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◎小村雪岱。グラフィック・デザイナーの先駆けだそうです。

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先日のぶらぶら美術・博物館で小村雪岱展についてやっていました。わたしのほぼ知らない画家。「こむらせったい」と読むそうです。現時点でわたしが小村雪岱について語れることは何にもないが、忘れないようにおぼえ書きとして書いておきます。

 

この動画を見ても小村雪岱のことはほぼわからないが……

 

若干、こちらの方がいろいろ。線が細い絵なので、この距離だとどんな絵であるかわかりにくいけど。

こちらのサイトで絵がきれいに見られます。

【開幕レビュー】「意匠の天才」、グラフィックデザイナーの先駆者 精緻な仕事ぶりに感嘆 小村雪岱スタイル展 三井記念美術館

構図の大胆さに目が行きます。シンプルに、しかし繊細に描かれた線。

 

赤瀬川さん(と山下裕二)の本は日本美術を面白がれる本です。

三味線と小鼓の絵「青柳」は見たことがあるなーと思ったけど、何のことはない、以前のぶらぶらで山下裕二が好きな絵として紹介していた絵だったのでした。

山下裕二は大学教授で、美術史家。日本美術を広く普及するために……というと硬すぎか。日本美術のいろいろを面白がっている人。その面白みをわかりやすく、本やらテレビやらで拡散し、日本美術って面白いんだ!とみんなを洗脳しようとしている人。

わたしは赤瀬川原平さんとの共著でこの人の存在をはっきり認識しました。


日本美術応援団 (ちくま文庫)

わたしは赤瀬川さんが好きだったんですよねえ。一応元々は「前衛美術家」だった人なのですが、その言葉からイメージされるような尖ったところは欠片もなく――わたしの知らない若い頃は尖ったこともたくさんやっていて、裁判の被告にもなったこともあったようなんですが――親戚の優しいおじさんみたいな人でした。数年前に亡くなってしまいましたが。

その赤瀬川さんが「若い頃は西洋絵画にしか興味がなかったが、年をとってから日本画に興味が出て来た」といって、日本美術関連の本も何冊か出版しています。

この本が面白かった。


赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の1


赤瀬川原平の日本美術観察隊 其の2

其の1が特に面白かったです。取り上げる美術品の選択が独特なので、有名な画家の中でも全然聞いたこともない作品も多く、幅があって良かった。

……どんどん小村雪岱から話がそれて行きますね。要は、わたしの好きだった赤瀬川さんが日本美術関連でコラボしていたのが山下裕二で、その山下裕二が推しているのが小村雪岱だという話。山下裕二は色々な人を推しているので、推しているのは小村雪岱だけではないですが。

 

グラフィックデザイナーの先駆け(らしい)。

小村雪岱は明治20年に生まれ、昭和15年に亡くなったそうです。西暦でいえば1887年―1940年。

とすると、活躍時期は大正ロマンくらいということですかね?もう少し後でしょうか。大正ロマンの代表的な画家、竹久夢二とはほぼ同年代です。小村雪岱の仕事として泉鏡花の本の装丁が代表的なものの一つのようですが、泉鏡花と大正ロマンはそんなに繋がってないみたい。でものちに大正ロマンといわれる時代の雰囲気は、大なり小なり雪岱に影響を与えたことでしょう。

雪岱は仕事の幅が広かったようです。本の装丁。挿絵。舞台の背景デザイン。それに木版画、肉筆画など多数。

あ、一番多くの人にピンとくるのは、資生堂に入社して行なった仕事だと思います。「資生堂」の文字といって思い浮かぶ、独特なデザインの文字はありませんか?あのレトロで女性的な書体。

新設されたばかりの意匠部のエースとして入社した雪岱は香水瓶のデザインなどに関わり、そして資生堂の書体の基礎を作ります。雪岱が資生堂にいたのは5年ほどで、書体の完成時にはいなかったそうなのですが、雪岱の案が土台にあるらしい。100年近くもの間使われ続ける美しい書体です。

よく考えると日本画家が書体を生み出したというのは珍しいことなのかも……。日本画についての詳細な知識はわたしはほとんどありませんが、レタリングと肉筆画はかなり遠いところにある技術だと思う。方向性が違う。まさにグラフィックデザイナーの先駆け。

まあわたしはグラフィックデザイナーの先駆けは尾形光琳だと思っていますけれども。大変広い意味で。

 

