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おでかけ出来ない今こそ!「源氏物語」はいかがですか?

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今回のコロナウィルスで出かける場所も限られているそうです。
家にいなきゃいけない状況をどう活用しましょうか。

暇をもてあましたら、ふだん読まない本を読んでみましょう!

 

となると、日本古典文学にいきつく。

先日から「日本の本で、これ読むとお得な本ってなんだろう?」と
考えてました。

ギリシャ関係は簡単なんですよ。
「イーリアス」「オデュッセイア」「ギリシア神話」。
日本人はこれを読んでおけばギリシャ関係は事足ります。根拠は謎だが。

読んでお得なギリシア古典文学、3選。

 

同じように考えて、日本で読んでお得な作品というと……?

これがなかなか思いつきません。
ここは日本でわたしは日本人ですから、そもそも母数が巨大ということもある。

その膨大な数のなかから何冊かというと……
しかもわたしが読んだことのあるなかで……
お得な……?

結論として、お得な本は思いつきませんでした!

でもあえていえば、忙しかったら読む気にならない日本古典文学なんかが
いいんじゃないかなーと思いました。

日本人としておさえておいてもいい教養。という意味で、
その中でもわたしの大好きな「源氏物語」をあげたいと思います!

 

 

源氏物語とはどんな物語か。

源氏物語。名前は有名ですし、古文の教科書でも必ず取り上げられますが、
まず読んだことのある人は少ない。という話かと思います。

正直いうと、源氏物語はあらすじを読んでもサッパリ興味をそそられない!
身もふたもない言い方で源氏物語を紹介すると、

天皇の御子として生まれた光源氏が、その身分と美貌と口の巧さを活かして
あらゆる種類の美女を口説き、ものにしていく物語。

この言い方で、ある意味間違っていないところがコワイ。
なので、光源氏のことが大嫌い!という人もいますし、
見ようによってはハーレムの物語といえるでしょう。

では何が面白いのか?

 

源氏物語の魅力。

しかし物語はストーリー(=骨)だけではその価値は決まらないのですね。
肉もあります。そこにまとう衣装もあります。
それが混然一体となったところに魅力が生まれる。

肉に当たるのは因果応報、運命の恐ろしさでしょうか。
あらすじを一部分、紹介します。

 

源氏の母は、天皇の后のなかでは身分低い人でした。
(といっても、庶民は視野に入っていない「王朝文学」なので、
身分が低いとはいっても中級クラスの貴族出身ではあります。)

その母は源氏が生まれた時に死んでしまいます。
美しかったその后を心から愛した天皇は、忘れ形見である源氏を溺愛します。
源氏は美しい青年に成長しました。和歌や音楽の才もあり、人柄優れ、
身分の高い。文句のつけようもない青年です。

 

当時、色好みは特に咎められるべきことではありませんでした。
むしろ貴族のたしなみの一つという風潮もあり。
恋多き人=情趣を解する人という見方。

……と一般的に言われてますが、源氏物語のなかでも女性たちが嫉妬に
苦しむ場面はふんだんにあります。いくら一夫多妻のシステムだとはいえ、
感情の部分は今と同じだったと思います。

 

 

源氏の、数多い恋人の中で最も秘密にしなければならないのは藤壺の宮。
藤壺は実は源氏のお父さんの后の一人で、それも源氏の亡き母に
生き写しという理由で入内した人です。
そして源氏は亡き母によく似ている。つまり源氏と藤壺はよく似ています。

母恋いの源氏は少年の頃から藤壺の宮によく懐いていました。
藤壺の宮が入内したのは源氏が11歳、藤壺が17歳の頃。
当時、女性の部屋に11歳にもなった少年が出入りするのは異例でしたが、
天皇にとっては、母を亡くした源氏が母そっくりの藤壺を慕うのは
当然な気がしてそれをゆるしていました。

