いろいろ徒然

◎星の名前。秋の星座とギリシャ神話。

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秋です。秋の星空は他の季節と比べて

地 味

です。地味な理由の第一は、明るい星がないこと。全天で21個ある一等星のうち、秋の夜空にあるのはみなみのうお座のフォーマルハウト、一つだけです。

理由の第二は特徴的な星座がないこと。秋の星座で目につくのは特別に意識しても秋の大四辺形くらいですかねえ。大四辺形は星座じゃないし。秋の大四辺形はペガサス座の星3つとアンドロメダ座の星1つで構成されるのですが、アンドロメダ座はともかく、ペガサス座はなぜか馬の上半身というか前半分だけが星座とされていて、とても疑問です。本来後ろ半分があるべきところはアンドロメダ座になっているので。これ馬の形じゃないだろう。

 

フォーマルハウト。意味は「大魚の口」。

秋、南の空に一つだけある明るい星がフォーマルハウト。みなみのうお座の一等星です。ややこしいことに、うお座はうお座で別にあり、フォーマルハウトがあるのは「みなみのうお」座。しかし暗い星だけで構成され、また周りにある星も暗い星ばかりだったため、星座の繋がりが一定せず、歴史的には隣接する星座と組合わされたり、引き離されたりしたそうです。

響きはとてもきれいなフォーマルハウトですが、意味は大魚の口。あんまりロマンチックではない。魚の形の、口の部分に位置しているからですね。隣接してみずがめ座があるのですが、水瓶からあふれ出る水を飲んでいるのが南の魚とされます。なんとなく納得してしまいそうですが、冷静に考えれば魚は水を飲まないだろうとツッコミを入れたい。

 

みなみのうお座のギリシャ神話。

実は……ない。シリア地方の神話としてはないわけではないようですが、ギリシャ神話としては上記の「水瓶から水を飲んでいる」ということしか顕著なエピソードはないようです。

神話も作れないくらい地味ならば、周りの星も含めて、もう少し特徴的な星の繋がりはなかったものだろうかとよく思う……。まあ星座なんて個人の考えで決められるわけでもなく、それなりに歴史的な理由もあっての現在なのですが、もうちょっと万人が納得出来る形はなかったのか。

納得出来る形だと三角座とか四角座になるしかなかったのかもしれませんが。ちなみにさんかく座は実在します(驚)。←そんなこといったらみんな三角になるのではないかと思う。

 

秋の大四辺形≒ペガサス座のギリシャ神話。

明るい星はないのですが、天頂近くにあること、きれいな四角形を描くこと、で秋の大四辺形は見つけやすい星の繋がりです。前述のように、この四角形がペガサスの胴体の前半分に当たります。一応馬の頭と前脚はそれっぽい形なのですが、3等星や4等星が多いので普通の住宅地ではあまりわかりやすくはないだろうなあ。

ペガサスは翼の生えた馬、ゲームやアニメなどでもよく出て来るキャラクターですね。ギリシャ神話ではメデューサ(髪が蛇で、あまりの恐ろしい姿に見た者が石になってしまうと言われた怪物)が首を斬られた時に、その血しぶきの中から生まれたメデューサの息子とされています。

怪物の息子なのだからペガサスも怪物の眷属のはずなのに、扱いは善玉ですよね。見た目もかっこいいし。これはけっこう例外的。

そのペガサスを捕らえて自分の馬にした若者ベレロポーンは、そのおかげで数々の武勲をたてました。ベレロポーンは慢心し、天へと昇ろうとします。それを不快に思った大神ゼウスがベレロポーンがまたがるペガサスのもとへ虻を送り、刺されたペガサスは驚いてベレロポーンを振り落とします。ベレロポーンは地上へ落ち、ペガサスはそのまま天へと昇ってペガサス座になったといわれています。

おそらくギリシャ神話以外でも翼の生えた馬の神話伝説はあるのではないかと推量しますが、はっきりしたことは知りません。中東にはアッシリアの有翼牡牛像はありますね。

 

アンドロメダ座のギリシャ神話。

ペガサスと大四辺形の星の一つを共有するのがアンドロメダ座です。アンドロメダ大星雲もあるし、たまに耳にする名前ですが、これは何かというと女性の名前。エチオピア王家の王女の名前です。この場合のエチオピアは多分当時の古代ギリシャの人々が勝手に空想したもので、現実の歴史上のエチオピアとはほとんど関りがないと思われます。「蝶々夫人」における日本のようなものでしょうか。

このアンドロメダを主役とする(?)エチオピア王家の神話はギリシャ神話の中でも大きななものの一つ。この話の中の登場人物で星座になっているのは、アンドロメダ座・ペルセウス座・カシオペア座・ケフェウス座・ペガサス座・くじら座です。

