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◎美術を楽しく見るためには、好きなジャンルと出会うのが大切。西洋美術・バロックその後の美術、写実主義というか、写実的な絵画。

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バロックと印象派の中間は(わたしにとって)謎の時代。その間を、

〇バロックっぽくないバロック期。

〇ロココ。

〇新古典主義と、その前提としての古典主義。

〇ロマン主義。

この4つに分けてみました。

そして心置きなく印象派!へ移ろうと思いましたが、……どうも後ろ髪ひかれる気がする。見残している気がする。それが、おそらく写実主義。

 

写実主義とはなんぞや?

目に見えるものを目に見えるままに描こうというジャンル。空想などが入る余地がなく、「見たことがないから天使は描かない」という主張。空想でもなく、神話でもなく、多分見たことがないから王侯貴族も描かず、描くとすれば身の回りにいる人々。

写実主義の代表者として挙げられるのはクールベだそうです。

写実主義の代表、クールベ。

わたしとしてはまったく馴染みがない画家です。いや、名前はなんとなく……。でも絵はなあ。地味な絵、というイメージしかない。

クールベ「出会い(こんにちは、クールベさん)」

Gustave Courbet - Bonjour Monsieur Courbet - Musee Fabre.jpg

クールベには「オルナンの埋葬」「画家のアトリエ」など、他の有名作もあるそうなのですが、そちらの絵は色合いも暗く、人数も多く(←あまり群像図に興味がない)、どうも覚えられそうな気がしない。覚えられるとしたら、わたしはこの絵かも。

この絵のタイトルの「出会い(こんにちは、クールベさん)」ですが、右側のリュックサックからイーゼルがちょっとのぞいている人物がクールベ本人らしいです。左側で手を広げているのがパトロンの人。

パトロンに対して画家の態度は不遜ではないか?という意見や、財力は芸術に経緯を払うべきだという画家の考え方が反映されているとか、いろいろ言われます。

クールベは万博に応募した自作の十数点のうち、何点かは合格したのにも関わらず自信作が落選したことに怒り、自作を万博から全部引き上げました。そして万博の向こうを張って、万博会場のすぐそばで自分の絵だけを並べた会場を作り展覧会を行なったそうです。

そのくらい向こうっ気の強い人ですから、「出会い」の絵も画家はもしかしたらふんぞり返ってるポーズなのかもしれません。まあでもこの絵だけでそこまで見るのは恣意的か。

クールベの取り上げたテーマは幅広く、その中には相当ヤバイものも含まれています。物議をかもそうと確信的に描いているところがアブナイ人。

わたしの中では傲岸不遜、気の強さ、という意味でゴヤのイメージと似通います。

 

写実といえば、のバルビゾン派。

フランスのバルビゾン村に画家が集まり、芸術家村の様相を呈しました。そこで活動した何人かの画家のうち、有名な人が、

コロー

ミレー

この2人です。教科書にも載ってましたね。実はクールベもバルビゾン派と交流があり、近い存在だったそうです。……クールベもバルビゾンに移住してくれていたら全部バルビゾン派になって、話は簡単だったのですが。

バルビゾン派は周囲の森や農村の風景など、なんということのないテーマを描きました。現代では何の疑問もない風景画ですが、それまでの絵画では、寓意や風刺を含まない、平凡な風景そのものをテーマに描くことは珍しかったのです。

 

森の人、コロー。

バルビゾン派といえばコローの森の絵が思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。ジャン=バティスト・カミーユ・コロー。森の絵を多く描いた画家です。

コロー「モルトフォンテーヌの思い出」

Jean-Baptiste-Camille Corot 012.jpg

美術の教科書に載っていたこの絵を覚えていますが、なんて地味な絵なんだろうと……。今見ても地味なのですが。

でもこれはおそらく実際に見るともっと魅力のある絵なんだと思います。多分光の使い方が。印象派ほど光を前面に出すわけではないけれども、光を繊細に使っているのではないでしょうか。いわばいぶし銀の魅力。なんとなく酒井抱一の「夏秋草図屏風」を思い出しました。

コロー「真珠の女」

Camille Corot - Woman with a Pearl.jpg

コローもこんな肖像画を描いていたんですね。これ、いいですねえ。

手のポーズから「モナリザ」か?と思いますが、この時代の「モナリザ」は、コローが観覧できる状態だったかどうか。一説では「モナリザ」をフィーチャーしたラファエロ作の「マッダレーナ・ドーニの肖像」を直接の参考にしているのではないかという意見もあります。コローもイタリア留学の経験者で、相当長く滞在しているんだそうですね。

 

夕暮れの光の画家、ミレー。

バルビゾン派のもう一人の有名画家、ジャン=フランソワ・ミレー。こちらは日本でかなり人気があるようですね。農民画で知られています。

ミレー「晩鐘」

JEAN-FRANCOIS MILLET - El Angelus (Museo de Orsay, 1857-1859. Oleo sobre lienzo, 55.5 x 66 cm).jpg

夕暮れの光。敬虔な祈りの場面。これもおそらく実物を見ると繊細な光で……と思うのですが、オルセーにあるなら多分見ている可能性は高いが、記憶としては全くありません。

ミレー「部屋着姿のポーリーヌ・オノの肖像」

Jean-Francois Millet, Pauline Ono.jpg

これもミレーなんですよ。農民画のイメージしかない画家ですが。

モデルとなったポーリーヌ・オノレはミレーの最初の奥さん。若くして亡くなったそうです。たしかに顔色が悪い。しかし目は輝き、画家を見る視線はゆるぎない信頼を感じさせる。

この絵は実際に見てます。数年前に宮城県美術館にミレー展が来たんですねー。来たミレーは一級品揃いというわけではないけど、その分見たことのない絵ばかりで、ミレーのイメージが広がりました。

この絵はそういう、文脈の中では語られないミレーの中でも特に良かった絵。

 

写実主義&バルビゾン派。

クールベ、コロー、ミレー、ここらへんが写実派な絵画ということでいいと思いますー。テーマがさらに「身近なもの」になって、イベントでもなく、毎日見ている風景や近所の農民でも良くなった。

新古典主義までは昔の神話、歴史画、貴族の肖像画などが主な絵のテーマでした。その辺の庶民がテーマとして扱われることはありませんでした。ロマン主義で、実際に起こった事件、同時代の創作、そして自然が扱われるようになりました。

その後の写実主義で、まさに題材が身の回りのものになりました。印象派まではあと一歩――あと二歩です。

 

 

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