突然、国語辞典で任意のページを開きその時左上にある単語から始めて、およそ2000字くらいで書くというチャレンジを時たまやっております。書く前はネットで材料を調べたりしない。あやふやな記憶でも、まずは書いてしまって書き終わった後に答え合わせをする。
しかし国語辞典というものは総じて載っている単語数が多い。……辞典なのだから当たり前ですが、膨大な数。その中には当然、わたしが知らない単語もあり……
なんですか、「分留」って!
自慢じゃないけど、化学は数学と並んで最大苦手教科の一つでした。化学の内容で覚えていることは何一つない!……うーん、何一つは大げさだけど、ほとんどない。ここから出発して何か書けるのでしょうか。はなはだ不安です。
分留:化学用語。沸点の異なる液体の混合物を熱し、蒸留によって、その沸点の低いものから順次に分離すること。分別蒸留。
お題は「分留」。よーい、どん。
化学用語で分留というものがあるそうです。「沸点の異なる液体の混合物を熱し、蒸留によって沸点の低いものから順に分離すること」。うん。意味はわかります。が、具体的にどんな時に使うものかわからないんだよなー。
そもそも「液体の混合物」といって思いつくものがない。たとえば、今思いついたのは――水割りでした。水割りはきっと、水とアルコールの混合物ですよね。
分留という方法を使えば、水とアルコールに分離できるはずです。しかしアルコールの沸点が何度なのか。文系なわたしはそれがわからない。水は沸点が100度。それより低い?高い?料理で「一煮たちさせてアルコール分をとばす」という方法があるからには、アルコールの沸点は水よりも低い可能性が高い。
しかしそもそも水割りがアルコールと水の混合物だという前提は正しいのでしょうか。この場合のアルコールは、まあウィスキーを例にとると、ウィスキーそのものも加水されていて、そもそも最初から「水割り」といえないことはありませんよね?
普通のウィスキーのアルコール度数は、たしか20度前後?ビールは8度前後?日本酒は15度内外?スピリタスが96度?ラムの「レモンハート」は75度?
ほぼ下戸のamairoは実際に数多くのお酒を飲んだ経験はありません。そのわりにお酒の名前はかなり知っています。それはひとえに古谷何とかさんが描いたマンガ「レモンハート」から得た知識。最近は読んでいませんが、地味にずいぶん長く続いたマンガです。50巻くらい出ていたんじゃないかなあ。多分まだ継続中。
主人公は、人通りの少ない場末の港地区で「レモンハート」というバーを営む中年男「マスター」。お酒について知るために世界中を回った人物で、その知識は誰にも負けないという設定です。
外観は場末のさびれたバー、しかし一歩ドアを入れば酒を愛し、酒に愛される人々の天国。たくさんのお酒と趣味の良いインテリアを背景に、地味で真面目なマスターが、話したい人には良い聞き役に、お酒の知識を得たい人には蘊蓄で応対してくれます。
そこに出入りするのが常連のフリーライターの松ちゃんと、謎の男、黒メガネのメガネさん。四六時中入り浸り、マスターと共にお客さんたちの打ち明け話に加わるか、3人でのたわいのない話に興じる。
そんな場所を舞台にして繰り広げられるお酒の蘊蓄マンガです。この蘊蓄がかなり多め。お酒の雑学を知りたい人には最適のマンガ。
わたしのお酒の知識はほとんどここからきています。しかし蘊蓄はかなりたまったけれども(そしてだいたい忘れたけれども)下戸なので実践は全く伴っていない。
本当はお酒をきちんと飲み分けられる、粋な大人になりたかった。でもアルコールを分解できる肝臓を持って生まれてこなかったのだから仕方がない。まあお酒は飲めない方が酒代はかからないですしね……
しかしイタリアのトスカーナでもキャンティを飲めず、アイルランドのダブリンでもギネスを飲めず、新潟に行っても越乃寒梅も飲めない。人によっては「もったいない!」の最上級ですよね。テレビの旅番組とか見ててワイナリーなんかでテイスティングをしているのを見ると、うらやましいと思います。旅の楽しみが増えるんだろうなあ。くう~。
しかし唯一、旅先でおいしいお酒を飲んだことがあります。それははるかな昔、沖縄で泊まった民宿でのこと。民宿で夕飯をいただき、その後部屋でゴロゴロしていると突然部屋に電話がありました。正直驚いたんですよ。何か緊急事態が起きたのかと思った。
が、それは民宿のおかみさんからの食後のお茶のお誘いの電話でした。そんな経験はそれまでなかったので、戸惑いながら居間へ降りていくと、おかみさんがいてお茶を淹れてくれました。その後、他の泊り客も合流し、4、5人でお喋り。
「泡盛飲んでみます?」おかみさんが訊いてくれました。ほんのちょっとだけ……ロックが美味しいとのことで生意気にもロックで。
おいしい!泡盛は癖が強いと聞いていた気がするのに、すうっとすっきり飲める。水みたい。今となってはその泡盛の名前を忘れてしまったのが悔やまれるのですが、地元産であまり出荷量の多くないお酒とのことでした。
ちなみにこの時、わたしは沖縄のことを色々聞きました。近くの観光地や名産などの話も聞いたなかで、一番覚えているのは在日米軍の金武演習場のこと。
「演習で国道の右から左に砲弾が撃たれるんですよ」
「……危ないですよね?」
「だから演習中は国道は通行禁止。音もものすごいし。この辺でも聞こえますよ」
この話は衝撃的でした。国道が通行止めになることなんて、よほどの災害、崖崩れの時くらいにしか発生しないものだと思っていた。(※この情報については後述)外国の軍隊の都合で国道通れなくなるという事態。自分の家の近くの国道を思い浮かべました。もしあの道路が月に何回か、週に何回かある演習の時に通行禁止になってしまったら……。
これがわたしの最も個人的な「沖縄問題」。
美味しい泡盛と一体になった記憶です。
答え合わせ。
おお。ほぼちょうど2000字。でももっといったと思った。
では答え合わせをしてみましょう。
そもそも分留ってどんな時に使う単語なの?
