仙台あちこち

◎その秋保を愛せますか。~秋保地区巨大メガソーラー建設についての意見

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東京ドーム127個分。日本最大級のメガソーラー施設。

――この巨大施設が秋保に建設予定です。2年後の着工。このまま手をこまねいていれば実際にこれが秋保に出来ます。

 

お気持ち表明です。

わたしには太陽光発電に関する正確な知識がありません。
厳密で正確な知識を知ろうとすれば、専門書を何冊も読まなくてはなりません。ネットで得られる知識は玉石混交で、正確なところはわからない。

そして本にせよネットにせよ、その情報の発信者の背後関係は表面からではなかなかわかりません。利権が絡んだ団体の発信である可能性は常にあります。そこまで調べて、情報を取捨選択し、情報から全体像を正確に構成する能力はわたしにはありません。

だからといって、何も言わずにこの現状を見過ごせるでしょうか。

わたしごときが秋保地区巨大メガソーラー建設について何を言っても。無力感を感じながら思いを述べます。なぜなら、この施設の建設は本当に危険だと思うから。

 

「太陽光発電」そのものに対する不安。

まず秋保地区巨大メガソーラー建設という個別案件ではなく、わたしが「太陽光発電」について日ごろ不安に感じていることを書きます。

1.太陽光パネルを廃棄する際の処理・その費用
2.発生する可能性のある有害物質の流出。

ほかにもいろいろありますが、わたしはこの部分が本当に不安です。

なぜ不安かというと……

 

たいへん遠回りな話になりますが。

太陽光発電についてのわたしの理解はごく限定されており……
まあいろいろ間違っているかもしれませんが、ここを厳密に語る能力はない。
なのでわたしの理解をごくごく大雑把に記しておくと、

国が再生可能エネルギーを推進し始めたのが2012年前後、
再エネ賦課金という「税の名前がつかない税金」を設定し、
さらに「固定価格買取制度」という新制度を設定して、
国民を太陽光設置に追い立てた。……追い立てた、という言い方が偏見であれば、
推進した、といいましょう。

その流れから、現在の太陽光のシェアになっています。
そして近年の電力量における太陽光のシェアが、

経済産業省のこのサイトでは
2021年度の再生可能エネルギー(=太陽光だけではない)で約20%

環境エネルギー政策研究所なるところのサイトでは、
2024年度の太陽光発電が約11%、

スマートエネルギウィークなるところのサイトでは
2023年の太陽光発電が約10%

日本の総電力量の中で、太陽光は10%程度のシェアでしょうか。
この数字が正確かどうかは確実ではありません。

 

太陽光発電自体が悪いわけではない。

枯渇すると言われている石油・石炭に代わるエネルギー源を探すのはたしかに必要なことだと思う。それが太陽光・水力・地熱などの再生可能エネルギーであることは必然だと思う。

しかしわたしが不安なのは、その太陽光発電の安全な運用のために必要な、調査、条件設定、チェック機能と罰則、それらがまったくおざなりなまま実行だけがばたばたと進行したように見える現状です。

肌感として、太陽光設置の周辺はどうもきな臭い。真面目な業者もいるとは思いますが、玉石混交という印象です。太陽光設備を設置する業者は今出来の小さな会社が多い。小さな会社は参入が容易です。それらが全部「太陽光事業で地道に稼いで何十年も会社を続けたい」ようには思えない。

太陽光発電の機材は、20年~30年は使うもののはず。
なので、その設置した会社が少なくとも最低30年は(設置主体の業務が10年、20年続くことを考えれば50年は)続く見通しがなければ責任がとれないのではないかと思うのに、資本金や従業員数などから、30年も続くかどうか不安な会社が多いのではないでしょうか。現に太陽光設置業者の倒産数は多いようです。真面目にやっていて力及ばす倒産したところもあるでしょうが、計画的な倒産もあるように思う。

根本的には、太陽光は参入に容易で、多大な責任を持つことなく利益を上げる金の卵として重宝されただけではないか?という不信感があります。それは業者もそうだし、政治家たちに対しても抱く感想です。そのせいで見通しが甘いまま話がバタバタと進んでいるのでは?と。

 

秋保に作られる予定のメガソーラーについての不安。

秋保のメガソーラーについてはもっと不安点は増えます。現時点で個人の太陽光もかなり増えているので、メガソーラーだけの問題ではなくなってきていますが。

メガソーラーはその名の通り、「メガ」な施設です。東京ドーム127個分。これがどのくらいかというと、600ヘクタール。……わたしはヘクタールの単位で言われると全くわからなくなるのですが、小学校の算数をやり直して何とか正解にたどりつきました。