数を見てないので、まだ正体不明。

小村雪岱の作品をほんのわずかしか見てないので、あんまりこんな画家、というイメージが固まっていない。数を見るのはやっぱり大事。

絵を挙げられないのが残念ですが、さっき上げたサイトに従って見てみると……

【開幕レビュー】「意匠の天才」、グラフィックデザイナーの先駆者 精緻な仕事ぶりに感嘆 小村雪岱スタイル展 三井記念美術館

泉鏡花「愛染集」の表紙見返し。

これでもか!というくらい遠近法を効かせている絵。白から濃いグレイの灰色の濃淡のバランスがいいんだろうなー。そしてそこに手前から奥に走る堀のくすんだ青。小さく描かれた女性に赤の差し色をするという選択もあったと思うが、それだとありきたりになっちゃうのかな。

なお、この絵でわたしが疑問に思うことが雪の降り方。この均等に、等間隔に描いた雪の粒は意識して選んだことだろうか。ここまで均等だと選んだのだと思いますが、これを不均等に、ランダムに描くことでもっと魅力的になったということはないか。それともこの絵はあくまで均等の魅力なのか。雪の粒の大きさで強弱はつけているように感じる。

わたしはどっちかというとシンメトリーよりアシンメトリー、レギュラーよりランダムに惹かれるので、ランダムな雪の降り方のこの絵も見てみたい気がする。デジタルでもいいから、2つ並べて見せてくれるとうれしい。全然違う絵になるだろうな。

木版の「青柳」。

タイトルの青柳は手前に広い範囲にわたって描かれてはいるけれども、ほとんど存在感はない。人が見るのは座敷の風景。

これ、アングル的にはおそらく嘘なんですよね。視点は隣の棟の2階から見ているように思えますが、そこから見て畳2畳分奥まで座敷が見えるはずはない。それがすっきり見えている。畳の青々しい色も手前から奥まで均等に光があたっていて、それもフィクション。この人はフラットな画面を好んだ人なんですね。

この画面も色味が抑えられています。唯一の赤は2つの小鼓の紐。この紐は調緒(しらべお)というらしい。あ、右下にも赤い色が使われているところがありますね。これは何かな。今一つ様子がわからない部分です。茶室のにじり口のように見えないこともないですが……

泉鏡花「日本橋」装丁。

装丁だとカラフル。カラフルというほどでもないか。基本は淡彩ですね。蝶々の色使いにレトロさを感じます。向こう岸の蔵への船着き場?の形が微妙に変わって、じーっと見てるとなんだか可愛く見えてくる。

線がきれいです。全ての線をほぼ同じ太さで描いている。この線は雪岱の武器だったんじゃないでしょうか。何で描いているんだろう……

 

まだ手ごろな本はあまり出ていないようです。

小村雪岱を概観出来る本は今のところ数少ないようです。もう少ししたら(人気が出たら)何冊か出るんでしょうけどね。

目下、一番手ごろなのがこれでしょうか。


意匠の天才小村雪岱 (とんぼの本) [ 原田治(イラストレーター) ]

安定と信頼のとんぼの本シリーズ。画像もおそらくきれいなはずです。他と比べれば値段も手ごろな方。一冊目はこれがいいんじゃないかなー。

もう少しお値段は張るけど、こちらも良さそう。

 


小村雪岱 物語る意匠 (ToBi selection) [ 大越久子 ]

 

文筆家だとは思ってなかったが、雪岱は随筆も書いたんですね。


日本橋檜物町 (平凡社ライブラリー)

画家も文章が上手い人は上手い。もちろん上手い人が上手いのはどの業界でも同じでしょうが、画家の文章は背後にその作品があることで、言葉を作品が自然に補完してくれる、色付けしてくれるという側面があります。味わい深く見えてしまう。

平山郁夫なんかも相当文章を書いてますね。多く旅をした人なので、絵とともに文章を読めるのがとても良かった。中公文庫で「西から東にかけて」という本を持っています。


西から東にかけて―平山郁夫画文集 (中公文庫)

安野光雅の「旅の絵本」シリーズも好き。これはほとんど文章はないけれども。


旅の絵本 日本傑作絵本シリーズ / 安野光雅 アンノミツマサ 【絵本】

あ、「芸術は爆発だ!」という台詞や「太陽の塔」で有名な岡本太郎ですが、この人は意外にも若い頃書いた文章はかなり明晰。頭のいい人だったんだろうな、と思います。美術論でけっこうコムズカシイ系統ですが。


美の呪力 (新潮文庫) [ 岡本太郎 ]

……なんだかまた話がずれてきましたが、画家が書いた文章もなかなかいいという話で。

 

小村雪岱。

この時代の画家はこれから来そうな人がたくさんいそうな気がします。こないだの田中一村もそうですが、神坂雪佳、小原古邨なども面白そうなんですよねー。もっと他にもいた気がする。この頃の画家はなんというか、可愛げのある作品が多い。

これらの画家も気分が盛り上がった時にいつか書きときたいと思います。

 

 

 

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