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◎この画家のこの一枚。動物画をおすすめしたい竹内栖鳳。

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竹内栖鳳。……字面には馴染みがあるのですが、読み方が今一つ記憶に定着しない。覚えた!と思ってもすぐ忘れてしまう。正しい読み方は「たけうち・せいほう」。京都を中心に活躍した日本画家です。

 

西洋絵画から影響を受けた。

動物を描くのが得意な画家だったそうです。絵から動物のにおいまですると言われたとか。

1900年頃にヨーロッパに出かけています。今とは比べ物にならないほど渡欧のハードルは高かったと思うのですが、この頃の画家って意外に大勢海外へ行ってますよね。横山大観も菱田春草も行ってるし。パリ万博がきっかけのようですね。

この時に西洋美術に触れたことがその後の画業に影響を与えたそうです。もともと棲鳳と名乗っていた雅号を、「西」を使った「栖」鳳に変更したとか。この頃ヨーロッパに行った画家は複数いて、それぞれ影響も受けたのでしょうが、名前に西を入れた栖鳳はなみなみならぬ自負があったのかもしれません。

ローマやヴェネツィアの風景を水墨画に描いたりしているんですよね。「羅馬之図」「ベニスの月」など。海外風景を描いた水墨画って面白い。現代作家はあるだろうけど、まだ明治、大正の頃ですからね。
日本画らしく湿気をたっぷり含んだ空気感になっているのがこの頃っぽい。

 

動物を描く。

なお、風景だけではなく西洋風な画題の動物もだいぶ描いています。伝統的な日本画でも虎や象は描かれてきましたが、栖鳳が描く西洋動物はそういったものよりリアル。

ライオンを描いた「大獅子図」なんか、かっこいいなー。これぞ百獣の王!体の方のデッサンが今一つかと思いますが、頭部の描き方がすごいですね。かっこいい。これは欲しい。

竹内栖鳳「金獅」

Takeuchi Seih? 003.jpg
By Takeuchi Seih? - [1], Public Domain, Link

「大獅子図」と対になる「金獅図」。こっちは右向きだけど左向きの「大獅子図」の方がかっこいいんですよね。個人的には。

竹内栖鳳「飼われたる猿と兎」

Seiho takeuchi, scimmie e conigli, 1908, 01.jpg
Par Sailko ? Travail personnel, Domaine public, Lien

伝統的な日本画における猿と兎。……と思ったが、よく見ると実はこの猿の顔がけっこうコワイ。ここまで険しい顔をしている猿は、日本画では珍しいかもしれない。

栖鳳は猿も兎も家に飼っていて、写生を重ねて作品を完成させたそうです。

 

動物画以外にも。

わたしは日本画の人物画はそんなに好きなジャンルではないのですが、栖鳳はきれいな人物画も描いています。

竹内栖鳳「アレ夕立が」

アレ夕立に_竹内栖鳳.jpg
竹内栖鳳 - 図録『京都画檀の巨匠 竹内栖鳳展』朝日新聞社 平成2年, パブリック・ドメイン, リンクによる

パッと見、タイトルがわかりにくいですが、夕立が降って来て「あれまあ」と驚いている「あれ、夕立が」という意味ですね。

着物の青がきれい。それに対比した赤の差し色がきれい。こういうところが日本画の良さだと思います。あごの線がもう少し強い方が良かったんじゃないかと思いますが。

こんな絵も。

竹内栖鳳「潮来小暑」

Takeuchi Itako.jpg
Von Takeuchi Seih? - Catalogue, Gemeinfrei, Link

動物画からはだいぶ離れた、たらしこみの技法を駆使したもやっとした絵ですね。でも日本画家っていろんなスタイルで描けますしね……。

 

そして、竹内栖鳳の「この一枚」は!

竹内栖鳳「班猫」(はんびょう)

Madaraneko by Takeuchi Seiho.jpg
竹内栖鳳 - [2], パブリック・ドメイン, リンクによる

竹内栖鳳についての関連本には、だいたいこの絵が使われています。代表作。

この猫の目がねー。魅惑的だよねー。これはもう色っぽいといっていい眼ではないですか。誘惑する眼差し。

ちなみに「まだらねこ」という意味であれば漢字は「斑猫」と書くのが正しい。でも本人が自ら書いたタイトルなのでそのまま「班猫」で通用しているそうです。単なる漢字の間違いなのか?そうだったら本人恥ずかしいだろうなあ……。

前にテレビ番組でこの絵を写真で再現するという企画をやっていたのですが、実際の猫はこのポーズを出来ないそうですね。よーく見ると振り向き具合が不自然。首が長すぎる、と言われてみればわかる。

が、全体的に見るとそのくねり具合も猫らしさを表現する手段になっていると思えます。

この絵を思い出す。

アングル「グランド・オダリスク」

Jean Auguste Dominique Ingres, La Grande Odalisque, 1814.jpg
ドミニク・アングル - wartburg.edu, パブリック・ドメイン, リンクによる

オダリスクはトルコ後宮にいる女性のこと。18世紀から19世紀にかけて、この題材の絵が流行ったことがありました。なのでいろんな画家が描いた「オダリスク」という絵がいっぱいあります。

どこでアングルの「グランド・オダリスク」を連想するかというと、振り向く姿勢もさることながら、この女性も骨の数が多すぎる――解剖学的には不正確ということです。通常の人間はこんな姿勢はとれないらしい。

誘惑のまなざしも共通ですね。

 

竹内栖鳳。

竹内栖鳳は「東の大観、西の栖鳳」と言われた日本画の大家だそうです。人気は時代につれて変わるので、近年きている若冲や琳派などに一歩を譲っている印象ですが、おそらくまたドンと来る時期もあるかと思います。

動物画を集めた展覧会が……あ!これからあるんですね!

山種美術館で2020年9月19日から11月15日の予定だそうです。

楽しそうな展覧会ですね。竹内栖鳳以外の画家が描いた動物画もいっぱい集まるそうですよ!

 

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