600ヘクタール=縦2キロ×横3キロの長方形。

ちなみに個人差はありますが、普通に人間が歩くと1キロが約15分。ということは休みなく周囲を歩くと(平地にあるとして)周囲2時間半かかる土地の広さです。
この広大な土地の樹を全部伐採して、そこに太陽光パネルを敷き詰める計画。

樹が全部伐られて太陽光パネルに置き換わったところを想像してください。
心休まる緑の代わりにギラギラした人工物がびっしりになった姿を。

――もっと具体的に不安な点を上げれば次の4つになります。

1.太陽光パネル破損による有害物質の流出。それに伴う水源と温泉の汚染。
2.保水力低下による河川流域の水害の多発。
3.太陽光パネルと火事の関係。
4.事業会社の信頼性。

1.太陽光パネル破損による有害物質の流出。それに伴う水源と温泉の汚染。

1については確実に起こると思います。太陽光パネルは強化ガラスで出来ているそうですが、結局のところガラスなので、割れる・ヒビが入るなどは当然あるでしょう。原因は台風・雷・積雪・寒暖差による劣化・カラスが面白がって石などを落とすこと。カラスの被害がかなり多く、石の他にゴルフボールなども落とすそうです。この場所は近くにゴルフ場があるんですよね……。

30年。その間にどれほどのパネルが壊れることでしょうか。この広大な土地でその破損にそれほど速やかに気づけるものでしょうか。そんな人員が準備出来るものでしょうか。汚染されてしまえば、原状回復は容易ではありません。土にしみ込んだものをどうやって洗浄しますか。600ヘクタールの土地の。

一度それが起これば。名取川と広瀬川が影響を受けないとは思えないんです。仙台市と名取市の命の水である川が汚染されたら、死活問題になりませんか。それは当然想定し対策を立てておくべき問題だと思いますが、その影響を誰が計算し、調査し、確認しているのでしょう。

2.保水力低下による河川流域の水害の多発。

600ヘクタールの広い範囲の土地の樹を伐採し、その後は土の露出。当然パネルに保水力はありません。たしかに杉の保水力は雑木林に比べて高くないと言われていますが、パネルによって保水力がゼロになるのとは全く違うレベルです。

わたしが不信感を持つのは、何年後か、何十年後かにたとえば名取川流域で水害が起こり、被害者、死亡者さえ出たとして――それとメガソーラーとの因果関係が明確に繋げられない、ひいては誰も責任を取らないことです。もちろん原因は複合的でしょう。だが「遠因の一つでしかないよね」と逃げられるからこそ、そこを無視してしまうという流れを恐れます。

もっと近々の可能性は土砂崩れですね。ゲリラ豪雨が頻発している昨今、600ヘクタールの保水力がゼロになるということ。しかも斜面です。太陽光パネルという負荷がかかった土地の土砂崩れに対する対策はどのように計画しているのでしょう。

3.太陽光パネルと火事の関係。

太陽光パネルは熱を集める機材ですし、電気も通るものなので、火事の発火原因になる可能性は常にある。それ自体も心配ですが、それに加えて火事になった際の消火活動が不安です。

エリアが広く、しかも森の中なので、そもそも火元へ散水出来る距離に消防車が入れない可能性が高い。2キロ×3キロの土地で、消防車が自由に動ける幅の通路を確保するのか。「自由に」というのは、緊急の際に安全を確保しながら複数台の消防車が運用できるという意味です。水を汲む消火栓も必要ですよね。けっこうな投資になりますが。その通路にはパネルは置けませんし。

エリアの周囲が樹木に囲まれていて、もし山火事へと広がったら。山からの吹きおろしの風が燃え広がることがあったら、民家ももちろん、……秋保温泉がありますよね。そしてこの地域へのアクセスは、基本的に東側(仙台市中心部側)からは二口街道のみ。片道一車線の、広いとは言えない道路です。行楽シーズンに渋滞を経験した市民の方は多いでしょう?地元の方はいつもこの渋滞に巻き込まれて苦労されていると思います……

