イラクリオンからマリア遺跡までバスで1時間。海のそばの道を走る。
ほんとに遠くまで遠くまで遠くまで来た。
結局、あのチケットでちゃんとマリア遺跡まで行けたんです。
マリア遺跡に着いたら教えてね、と車掌さんに頼んでおいたので、最寄バス停で無事下車。
(が、この車掌さんも「あー、はいはい」みたいな感じで、今一つ不安なんだよなあ……)
真っ直ぐな道路の脇で降ろされ、遺跡らしき場所が見えない。周囲は低木に囲まれ、何もない。
他に1組降りた人がいたから多少は心強かったけど、降りたのが自分だけだったら
取り残された気分になっただろう。しかも遺跡への案内板が目立たないのだ……
マリア遺跡の入口の道端で、買ってあったサンドイッチにかぶりつく。
さっきのジェラートの店で同時に買ったのだが(1.7ユーロ≒280円)今まで食いっぱぐれていた。
この時13:30ですからかなりオナカすいてます。もしかして深夜の機内食以来の食事か?
白いチーズに黒コショウが効いていて五臓六腑にしみわたる。
でもまあ、こんなところで物を食べてるのは怪しいよなー。
通行人はほとんどいないけど、たった1人通りかかった人が不審な眼差しでわたしを眺めて行った。
I don't know this flower's name.
サンドイッチを食べつつ撮影。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
Ruins of Maria Palace.
遺跡好きのわたしだが、うーん、彼我の間の3500年の時間が邪魔をするのか、
……なんかよくわかんない。往時の情景が全く思い描けず。
と思ったら、付属のちっちゃい資料館に復元模型があった。
A Maria Palace's miniature.
でも……この模型……遺跡とギャップがありすぎてイメージが繋がらない……
ここに生きていた人の気配が感じ取れない。
それに何より。
日差しが暑すぎるのだ!この状態で遺跡の雰囲気を味わおうとするのは至難の業。
わたしにしては準備良く、帽子と長袖シャツを持って行ったのは幸いだったが、
「もういい、遺跡よりも日陰」状態では帽子とシャツ程度では役に立たない。
木陰に置かれたベンチに座り、茫然と目の前の風景を眺める。暑さは人間の思考力を奪う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
思考力を奪われた結果、マリア遺跡を見終わったわたしは誤った決断をする。
――バスに乗るにはマリアの町中まで歩いた方がいいのではないか。
町中なら、待つにしても時間をつぶすところは数多くあるだろう。
マリアの町まで3キロ。それほど大した距離ではない。そう思って歩き始めたのだが――
いや、今回でよくわかりました。
普通に3キロ歩くのと、炎天下の中3キロ歩くのでは、体力の消耗が全く違う。
既に視界に入っているマリアの町。あそこまで歩くのか。――遠い。あまりにも遠い。
仕方ないのでひたすら歩きましたけどね。選んだのがバス通りから離れたビーチ沿いの道で、
途中でバスやタクシーに拾ってもらう可能性もなかった。何とか自力で公共交通機関まで
辿りつかなければ行き倒れだ。
……ま、そこまで大袈裟な話ではないんだけれども。
ビーチ沿いの道は一応リゾートなので(といっても、パリっとしたリゾートではなくて……
大島の海水浴場辺りをもう少し派手にしたものを想像してくれるとちょうどいい)、
リゾート客はバギーで何人もわたしの横を通り過ぎて行くし、彼ら向けのレストランも並んでいる。
天涯孤独に死ぬことはなかろう。が、熱射病で倒れたらちょっとヤバイことになるだろうな。
でもいいんだ。歩いたお陰でこんな写真も撮れたし、
Beech near Maria Palace.
There are many restaurants along the beech,their signboards say "we have English breakfast".
エーゲ海にも入れたんだから。(靴下を脱いで足だけ浸して来ました。砂が熱かった。)
Aegean Sea.Beautiful blue.
水がきれいだ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
マリアの町の方がバスに乗りやすいだろうと考えたのは結果として大ハズレ。
何しろ町中でバス停を探すのが一苦労。
町の入口で観光案内所を見つけ、道を訊けたのはいいんだけど(ここの人は丁寧に教えてくれた)、
「この細い道を行ってメインストリートにぶつかったら右へ」と言われ、
その通りに行ったつもりがバス停、見当たらず……
やっとの思いで町まで来たというのに、さらにウロウロすることになる。
その辺の誰かに訊こうにも、リゾート地で歩いているのはリゾート客ばっかりなんです!
つまり地元民らしき人になかなか出会わない。
ようやくバイク屋の親父さんがたまたま店先に出てきたのを捕まえ、道を尋ねる。
この人もウィンク付きで親切に教えてくれた。(親切な人ももちろんいたのです、ギリシャには。)
そうしたら、わたしがメインストリートだと思っていた道はメインストリートではなかった。
地元の人には自明でも、旅行者にわからないことは色々ある、という典型。
「この道をまっすぐ行って、大きな教会があったらそこがメインストリートだ。
右へ曲って、右側にすぐイラクリオン行きのバス停がある」
……ここまで言われたら、さすがに簡単に見つかると思うでしょ?
が、実際はさらにもう1人に訊いた。だって曲った所からバス停まで200メートルくらいあったよ!
200メートルを「すぐ」って言うの!?
しかもバス停の標識は淡い水色で小さく、遠くから見たらまったく目立たない。
バス停だ!という主張がない。もうちょっと主張してくれないと困る。
バスを待つこと15分。ようやく乗って、疲労困憊。すごい冒険をした気がする。
……なんだか大変だなあ。ギリシャ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
17:00、ホテルに戻ってベッドに倒れこむ。
晩ごはん前に少し休もう……




