いろいろ徒然

◎イギリス好きがイギリスを楽しめるほのぼの映画、4選。

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わたしはイギリスが好きなので、映画にせよ小説にせよ、舞台がイギリスのものはついつい評価が甘くなってしまいます。

ところで「イギリス映画」って何?

イギリス映画の定義ってなんでしょう。これを試しに「日本映画」と置き換えればどうなりますかね?そうすると、

1.日本の会社が制作している。
2.日本人の監督が撮っている。
3.日本人の役者が出ている。
(4.日本で撮っている。)

こんなイメージかと思います。

ですが「イギリス映画」の定義はちょっと違うようです。シネマトゥディが引用した「イギリス映画ベスト100」を発表した時のエンパイア誌(イギリスの映画雑誌)の定義に笑ってしまいました!

「厳密さよりも、イメージが重要。イギリスらしさが感じられれば、外国の監督でも構わない。監督がイギリス人であれば、ロケがイギリス以外でもよしとする。出資がどこの国かについては、こだわらないことにした」

――シネマトゥディが引用したエンパイア誌の文章。

つまり何でもアリってことですね!ちょっとでもイギリスらしさがある映画はみんなイギリス映画。エンパイア誌のように考えればたとえば「ラスト・サムライ」だって日本映画です。

これは世界中で「イギリスっぽい映画」が作られているからこその大雑把と申せましょう。あんまり細かいことを言ってられないんでしょうね。

ではお言葉に甘えて、わたしもイギリス映画を広く「イギリスらしさが感じられる映画」ということにしましょう。その中でも特にイギリスを感じられるほのぼの映画を挙げたいと思います!

 

イギリスを楽しめる映画ベスト4。

4位「ひつじのショーン バック・トゥ・ザ・ホーム」


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これはクレイ・アニメです。初っ端から外し技ですか。

クレイ・アニメとは粘土(クレイ)で物体を作り、それをちょっとずつちょっとずつ
動かして撮って行く手法。しかし出来上がった人形の位置だけ動かすわけではないですからね。ちょっとした表情からしぐさから全部ですからね。顔をしかめるカットでは、眉毛と目玉を違うものを何個も何十個も作っていって付け替えて。気が遠くなる。

今となっては成功したからいいようなものの、最初よくこんな手法で作ろうと思ったよなー。こういうところにも若干イギリス人気質を感じたりします。「我が道を行く」タイプの人が多いイメージ。

「ひつじのショーン」シリーズは世界的に人気で、日本でもNHK教育で繰り返し放映されている番組です。そこでは短編で、話もちょっと皮肉が効いた(←ここもイギリス的)ショーンのいたずらの話がメイン。

「バック・トゥ・ザ・ホーム」は珍しく長編で、その分話の奥行きがあり、いつもの短編にはない味わいです。大人向けな話と言っていいかも。

主人公はひつじのショーン。牧場で飼われているひつじ。ふだんは牧場主にいたずらを仕掛け退屈を紛らわせています。牧場主には様々な災難が降りかかりますが、牧場主はそれがショーンのいたずらとは気づいていません。

気づかれないように間に立ってハラハラする、中間管理職的な牧羊犬であるお人よしのビッツァーが気の毒やらかわいいやら。

しかし今回の話では、ショーンのいたずらで牧場主がロンドンに行ったきり戻れなくなってしまいます。「連れ戻さなくては!」と決意しロンドンへわさわさと出発するひつじたち。どうやって牧場主を平和な牧場へ連れ戻せるか?彼らの活躍が描かれます。

普段はほぼ牧場内が舞台ですが、今回はショーンたちがロンドンを走り回る!途中は「あれ?これアクション映画だったかな?」と思うようなアクションシーン(ひつじたちの……)もあり、この辺りが見どころ。

珍しく子羊・子犬時代のショーンやビッツァーと牧場主の心温まる交流も描かれたりして、その後のショーンたちの粉骨砕身ぶりが心に響きます。

クレイ・アニメで作られたロンドンの街並みにすごく味があります。特に観光地的なロンドンが映るわけではないですが、道路工事の現場とか、建物の雰囲気とか。実写にはない味わい。

 

3位「メリー・ポピンズ・リターンズ」

 


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1964年に制作された名作ミュージカル「メリー・ポピンズ」から長い時が経って、その後を受けた作品。日本では2019年公開。今年か……!記憶より超最近でした!