たしかに北は錦が丘、南は川崎に通じる道路もあります。でもそちらも道路はやはり片側一車線ですし、消防車、消防士の数がそもそも少ないですよね。

火事への対策はどう考えているのでしょうか。その対策を、説明会などでちゃんと説明出来ているのでしょうか。

4.事業会社の信頼性。

そして、以上のことを全て包括する不安点として、その事業会社がしっかりした会社なのかどうかわからないということがとても大きいです。

そもそもわたしがこの秋保のメガソーラー施設について最初に注目したのは、秋保メガソーラーの施設建設反対の署名を提出しているというニュースを見た時、市からの回答に「事業会社に連絡がとれておらず、実態が把握できない」という文言があったからでした。

……ええ?何を言ってるの?こんな重大なことを行なおうとしている時に、
連絡が取れないような会社に任せるつもりなの?

(こういう情報は、マスコミが正確な情報を報道をしているかどうかが一段目、
仙台市側が苦し紛れの回答をしたのではないかが二段目、
沖縄の事業会社が理由があって連絡が取れないのか、あるいは取りたくないのかが三段目、

三段階のハードルを乗り越えないと真実にたどり着かないわけで、頭から信じていいのかははっきりわかりませんが、)

本当に連絡が取れないとしたら、そんな会社は信頼出来ますか。

今回の秋保メガソーラー設備に反対している主要な団体の一つはこちらかと思います。

秋保再エネ問題連絡会

このサイトには事業会社は資本金3万円の合同会社と書いてあります。その情報の真偽がどこを見ればわかるのか、具体的な会社名はわたしには見つけられませんでした。これは会社名を具体的に挙げてはいけないものなのでしょうか。

一般的に言って、金額的に少なくとも合同会社は株式会社より設立のハードルが低いのは確かです。何かあった時の対応・補償どころか、そもそもこの大事業を安全にやり遂げる会社としての体力があるのか。不安になってしまいます。

会社の資金力は、人間で言えば体力。体力がほんのちょっとしかない人が、突然100キロマラソンに挑戦するとしたら。100キロマラソン挑戦は本人だけの問題ですが、これほど広範囲に影響を及ぼす事柄が、体力の足りない会社に十分に慎重に検討されることなく進められたら、……これは恐ろしいことといえませんか。

 

本当にいいのでしょうか、このまま計画を進めて。

つい最近、太陽光のパネルのリサイクルの義務化断念のニュースが流れたばかりです。リサイクルが出来れば安心というわけでは決してありませんが、リサイクルの義務化が出来ないほどリサイクルが難しい=廃棄の量が莫大なままということで、情報としては相当にマイナスです。

太陽光パネル リサイクルの義務づけ 政府 見直し検討を発表

太陽光パネルは現時点でも相当量になっています。現在の個人用の太陽光パネルの量でさえその廃棄時は一体どうなってしまうんだろうと心配でたまらないのに、それがメガソーラーの規模になれば……。処分の際には、パネルに含まれる有害物質の処理をしなければなりません。

そこに不法投棄の不安は常につきまといます。大量のパネルからの漏れ出る有害物質。想像すると気分が悪くなります。土壌にしみ込んだ有害物質は雨が降るたびにジリジリと地下へとしみ込み、水源に達しないと……誰が言えましょう。

考えれば考えるほど不安が増します。

政治家には近寄りたくないですが、秋保地区メガソーラーに関する市議と仙台市の質疑応答が載っているサイトがあったので(わかりやすかったので仕方なく)あげておきます。

仙台市議会議員 内藤りょうすけ氏 議会報告

……こういう記事はいつの時点の記事かが大事なんじゃないかと思うんですが、ネットニュースなども含めて、日付がない記事も多いんですよね。いつの記事かは不明です。

その他いろいろ。

秋保には、太陽光パネル製造工場建設の計画もあるそうなんですね……

こちらの方は↓こちらの方のようです。

秋保作並里山の未来を考える会

この動画に出て来る太陽光パネル製造工場建設の事業者の名前はCES合同会社。
(注・メガソーラーの事業者と同じかどうかは不明。)

ホームページもありますが、見てくれのいいホームページなどは少しお金を出せば作れるので、それだけでは安心できません。
内容を少し見てみましたが、リンクは切れたり循環したりしているなあ。内容は抽象的で薄いと感じました。検索に出て来るその他の情報も全体的に薄い。ぱらっと見た限りでは実績が見えない。安心は感じませんでした。

