一定数いる)、
とてもいいチョイスだったのだが、清水寺に7時だと三年坂にさしかかるのは8時。美術館の開館時間は10時。
その時は涙を呑んで諦めたのでした。

今回は行くぞ!今回のコンセプトは「もう二度と京都に来なくても後悔しないように」だもん!(←いや、だからそれ違うって)

そしてまあ、行ったことは行ったんです。物も良かった。
規模自体は画廊に毛が生えた程度の狭さだったけれども、展示品自体の質は高く。
それなりには見てきたつもり。並河靖之以外の作品も、明治工芸特有のそれそれは細密細微な手仕事で。
「うぐぅ」「あがぁ」と呻きながら見て来た。

だが、何しろ時間がないのだ!
なので、何の作品を見てどう思ったかというメモは全く取ってない。……そうなると、時間が経つと個々の作品についての
記憶は全く薄れ、当然写真撮影も不可なので、何を見たのか覚えてない。ああ。これでは意味がないんです。

薩摩焼の細かさに驚愕した。驚愕したなら作品名と作者名くらいは覚えておきたいじゃないですか。
蒔絵の細かさにも驚愕した。驚愕したなら(以下略)。
2階でやってる特別展も見た。刺?だった。そんなには感心しなかったけど、いい作品もあった。

いいものを見たというのは、その人本人だけの完璧な財産で、人生でいくつ美しいものを見られるのかが
人生の豊かさを決める――わたしはそう思っているのだけど、
見ただけでは――その時感じたその気持ち自体は財産になりうるけれども、しかし財産はしっかりした保証の下においておきたい。
ゆえに、作品名と感想を文字にするというのは、わたしにとって土地の権利書を手に入れるようなもんです。

今回は権利書を作らなかった。なので、日にちが経って財産が泡と消えてしまった。
せめて作品名がわかればいいのだが、三年坂美術館のHPには、写真は何枚が載っているがタイトルはない。
ううう。

いつもの反省。美しいものは心と時間に余裕がある時に。

しかしここ、意外に混んでたんだよなあ。
場所は観光地ど真ん中だけど、三年坂の喧騒をよそにひっそりと佇んでいる美術館。そういうイメージだった。
だってこういう盛り場の美術館って、ふと気づいて入りたくはならないじゃないですか。
せっかく来たんだから、盛り場の雰囲気を味わうことが主目的でしょう。
だが、帰ってきて相当しばらくしてから録画してあった番組を何の気なしに見たところ、
所さんの番組で、明治期の超絶技巧作品の特番をしてたんだよね。
これに三年坂美術館館長がナビゲーターとしてバッチリ映ってた。
……これか。このせいか。ちょっとタイミングがハマってしまったようだ。

15:20、三年坂美術館を出る。
結局30分強しかいないんだから、何をかいわんや。

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