わたしはこの映画、とても面白かった!映像的にすっごく楽しい!色彩がカラフル。前半部、メリー・ポピンズが魔法をかけて子どもたちをお風呂の魔法の世界に連れて行くところとか。アニメと実写の融合も前作を踏襲しているらしいです。

ダンスも歌も良かった。曲については名作の誉れ高い前作に一歩……三歩を譲ると思うけど。(前作の「スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス」、「チム・チム・チェリー」「ア・スプーンフル・オブ・シュガー」名曲ですね!)

 


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今作は主役のエミリー・ブラントの歌が心が伝わる歌でした。エミリーのメリー・ポピンズは、前作よりもどちらかというとツンとして何を考えているのか分からない人。でも不意の笑顔にやられます。

「リターンズ」は前作の後日譚ですから、前作でメリーが面倒を見た姉と弟が25年経って大人になっており、今回メリーは弟のマイケルの3人の子どもたちの乳母になるわけです。その旧姉弟とメリーとの信頼関係、3人の子どもたちとの関わりが重層的です。

イギリス物としては、19世紀のアッパーミドルの生活の雰囲気が出ている(破産に瀕しているのですが)。家族が住む家もその周辺の家々の佇まいもイギリス。ちょっと舞台寄りの作り。とにかく映画の冒頭、メリー・ポピンズが風に乗ってやってくるところはロンドンの上空からの俯瞰ですから、もうここでイギリス好きとしては「ああ!ロンドン!」とテンションが上がるわけです。

これはイギリス人にはベタすぎてなかなか出来ない描き方なんじゃないでしょうか。「ほーら、イギリス好きでしょう?」と見せびらかすような。そう思ってみると、……たしかに本作はアメリカ・ディズニー制作。

それは実際とは違う場合もあるし、ファンタジーである場合も大いにありますが、同じく余所者でイギリスが好きな視点からするとまさにピンポイントでツボを押さえてくれる。そこが大変に快感。ありがたい。

 

2位「プライドと偏見」

 


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これはねー。もうたっぷり!イギリス。原作はジェーン・オースティン「高慢と偏見」。英文学古典ですね。

――田舎のちょっとした土地持ちの家、ベネット家には5人も娘がいた。しかし当時は男子にしか相続権がなかったのでこのまま父が死んだら、家も財産も遠縁の従兄弟に渡ってしまい母と娘たちは路頭に迷いかねない。母は娘たちに良い婿を見つけようとやっきになり、娘たちにも相当危機感はあるが、田舎のことでそう簡単に良い結婚相手もいない。

だがある日、資産家のビングリーという青年と彼の友人で輪をかけて裕福なダーシーが近所の別荘に住み始めた。母は良い婿がねとさっそくに渡りをつけ、上の二人の娘、ジェーンとエリザベスは彼らに舞踏会で出会うのだが……

という話。そんなにベタベタではない恋愛物ですね。

主役はダーシーとエリザベス。裕福で身分も上のダーシーはエリザベスに惹かれつつもつい高慢になってしまう。聡明なエリザベスだけれども、とっつきにくいダーシーの言動がいちいち気に障り、経済的な引け目もあって、つい憎まれ口を叩いてしまう。

ということではありますが、最初は全然イヤな奴だったダーシーもだんだん不器用で誠実な人ということが描かれていきますし、エリザベスもそれにだんだん気づいていくのが(お約束だけれども)好きだった。

風景というか、構図がとてもいい映画です。冒頭はベネット家の内部をじっくり映すのですが、当時のイギリスの田園地主(ささやかな方の)の家の様子がよくわかります。どちらかといえばごちゃごちゃとした室内。それなりに居心地よく作られているけれども物が多い。空間が狭い。それに対してビングリーやダーシーの邸宅は空間が広々。この対比。

ベネット家にある小さなピアノ。(か、あるいはハープシコードだったか)その前に一日中座って練習をしている、影のうすい妹の姿が背景として印象的です。

屋外の風景も「ああ、イギリスだなあ」と思わせるもの。ダーシーの邸宅周りの庭がイギリス式庭園の典型ですね。ダーシーは貴族ではないらしいのですが……貴族に見えるなー。

ダーシーの造型も、イギリス男の典型というイメージ。ちょっともっさりとしていて口が重く、不器用で、でも心は誠実というような。レイノルズの絵に描かれていそうな人だ、と映画を見た時思いました。

1800年前後が舞台の映画なので衣装も時代物です。この衣装や、ダーシーの邸宅もイギリス物としての見どころの一つ。どっぷりイギリスに浸かれます。

 

1位「ノッティングヒルの恋人」

 


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これ、大好きな映画です!わたしのオールタイムベストといったら、「バグダッド・カフェ」か、これ。

ノッティングヒルというだけでうれしくなってしまいます!ここはポートベロー・マーケットという大規模な骨董市が開かれるところで、居住地としてもロンドンの中でも人気のあるエリア。
なんでそんなに人気のところで大して売れてない本屋がやっていけるのかつっこみたいところですが、まあ映画ですから仕方がない。

そういう場所なのでハリウッドの人気女優であるところのジュリア・ロバーツが(実生活そのままの役柄)お忍びで訪れるのもあり得るかな、と思わせます。街角で鉢合わせするというのもお約束。ぶつかりざま服にオレンジジュースをかけてしまうのもお約束。
着替えの場所として家を提供し、そこで唐突にキスしてしまうのも……お約束か?

