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武相荘。白洲正子と白洲次郎が住んだ場所。

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20年くらい前には随筆家・白洲正子が書店を中心に地味に流行り、
10年くらい前にはその夫・白洲次郎がドラマになったりして華々しく流行りました。

白洲正子と白洲次郎については後日書くとして、
今回は二人が住んだ「武相荘」をご紹介したいと思います。
今は白洲次郎・正子夫妻の記念館になっています。

 

武相荘はどこにある?

答え。武蔵国と相模の国の境目にあります。現在は町田市鶴川。

音で読むと「ぶあいそう」。これは不愛想とかけてるんですね。

小田急小田原線の鶴川駅から徒歩圏内です。15分くらいかな。
駅前の交番で道を訊くと、観光協会の回し者かと思うほど愛想のいいお巡りさんが、
手作りの地図をくれて親切に教えてくれました。
白洲夫妻は地域の偉人というべきにやあらむ。

白洲正子のエッセイで、戦時中の鶴川の田園地帯ぶりを散々読んでいたので、
現在の武相荘の佇まいは味気ないといえば味気ない。
車の多い鶴川街道のすぐ横。そばにユニクロ、コメダ珈琲店ですから。

この周辺環境で一体どうなるんだろうと半ば失望しながら武相荘にたどり着いたところ、
どんな魔法か、武相荘に入ると落ち着いた場所になります。
人里離れた昔はこうであったろうという面影がある。意外に高台ですね。

 

休館日と入館料。

開館時間:10時~17時

休館日:月曜日。祝日は開館。夏季・冬季に長期休館あり。
(8月末と年末年始に10日前後のようです)

入館料:1100円。団体は要予約。

駐車場:バスの駐車場はないが普通車は16台。
駐車場への道は公式サイトに詳しく書いてあります。

公式サイトの他にこちらのサイトにもちょこっと映像があります。

 

正子と次郎がいた場所。

 

 

この時は3月下旬でした。正子好みの骨董の大甕に桜の花を合わせている。
正子がまだいて、出迎えてくれているような気持になります。

この家は昔は農家で、疎開のために買い取ったのは昭和17年(1942年)。
引越しが翌年。次郎は農作業もやったようです。
近所の農家の青年を農業の先生として頼っていた話が出て来ます。

行った時に撮った写真は総じてあまり良くありませんでした……。

 

 

広い農家を独自の美意識で装飾し、居心地よく住み習わしていたようです。

一番特徴的なのは土間の使い方。(内部は撮影禁止)
土間が居間の位置づけで、直接絨毯を敷きソファを置いていました。
たしか土足だったかな?それとも土間の入口辺りで靴を脱ぐんだったかな?

インテリアは英国風に日本の日本の民芸風がわずかに混じったような佇まい。
温かく、知己を招いて談笑をしていた姿が想像されます。
テーブルの上に載っている本などもイギリス関連が多かった。
次郎は青春時代をイギリスで送り、日本語よりも英語が達者だと言われた人らしいので、
イギリスのものがやはりなつかしかったのではないでしょうか。

しかし全体のデザインの主導は正子の美意識だと思われる。

座敷が展示スペースになっており、その畳に直接並べられる形で正子所蔵だった
骨董品が展示されています。この展示方法はだいぶ珍しい。
蕎麦猪口や抹茶茶碗などの陶器、磁器、お椀や御膳などの塗り、地域の織物の着物。
飾るぞ!という気負いがなく、主が手持ちのお気に入りを気まぐれに並べてみた
ように見えます。日常使いの骨董たち。使っていた人の手を感じる。

北西のすみっこに白洲正子の書斎があります。このスペースは意外でした。
骨董や能や仏像のエッセイを数多く書いた人だけれども、
こちらは若い頃4年ほどアメリカで学びました。
帰国時は「日本語を半分忘れていた」と書いている。

そんな正子だから、なんとなく書斎は椅子机だろうと思っていました。
そうしたら小さな文机。これで果たして用は足りたのか疑問になるほど小さな文机。
机の上にあるのはお気に入りだった種々の物。
目の前の窓からは(決して立派ではない)裏庭の雑草が揺れているのが見える。

周りにはぎっしりの本。明治に生まれた人の蔵書らしく、みな茶色くなった古い本。
正子が使ったまま、並べたままに置いてある。
そのタイトルを追っていく並べ方を見るのも楽しみの一つです。

明恵上人や仏像の本が目につきました。百人一首関連もあった。
意外だったのは南方熊楠の関連本が多かったこと。
もしもう少し時間があったら南方熊楠についても書きたかったんだろうな。
赤瀬川源平さんの著作がちらっとあったりするのもうれしい。

居間と、その隣のギャラリーには次郎が日曜大工で作った物もいくつかあって。
これがいかにも素人の出来で微笑ましい。次郎は日曜大工が好きだったようです。
しかし出来上がった物が正子の目にかなったかというと……叶わなかっただろうなあ。
まあ正子もそこまで高いレベルは求めなかったと思うけど。

正子を偲んで敷地内を歩き回りました。

 

 

母屋の西側には小高い丘があって、そんなに大きいものではないのだけれど、
散策路になっている。ミニミニ富士塚みたいな感じ。朝に夕に登山が可能。
こういうものを作るところに夫妻の遊び心を感じます。
これは次郎のアイディアだろうか。正子のアイディアだろうか。

 

 

ガラスがあることで現代感が増していますが、実際に住んでいたんだしね。
ガラスがなかったらちょっと暮らせないよね。

こちらは正子の死後、住宅を一般公開するにあたって色々改築をほどこし、
レストランやカフェも出来ました。
わたしが行ったのは2013年ですが、その頃と今は違っているかもしれないなあ。
レストラン部分がもっと狭くてカフェだったのではないだろうか。

当時のカフェ(現レストラン)も居心地が良く、ついつい長居をしてしまいました。
レストランは昼食には少し高いが、白洲家伝来のカレーは食べてみたいなあ。
正子はあまりお料理をしたイメージがないのだが……。

 

 

白い椿が咲いていました。正子に似合う花です。

 

静かで落ち着ける場所、武相荘。

わたしは白洲正子がとても好きで、武相荘にはずっと行きたいと思っていました。
数年前にようやく行けた時にはうれしかったです!
外のガレージには次郎が乗った愛車と、よく使われるジーンズ姿のかっこいい写真が
どーんと巨大に拡大されていて、嬉しいような苦笑するような。

訪問する場合は、こんな本を読んでから行かれるとより一層楽しめると思います。

 


白洲正子自伝 (新潮文庫) [ 白洲正子 ]

 


風の男 白洲次郎 (新潮文庫) [ 青柳 恵介 ]

 

白洲次郎の関連本も何冊か読みましたが、その中では正子と骨董関係で関わりのある
青柳恵介の著作が一番良かったです。

ゆっくりと歩き回ってその空気を堪能しました。
白洲正子、白洲次郎に興味がある方はぜひどうぞ。

 

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