ホームページはアメリカ版・日本版・インド版で構成されています。公平に言えば、現時点でこの会社は、

真面目に太陽光事業に取り組んでいる海外の大規模な会社。
今出来の詐欺まがいの会社。

どちらの可能性もあり得ると思います。もしこの内容のサイトを作ってそれが実際と違った場合は、それだけで騙す気満々と判断するべきでしょう。載っていた電話番号を検索しても、まったく情報が出て来ないというのも実績のなさを感じさせる。

そして世界を股にかける会社のサイズとして、合同会社という形式はどういうことなのだろうか。

CES北海道1、CESいわき、CES宮城2など細かい会社(別会社)をたくさん作って責任範囲を出来るだけ小さくしている可能性。それはあり得ると考えます。

それにしても、仙台市に太陽光施設が多すぎる……

仙台市手続きが完了した開発事業(土地利用調整条例)

これを見て驚いたのですが、ここ10年くらいは太陽光関連施設ばかりですね……。
この多さに恐怖を感じます。今回の600ヘクタールの日本最大級のメガソーラー以外に、すでに開発され、出来上がってる(それよりも規模が小さいけれども、しかし)メガソーラー施設が、愛子、秋保地区だけで5、6か所はあるんですよね……

再生可能エネルギーは進むべき道だが、それと正しく運用されているかはまったく別問題。
利権が得やすい場所にみんなが群がっていて、そのために国土が食い荒らされているのではないかという懸念がぬぐえません。

全国再エネ問題連絡会。

こちらは全国規模。ここの主要人物として活動されている安藤哲夫さんが秋保でも連絡委員会会員になってくれています。情報共有が出来ているのは何にせよいいこと。

釧路も阿蘇も心配です……。

今は釧路湿原のメガソーラーの施設も心配です。すでに設置作業が進んでいる。

湿原はとても繊細。湿原の泥炭の回復は1年で1ミリだそうですから。一度破壊したらその後の復元はほぼ不可能といっていいと読んだ記憶がある。だから尾瀬では「絶対に木道から外れないように」としつこいほどに注意書きがあるんですよ。なぜ国立公園でそんな環境破壊を行なう事業が行われるのか。国立公園を設定している意味がないでしょう。

阿蘇のことも心配。
阿蘇もあの緑の。雄大な山並み。草千里の馬は今日も人を乗せて駒舘山を一周しているんだろうな。また訪れたい場所の一つ。あそこも美しい水を生む水源地ですね。
そこがもしソーラーパネルに覆われたらと思うと。心が痛む。

 

大切な秋保。

若い頃から、秋保には何度行ったかわかりません。ちょうどいいんですよね、アグリエの杜でちょっと買い物するだけでもいいし、一日遊ぼうと思えばそれも出来る。秋保大滝は大好きです。滝の神さまが水を守ってくださっている。売店のソフトも美味しい。

最近はオシャレなカフェやレストランも増えました。手工業の伝統があり、こけしや独楽、最近はガラス工房もいくつかあります。ワイナリーも出来た。「さいちのおはぎ」は全国区となり、遠くの親戚が来た時は連れて行って欲しいと言われた。勝負の神さま、秋保神社。秋保の奥の方に咲く足軽桜。二口渓谷。あ、そうそう、万華鏡美術館。

最初に挙げられるべき温泉に言及していないのは、……わたしが正直温泉に興味がないからです。でも一般的には秋保といえばまず温泉ですよね。

このように観光地としてのポテンシャルはとても高い。
しかし秋保の魅力は――豊かな自然に支えられてこそだと思います。

わたしは秋保に、美しい緑でいて欲しい。
樹が伐採されて、ギラギラの太陽光パネルが並ぶ。その秋保を愛せますか。

わたしは、秋保地区に計画されているメガソーラー施設に反対です。

 

 

仙台空港の駐車場を太陽光パネルで覆うというニュースを見ました。
第一印象では比較的いいアイディアではないかと感じました。自然破壊も水源汚染も水害被害もとりあえず関係ない。メンテナンスも火事も、山深い場所よりは目が届きやすいでしょう。パネルの処理の問題はそのままですが、パッと見の印象として。

とはいえ、関係者の方がその印象だけ動くことは勘弁していただきたいですが。わたしがこの1日で思いつかないデメリットもあるでしょう。真夏の気温上昇とか。除雪の大変さが増すとか。そういうのを専門家が検討して、経済性だけではないもろもろを解決した上で慎重に進めていただきたいです。

 

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