昔々、エチオペアの地にケフェウスという王様がいて、彼の王妃はカシオペアという名前でした。彼女はことあるごとに「海の精たちよりも自分の方が美しい」と自らの美貌を自慢します。この自慢が海の精、ネレイスたちの怒りを買いました。ネレイスたちは海を治める海の神、ポセイドンにカシオペアを懲らしめてくれるよう訴えました。ポセイドンは、カシオペアに娘・アンドロメダを怪物の生贄に捧げるよう命じます。

生贄にされるため、海岸の岩に鎖でつながれたアンドロメダ。沖には海の怪物がその姿を現し、アンドロメダに向かって一直線に向かってきます。怪物の牙がアンドロメダに届こうとしたその刹那、――天馬ペガサスに乗った英雄ペルセウスがたまたまその近辺の空を通りかかりました。ペルセウスは別の場所で別の怪物、メデューサを退治してきた帰り道。ペルセウスは怪物に気づくと、手元にあったメデューサの首をその目の前に掲げます。メデューサは髪が蛇で出来ていて、その恐ろしさに、見たものは石になってしまう妖怪。

怪物はメデューサの首を見た途端石になりました。アンドロメダは間一髪救われ、のちにペルセウスと夫婦になって幸せに暮らしました。

――というお話なのですが、ここにはいろいろとツッコミどころがある。最大のツッコミは、英雄が、あわやというところにそう都合よく通りかかるか!というところです。しかもメデューサ退治の帰り道に。

例えていえばオオタニショウヘイが球場帰りに交通事故から子どもを守った、というような。それでもオオタニは年間約160試合×活動年数チャンスがあるわけですが、メデューサ退治なんて後にも先にも1回しかないんですよ!

自慢したのがお母さんなのに、生贄になるのはその娘というのも理不尽。……これはまあ本人をあっさり殺すより、自分の子どもを奪われる方が地獄の苦しみであろうということで納得出来るのですが。ギリシャの神様って人間を罰するためにその子を殺すとかよくやるんですよね。人間性がわかってるというか……。

わたしがこの物語で一番疑問なのは、王であるケフェウスは一体何をやっているのかということです。カシオペアはキャラが立ってる。アンドロメダとペルセウスは一定の役割を果たしている。が、ケフェウスはまったく影が薄い。薄いのは薄くてもいいのだけれど、ちゃっかりケフェウス座という星座になっている。この人が何故星座に?不思議。

カシオペア座は北極星を探すのに使われる星座で、Wの字型が特徴的な、おそらく北斗七星の次くらいに有名な星座ですね。神話では残念な人。理科ではたしかこういう話は習わなかった気がするのですが、こういうお話付きなら記憶に残りやすくなったのでは。

ちなみにくじら座という星座もありまして、実はこれ、アンドロメダを襲おうとした怪物のこと。なんでクジラが怪物?と疑問だと思いますが、これはちょっとややこしい話です。

古代ギリシャでは海獣類(クジラやアザラシなど。怪獣ではない)をケートスと呼んでいました。これは本物の、現実のクジラ。しかし神話の文脈上では「海の怪物」という意味でも使うことがありました。

それはクジラそのものではなかったのですが、多分日本に西洋天文学が入って来る際に辞書を見たら「ケートス=海獣:クジラなど」となっていたんでしょうね。海獣座じゃわかりにくいから……という親切心でくじら座と名づけたという想像が働きますが、関連する神話などを知っていたとしたらくじら座とは名づけなかったと思われます。

たしかにクジラは巨大で畏怖を感じさせる生き物ではあるけれども……日本ではとりわけクジラが身近だったので、怪物扱いになるのは違和感がある。くじら座と名づけるならまだ海の怪物座の方が素直で良かった。

 

秋の星座の星々。

秋特有の、という意味では秋の大四辺形が一番目立ちます。その次はいつも天にある北斗七星とカシオペア座。カシオペア座の自慢から始まるエチオピア王家の神話は、星のギリシャ神話の中でもなかなか大きな話。登場人物も多いしね。何で星座になっているのか今一つ理解に苦しむケフェウス王も入れて。

ただ明るい星が少なく、暗い星が多い星座ばかりなので、見ただけで見つけるのは難しいと思います。とにかく大四辺形を見つけ、そこから、この方向に馬の頭があって、逆側にアンドロメダがあって、その足元にペルセウス座が、という見つけ方しかないと思う。

カシオペア座は簡単ですね。特徴的なWの字型は目につきます。もしわからなければ、北斗七星から北極星を探し、北極星の周りを探すとW字型が見えるでしょう。自慢の罰として椅子に縛り付けられたまま星座として吊られているともいわれますが、――そうなら何の罪もないのに岩に縛り付けられたアンドロメダは何の罰なのだ。かわいそうじゃないか。

地味でさびしい気がする秋の星空ですが、それだけにフォーマルハウトの輝きが愛しい。でも秋の夜空は人生であまり見るチャンスがなかった気がしますねえ。秋の長雨などで、気象的に天体観測にちょっと向かない季節なんですよね。

 

 

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