主役のヒュー・グラントはわたしの中では長い間ザ・イギリス人俳優でした。ダメな優男(笑)を演じさせたら彼の右に出る者はいなかった。これはこれで、ダーシーさんとは別の意味でイギリス男っぽい。

仲間たちが魅力的に描かれるというのもイギリス映画の魅力です。友情が美しく描かれる映画はたくさんあるでしょうが、イギリス映画は基本的に「仲間」なんですよね。

この映画でもヒューの妹を含む友人たちがとても魅力的。その関係性が愛しくなる。ここに出てた役者さんには今でも愛着があります。しかしこの作品で、何をやっても上手くいかないドジ男だったヒュー・ボネヴィルが20年経って「ダウントン・アビー」の伯爵を重厚に演じるとは思っていなかった!

ちなみに映画の初めの方で、ヒュー・グラントの家の乱雑に積み上げられた片隅に、振り袖娘の看板の残骸が背後にちらっと映りますので、見たらふふっと笑って下さい。

そもそもなんだろう、あれ?大きさ的に店頭販促用だが……この映画では終盤にちょっとしたギャグとして日本人がいじられる部分もあるので、そこも笑いどころです。日本人が素直に笑えるかというとちょい疑問ですが。

「ノッティングヒルの恋人」はロマンチック・コメディの名作です!未視聴の方はぜひ。

 

番外編。

1本の映画としてはあまり評価しないが、イギリスがたくさん出て来るという意味で印象に残ったいくつかの作品をいくつか挙げます。順不同。

「ミス・ポター」
ピーター・ラビットを生み出したビアトリクス・ポターが主人公の映画。これなぜかレネイ・ゼルヴィガーがポター役なんですよね。いくらアメリカ・イギリス共同制作といっても、そこはイギリス人女優にするべきだったろうとプロデューサーを問い詰めたい。

イギリスのアッパーミドルの家庭生活がたっぷり見られます。使用人たちの描き方が良かったという印象もある。湖水地方の風景も美しい。ただ若干、話の最後が締まらない……

 

「エリザベス」「エリザベス:ゴールデン エイジ」
英国史上に輝くエリザベス1世についての映画。題材も良く、主役にケイト・ブランシェットを据えた時点で間違いなく面白くなるだろうと思ったのに、そのまんまな歴史映画で終わっちゃいました。時代劇コスチュームとロケ地、ブランシェットの美しさはすばらしい。

「フォー・ウェディング」
なぜか映画人からも評価が高い映画のようです。この映画でも仲間の描き方がいいなあと思います。切ない。これもヒュー・グラントが主役です。ただ恋愛部分がわたしは納得できず。

 

ちなみにエンパイア誌が選んだイギリス映画ベスト100(2011年)はこちら

英国映画協会が選んだ20世紀史上最高の英国関連映画ベスト100 (1999年)はこちら

番外の番外。
「ダウントン・アビー」
これは映画ではなくてドラマです。もうたっっっぷりイギリス。これも面白い。

 


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伯爵家の家族と使用人たちが織り成す人間模様をこってり描く。すごく丁寧です。イギリスのドラマは作りが上手いんですよね。

シーズン1から6まであり、全47話で1912年~1925年の間の出来事を描きます。

舞台のハイクレア・カースルが素敵!貴族の邸宅、そしてあまり見ることのない使用人たちの生活見られます。俳優さんたち、みんな味があっていいですねえ。

ちなみにハイクレア・カースルはカーナヴォン卿が住んでいた邸宅だそうで、……カーナヴォン卿とは誰かというと、ツタンカーメン王墓を発掘したハワード・カーターのスポンサーだった人です。今回知ってびっくりしました。

ふとイギリスを思い出した時に。

イギリスへ行きたしと思えどもイギリスはあまりに遠し。
せめてはなつかしき映画を見て気ままなる夢想の旅へと出でてみん。

上記4作+αは、きっとイギリス成分が足りない時の心を慰めてくれると思います!心温まる映画をぜひどうぞ!

 

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