代表的なものは石油の精製。
……ああっ!頭をかすめたのに!石油の精製も。でも石油はある一定の条件におけば、重さで自然に分離するのかなと考えてしまった。だって重油とか軽油とか、重さの名前がついてるでしょう?灯油と。確か代表的なもう1つあったような……。4つくらいに分かれた気がする。
これも調べましたが、わけがわからないー。
天然ガス
ナフサ
灯油・軽油
重油
残油
に分かれていると書かれていたけど、ナフサって何かわからないし、灯油と軽油が別なものなのに一緒に扱われているのが納得できないし。――細かく分ければ10余りにも分かれるようなのですが、お手上げ。残油の中にタールやアスファルトも含まれるようです。
そして「分留」って蒸留と違うんですか?という疑問ですが、……これ、何種類かの液体が混じった混合物において、蒸留が複数繰り返されるということでいいのかなあ?ただ、国語辞典に載っていた意味だと「複数の」という意味はあんまり感じないんですよね。むずかし。
アルコールの沸点は?
これも一言ではいえないようなんですよねえ……
一口にアルコールと言ってもいろんな種類があり、種類によってそれぞれ沸点が違うらしい。種類というのは、たとえばエタノールとかメタノールとか、そういったものですね。はるか昔に授業でなんかやりましたね。エタノールは沸点が78.32度だそうです。やはり水より低い。
いろいろなお酒のアルコール度数は?
ウィスキー:40度前後
ビール:5度前後
日本酒:16度前後
ワイン:14度前後
ウィスキーは全然外れ、ビールは思ってたより低かったですね。よく考えればウィスキーは蒸留酒でアルコール度数が高いので、20度ってことはないか。
スピリタスはポーランド産のウオッカです。世界一強いお酒と言われ、96度で正解。しかし96度ってほぼ純粋なアルコール……!蒸留を70回も繰り返すそうですよ。これは火を近づけるだけで燃えます。
ラムの「レモンハート」は75度で正解。正確には75.5度。まあ当然amairoは飲んだことはありません。
古谷何とかさん、なんていって申し訳ない……。
マンガ家さんの名前を度忘れしました。大変申し訳ない。古谷三敏さんでしたねー。1955年にデビューし、その後は手塚治虫や赤塚不二夫の主要なアシスタントをしていたそうです。御年84歳。
マンガの名前も正確には「BARレモン・ハート」。
BARレモン・ハート : 35 BARレモン・ハート (アクションコミックス)
50巻というのもサバの読みすぎでした。既刊は現時点で35巻。もっと出ていると思った。1巻と35巻ではかなり絵が変わっています。
そういえば古谷三敏は実際に「BARレモン・ハート」という実店舗も持っているんですよね。孫がバーテンダーを勤めているそうです。
このマンガ、ドラマにもなっています。
BARレモン・ハート SEASON1&2 DVD-BOX [ 中村梅雀 ]
のんびりゆったりとした雰囲気のドラマだったなあ。梅雀のマスターは外見的にはマンガとだいぶ違うんですが、雰囲気はぴったりでした。
どうもわたしの話はマンガへ帰着することが多い。
沖縄の民宿の思い出は。
昔の旅ノートを引っ張り出して来て、見てみました。
泊まった民宿は万座毛のすぐそばの「万座荘」というところでした。ネット上で検索するとページが1つだけヒットします。レンタカーで行って、坂になっている駐車場にびびった記憶があるから、ここで間違いないと思う。まだやっていらっしゃるのだろうか。わたしが泊まったのは相当昔のことだけれども。
いただいた泡盛は「萬座」でした。ブランドは存続していて、今はamazonで買えるんですね。年月の流れを感じる……。
濃厚で甘みのある泡盛だそうです。飲めないわたしが美味しく飲めたんだから、きっととりわけ美味しいお酒のはず。あ、その他にオリオンビールもごちそうになっておりました。
この時のお茶会~飲み会は21時半頃から始まって、解散したのはなんと午前1時頃だったようです!そう書いてありました。相当話がはずんだんだなー。泊り客はその日、4人だったようです。「すっごくすっごく楽しかった!」と書いてました。なつかしいなあ。
「国道」を挟んだ砲撃訓練について。
これはおそらく情報が間違っています。正しくは「県道」ですね。わたしの記憶のなかでは国道になっていました。キャンプ・ハンセンの話。
恩納岳を目標に大砲を打ち込むので、金武側には木が生えていないらしい。地域の名前がついた大事な山だろうにな……
金武を「きん」と読むのもこの時に初めて知った。沖縄と北海道の地名は珍しいものが多いですよね。
今回のお題は「分留」でした。
2000字の方は比較的苦労しなかったですが、答え合わせの方に苦労しました。やはり自分は骨の髄から文系なんだということを再確認する。
分留→アルコール→「BARレモン・ハート」→旅先での美味しいお酒の思い出→沖縄と変遷しました。なんか沖縄旅行の思い出を書きたくなっちゃったなー。当時、わたしは「琉球」に凝っていたんですよね。
なので、「琉球の風」も読んだし、りんけんバンドも好きだった。ゴーヤの苦さに口が曲がりそうになった。ああ、こんなことを書きたいな。
書くかどうか、もうちょっと考えます。もしかしたら書いた場合には、わたしの思い出にお付き合い下されば幸いです。
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