が、一年後、源氏は元服します。さすがにもう藤壺には会えなくなります。
今まで母のように思って懐いていた美しい女性に急に会わせて
もらえなくなったのです。

それが思慕となり、さらに大人になって激しい恋情になります。
ついに源氏は藤壺の宮の部屋に忍び込み、共寝をしてしまいます。
源氏と藤壺の関係はたった2度だったのですが、2度目の逢瀬の時、
藤壺の宮は懐妊してしまいます。

父の子として生まれてくる御子は実は自分の子。
源氏は罪の意識に慄きます。

それから長い時が経って――
宮中でも一の人として時めいている40代の源氏でしたが、
自分の第一身分の妻、女三宮と青年の不義に気づきます。

妻を寝取られた悔しさと自らの老いに傷つき、青年に嫌味をいいます。
しかし、その後にふと考えます。
父である亡き帝は、藤壺と自分の不義を本当に知らなかったのであろうか。
もしかして――知っていて黙っていたのでは?

そう思うと、源氏は腹立たしさは消えないながらも、若い恋人たちを
非難することはできません。
女三宮が生んだ子どもを源氏は苦しみの末、自分の子として抱くのでした。

 

この辺りの流れは1000年前に書かれた物語とは思えないほど
ドラマティックです。
華やかな、地位権力ともに絶頂の源氏を襲う苦悩と罪。

作者の紫式部は長い長い物語を通じて、源氏の素晴らしさを
筆を極めて書いているように見えますが、
――実はこの光と影の対比をより鮮やかに描くために
今まで筆を費やして来たのかもしれません。

めぐる運命の恐ろしさ。
桜を散らす風の無情。

 

 

源氏をとりまく女性たち、その生き方。

ちなみに上記の部分は重要だけれども全体のほんの一部で、
他にもストーリーは山あり谷ありです。

源氏の恋人にはさまざまな女性たちがいます。
気高いひと、幼いひと、冷たいひと、情熱的なひと。
喜び。淋しさ。嫉妬。身分。

よくもこんなに、と思うほど紫式部は女君たちを描きわけ、
その魅力を語ってやみません。
それぞれに魅力的な女性たち。読み手は自分の贔屓を見つけ愛してきました。

今でいえば「推し」です。
わたしは「紫の上」推し。いたいけな少女だった姿から見ていますから、
どうしても情が移りますね。

それにしても、こんなキャラクター小説が千年前に書かれているとは……
驚くばかりです。

「源氏物語」は女性たちの生き方のカタログとして読むのが
一番正しい読み方かもしれません。
カタログというか……生き方のタイプとして。

 

平安朝の雅さ。その美意識。

わたしは源氏物語最大の魅力は、美的感覚と雅さにあると思うんですよね。

たとえば。
源氏物語には「巻名」があります。章ごとについたタイトル。

桐壺(きりつぼ)
帚木(ははきぎ)
空?(うつせみ)
夕顔(ゆうがお)
若紫(わかむらさき)
末摘花(すえつむはな)
紅葉賀(もみじのが)
花宴(はなのえん)
葵(あおい)

……

全五十四巻この調子で続きますが、この文字の並びを見ていると、
優雅さが漂ってくるような気がします。花や風物の名前ですよね。

いにしえから自然をこよなく美しいものととらえていた感覚、
それは今の日本にも受け継がれているものだと思います。

上記のなかで「帚木」「紅葉賀」「花宴」以外はみんな登場する女性の呼び名。
ちなみにホステスさんの名前が「源氏名」と呼ばれるのはここから来ています。

また源氏物語では衣装についての記述が詳細です。
今の服とは全然違うので、用語などに馴染みがないかとは思いますが、

一言でいえば神社の神主さんみたいな衣。
あるいは天皇陛下が即位の儀式の時に着たみたいな衣。
またはお内裏様、お雛様が来ている衣装。

衣装の色や模様、色の組合せなども詳しく語ります。
この身にまとう衣装の色や形で、その人の性格や立場などを表しています。

今でも「ミニスカートにポニーテール」とか「よれよれのジャージ」など
洋服の記述で、ある程度キャラクターを推測させますよね。

昔の衣装は「季節に合うこと」を重視し、色の組合せ方の名前は
花の名であることが多いです。

桜(表が白・裏が赤。透けてピンク色に見える)
菫(表が紫・裏が淡い紫)
藤(表が紫・裏が萌黄)

など。

日本では一般的に衣更えをしますが、これが年中行事の一つになっているのは、
平安時代の宮中の習慣が民間に広まったものと思われます。

お香なども源氏物語に出てきます。
香をたきしめるのがエチケットだった時代、
独自の香を作ったり、昔からある香を嗅ぎわける遊びをしたり……
現在、香道はお茶お花に比べてマイナーですが、とても雅な遊びです。

源氏物語に登場するさまざまな雅さは現代にも生きているのです。

そういう優雅な、こよなくめでたい世界を堪能するのに、
「源氏物語」ほど良いテキストはおそらく他に見当たりません。

特に京都好きの方は読んで損はないかも。

 

 

原典読みではなくとも。

しかし源氏物語は古典ですよね。
古典は学校でわざわざ習うほど、文法も単語も現代語と違っていますが、
それを読んで楽しめるでしょうか。

わたしはわざわざ原典を読まなくてもいいんじゃないかなーと思います。

やっぱり古文で読んで楽しむのは相当ハードルが高いですよねー。
お勉強で源氏物語を読み通すのは非常な勇者だと思います。
それが出来れば大変にすごいけど。わたしは読んだことがありません。

でもご心配なく。
源氏物語は古今東西、数々の訳者によって現代語訳・各国語訳されています!

現代語訳は以下の通り。

与謝野晶子
谷崎潤一郎
窪田空穂
円地文子
田辺聖子
橋本治
瀬戸内寂聴
大塚ひかり
今泉忠義
玉上琢弥
尾崎左永子
中井和子
林望
角田光代

(Wikipediaによる)

すごくたくさんある……!
古来、愛されて来た物語の証拠。

現代語訳というよりは翻案作品というべきものもあります。
というか、翻案作品の方が多いかな。
学者ではなく作家が書いたものが多いので。

わたしは与謝野訳を最初に読んでハマり、その後田辺訳を読み、
瀬戸内訳を読みました。

わたしのおすすめは田辺訳です!田辺さんは古典が好きで、
源氏物語だけではなくいろいろな題材を書いていらっしゃいました。
なによりも源氏物語が好きで好きでたまらない方なので、
読んで満足感があります!読みやすいし!


新源氏物語(上) (新潮文庫)

 

与謝野訳はとても愛着があるのですが、読みやすいとはとてもいえない……
2番目か3番目くらいにどうぞ。


全訳 源氏物語 一 新装版 (角川文庫)

 

わたしはいずれ、林望訳も読んでみようかなー。
林望さんはだいぶ前にエッセイを何冊か読んで好きだったので。
いつのまにかこんな仕事もなさっていた……


謹訳 源氏物語 一 改訂新修 (祥伝社文庫)

読みやすいらしいですよ。

 

お出かけできない今こそ、長編に挑戦。

日常のあわただしさのなかだと、気分的になかなか長編にとりかかるのが
難儀ですが、これを機会に何か長い作品を読んでみるのはいかがでしょうか。

特に学生さん!世の中で言われ続けていることですが、
歳をとると何かとめんどくさくなるので、めんどくさいことをやるのは
今のうちですよ!

とっかかりはめんどくさいかもしれませんが、読み始めてしまうと
あっという間です。わたしは中学生の頃、面白くて面白くて、
学校から帰ると制服を着替える間も惜しんでよみふけっていました。

ぜひ、推しを見つけてくださいね!

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